魚食文化のルーツを再確認できる映画―築地市場まつりトークイベントレポ

2016年10月1日公開となる世界で初めて、築地市場の細部まで迫ったドキュメンタリー映画『TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド)』のトークイベントが、先日5月3日に築地市場まつり内で行われ、遠藤尚太郎監督、料理研究家・寺田真二郎氏らが登壇した。

ありがとう、築地。築地市場まつり
『TSUKIJI WONDERLAND』トークイベント

TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド)
(C)2016松竹

映画『TSUKIJI WONDERLAND』は、今年2016年11月に豊洲への移転を予定している、東京都中央卸売市場築地市場に初めて1年以上に渡りカメラが入り撮影を観光し、築地の深部まで迫ったドキュメンタリー映画。

TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド) 市場まつり
写真左から“いちばの妖精”イッチーノ、遠藤尚太郎監督、神戸悠一氏、寺田真二郎氏、KIRIMIちゃん.

先日5月3日におこなわれた、築地場内で行われる最後の「市場まつり」のメインステージにて『TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド)』トークイベントが実施された。

イベントには遠藤尚太郎監督、イケメン料理研究家として知られる寺田真二郎氏、さらに実際に築地の第一線で働く仲卸のひとりとして有限会社善金代表・神戸悠一氏が登壇した。

TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド)冒頭、本作について遠藤尚太郎監督は「築地市場の場内というのは、知っているようで実はあまり知られていない場所です。この『TSUKIJI WONDERLAND』という映画は、誰も見たことのない本当の築地を未来に繋げる作品です。そこで働く人々の気持ちや息遣い、日々の営みを通して豊洲への移転を目前にした築地という場所を描きました」とコメント。
 
作品を一足早く観た寺田真二郎氏は「TVの密着ドキュエンタリー番組などで有名な料理人が訪れる『築地』だけでなく、その先には仲卸の方々とのドラマがあって、普段僕たちが知ることができない部分がたくさんあるということをこの映画をみて学びました。僕が普段訪れる築地の新たな一面を知ることができて非常に面白かったです」と絶賛。
 
また、仲卸のひとりである神戸悠一氏も「築地のあまり知られていない部分を映画にしてくれたことに対して、とても感謝しています」と感謝のコメントにはじまり「監督の人柄の良さがあってこそ、長期取材が難しいとされている築地で一年にも及ぶ撮影が出来たのだと思います。ただカメラをまわすだけじゃなく、朝早く来て挨拶してくれたり、撮影が休みの日にも顔を出してくれたりと、そういうことの積み重ねの結果素晴らしい映画ができたのだと思います。80年もの歴史を持つ築地ですが、建物の老朽化も懸念されるところです。築地という場所をとても綺麗に撮ってくれて、僕たち築地で働く人たちの笑顔も映してくれたことも嬉しかったです。みなさんの想像と違う面の築地市場が観れると思います」と賞賛を送った。
 
続いて築地に対する印象について聞かれた寺田真二郎氏は「この映画を見ると、仲卸の方の細やかなサービスというものを強く感じます。築地には独特の雰囲気があって初めて来た時は少し怖そうなイメージを持っていましたが、実際に話してみると優しくて良い人ばかりでした。僕は仕事柄半年先の食材が必要になることもあるのですが、ここに来ると手に入らない魚はないと言っても過言ではないくらいの種類の魚が取り揃えられていて、どんな難しい仕事のときも築地市場に来れば安心です」とコメント。

「映画でも描かれていますが、仲卸にとって重要な“目利き”の役目とは?」との質問に、神戸悠一氏は「全国各地で漁師さんが獲った魚をまずは築地の市場に持って来て頂いて、それをまた全国各地に配るというのが僕たちの仕事のスタート地点です。築地の魚が美味しいのは、全てが一度集まってくるからなんです。魚の産地を気にする人が多いですが、実を言うと味と産地は一般的に考えられているほど関係なくどこの産地でも美味しい魚を獲ることはできます。私たちは、これだけ魚が出回っている世の中で、どのようにして皆さんに美味しい魚を食べてもらえるか日々考えています。それぞれの魚のお腹の厚みや脂の乗りをよく見て、信頼している人から買うことが美味しい魚の一番の見分け方です」と回答した。

遠藤尚太郎監督は、本作における仲卸の方々への取材を通じて「仲卸の方々が代々家業としてこの仕事をしている一方で、そのお客さんであるお寿司屋さんも家業であることが多いです。互いに自分が生まれる前からの付き合いで、一年を通して良い日も悪い日もずっと共有してきたしこれからもそうしていく。この映画で、そういった信頼関係を一番描きたいと思っていました」と話すと、神戸悠一氏は「祖父母、両親から三代続く店なので、子どもの頃から家に帰ると魚の匂いがして嫌だと思うこともありましたが、幼い頃から築地の魚を食べてきたので、とても勉強になりました。僕自身より良い魚を食べたいですし、せっかく代々築地で働いているのだから、この場所をより良いものにしたいという思いも強いです」と強い思いを語った。

イベント最後で、遠藤尚太郎監督は「映画を撮る前と後では築地に対する印象は変わりましたが、築地が持つ根本のところは変わらず、撮影を終えた今も築地に来ると活気とドキドキやワクワクを感じます。映画を撮るにあたって、改めて築地の魚の美味しさに感動し、その感動をこの映画の中に込めてみたいと思いました。衣食住が多様化している今の世の中で、この映画が『食』というものに対してもう少し向き合っていきたいという思いへのきっかけになれば嬉しいです。豊洲への移転をきっかけに昔を懐かしむ雰囲気に包まれる中、もっと築地のことを知って未来を考えつつ、自分たちの魚食文化のルーツを再確認できる映画になったと思います」と挨拶をして、イベントは終了となった。

トークイベントの前には、鮭の切り身をモチーフにしたサンリオの人気キャラクターKIRIMIちゃん.のダンスショーで大いに盛り上がり、最後の築地市場まつりに相応しい非常に賑やかなイベントとなった。

映画『TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド)』は、2016年10月1日(土)より築地(東劇)先行公開、10月15日(土)より全国ロードショー。

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