バリバリの本命は「3月のライオン」前後編、2017年も続く、少女マンガ映画化路線。

3月のライオン 桐山零 神木隆之介

(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会

「思わず“うるキュン”」って、どういう気持ち?

女の後輩 ここ数年の日本映画の大きな特徴として、少女マンガの映画化が、まるで路線になったかのように複数の映画会社から公開されていることがあげられますが、この流れは2017年も続きそうです。

先輩 あのさあ、前にも言ったけど、「少女マンガの映画化」とひとまとめにするのには反対だな。それぞれに原作があって原作のファンがいる。そして映画も1本1本共通項は多いものの、作品として違ったものになるわけだから。

女の後輩 そう言われればそーなんですけどね。

先輩 僕はこういう形で若い俳優たちが世に出てくるのは賛成だし、新人監督が起用される機会が増えるのだったら、とても良いことだと思うけどな。

女の後輩 先輩は、少女マンガで育ってますし。

先輩 それをバラすか。今、ここで。

女の後輩 小学生の時、お姉さんが購読していた「りぽん」を毎月楽しみに読んでいたって、以前自慢してたじゃないですか(笑)。

先輩 だからか、未だ自分の感性は少女マンガの影響下にあると自覚することも、ちょくちょくあったりする。

女の後輩 じゃあ、少女マンガ原作の映画を見て、キュンキュンしたりすることもあるでしょう?

先輩 うーん・・・稀にな。少なくとも君よりは、そのあたりの感受性は豊かだという自負はある(笑)。

女の後輩 そんな先輩が、年明けからキュンキュン来ちゃうであろう映画が「僕らのごはんは明日で待ってる」です。
原作は瀬尾まいこ、監督が市井昌秀。主演は中島裕翔と親木優子で、1月7日から公開されます。

先輩 なんかお腹が空きそうなタイトルだなあ(笑)。

女の後輩 コピーを読むと「切ない真実に思わず“うるキュン”・・・最高も最低も乗り越える、7年ごしの青春ラブ・ストーリー!」と。

先輩 「うるキュン」! どんな感情なんだ? うるうるしながらキュンキュンしちゃうのかなあ?

女の後輩 先輩がそうなっているとこを想像すると、気持ち悪いので(笑)次の作品に行きます。

一番泣けるラブ・ストーリー「一週間フレンズ。」

一週間フレンズ。 川口春奈 山﨑賢人

(C)2017 葉月抹茶/スクウェアエニックス・映画「一週間フレンズ。」製作委員会

女の後輩 2月18日から公開される「一週間フレンズ。」は、葉月抹茶の原作を村上正典監督が映画化したもので、主演は川口春奈と山崎賢人。

先輩 この種の映画では、お馴染みになったなあ、山崎賢人(笑)。

女の後輩 「記憶障害を乗り越えて、“好き”を重ねていく2人の、今世紀一番泣けるラブ・ストーリー」とのことですが。

先輩 愛し合う男女の前に立ちはだかる障害といえば、両親や周囲の反対か病気。この2つのどっちかだよ、昔から。

女の後輩 記憶障害というあたりが、今どきというか。でも記憶が7日間しか持たないんだったら、恋愛するのにはむしろ良いことのほうが多いと思うけど・・・。

先輩 同じ男に何度も貢がせようと。「私、前にしてもらったこと忘れちゃった」と、その都度言って(笑)。

女の後輩 (ニヤリ)

先輩 そういう不埒な気持ちで恋愛映画を見てはいかんなあ。もっと純粋な気持ちで、中学生に戻った気持ちで見なさい。

女の後輩 では脳内に女子中学生がいる先輩には、「きょうのキラ君」などはいかがでしょうか?

「きょうのキラ君」を見て「キュン泣き」しよう!

先輩 キラ君って誰だよ?「デスノート」に出てきたキャラ?

女の後輩 ちがーう。「近キョリ恋愛」を書いたみきもと凜の原作で、監督は川村泰祐。主役のふたりに扮するのが、中川大志と飯豊まりえで、三浦理恵子や安田顕も出演しています。

先輩 そのキラ君という少年が、学校一のイケメンで、彼のことを好きになる女子の話なんだな。

女の後輩 そーですよ。いい男に憧れるのは、何歳になっても女子のモチベーション!!

先輩 なになに「150万部突破の大ヒット“キュン泣き”コミック、待望の映画化!」とな。「うるキュン」の次は「キュン泣き」かよ(笑)。

女の後輩 いいじゃないですか。どのみちキュンキュンしたいんだから(笑)。あ、公開は2月25日からです。

「PとJK」。こちらはピュアラブストーリー。

PとJK 土屋太鳳

(C)2017 「PとJK」製作委員会

女の後輩 出演者のネームバリューという点では、「PとJK」が頭ひとつリードかな。亀梨和也が警察官、土屋太鳳が女子高生に扮するわけですから。先輩の好きな、土屋太鳳ちゃんですよ(笑)。

先輩 いや、彼女にはアクションをやって欲しいんだが、そういうニーズは少ないだろうから、ならば女学生役を極めろ!!と、以前ここで言った・・・かな。

女の後輩 この映画の場合、男子警察官と女子高生が、すぐに結婚してしまうんですよね。さほどの障害もなく、相思相愛が成就する。で、その後の新婚生活の中で事件が起こるという・・。

先輩 昔TVでやってた「奥さまは18歳」みたいだなあ。

女の後輩 すみません。その例え、古すぎて分かる人いないと思うんですが。

先輩 こちらのコピーは・・・「PとJKが恋をした。一緒にいる方法はただひとつ。結婚から始まるピュアラブストーリー」。今度は「ピュアラブストーリー」か・・・。

女の後輩 さすがの私も、ちょっと胃もたれしてきました。

先輩 いっそ土屋太鳳も警察官になって、夫婦で犯人逮捕しまくる映画にすれば面白いのに(笑)。アクションも出来るし。

「3月のライオン」は「将棋対決の映画」ではない。きっと。

3月のライオン ティザーポスター

(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会

女の後輩 やっぱり極めつけというか本命は、「3月のライオン」ってことになりますか。前編が3月18日、後編は4月22日公開という、これまた昨今流行の前後編2部作!!

先輩 ただ、この原作を少女マンガに分類するのは、ちょっと抵抗があるなあ。

女の後輩 そか。愛読書でしたよね、先輩の。

先輩 枕元に単行本を積み上げて、毎日寝る前に読み返しているぞ。君も読んでみるといい。羽海野チカさんが自身の人生をマンガの中に反映させている。それを映画にするんだから、「うるキュン」でも「キュン泣き」でもない映画になるだろう。僕の周囲でも、このマンガの愛読者は多いけど、皆おっさんばかり(笑)。それは男女を問わず、「生きることは、闘いである」ことを羽海野さんが実体験をもとに描いているからだろうな。正直、これほど骨太で男っぽいマンガはないよ。

女の後輩 凄い思い入れですね! 映画のほうは、監督が大友啓史、主演が神木隆之介、有村架純。

先輩 既にアニメ・シリーズ版がNHKでオンエアされているけど、原作者自ら「この人でなきゃイヤ!!」と指名した新房昭之監督とシャフトが手がけていて、この出来がとても良い。マンガをアニメにしたわけだから、イメージ・ギャップが少ないこともさることながら、原作を100パーセント活かす姿勢で、独自の解釈や脚色なしで描いているあたりは、原作ファンも好感を持っているようだぞ。

女の後輩 でも実写映画、しかも前後編という構成をとる以上は、何かストーリーにも大きな軸が必要になってきますね。「3月のライオン」の場合、それは主人公が棋士であることから、将棋の対決かな?と思ったりしますけど。

先輩 いやいや、「3月のライオン」は、少なくとも原作は「将棋の対決を描いた物語」ではないよ。これは断言出来る。将棋というのはいわばモチーフというか、主人公・零の人生を象徴的に描くためのアイテムにすぎないと、僕は解釈している。だからこの映画は「将棋対決を見せるためだけの映画」になってはいけない。

女の後輩 確かに羽海野チカさんの前作「ハチミツとクローバー」は少女マンガでしたが、内容的には誰が読んでも楽しめました。「3月のライオン」の場合も、「少女マンガの実写映画化」というカテゴリーで扱うべきではないのかもしれませんね。

先輩 羽海野さんはこのマンガを「お婆ちゃんの知恵袋マンガ」と称している。人が生きていく中で遭遇する出来事やアクシデントに対して、羽海野さんが体験したり考えたり悩んだりしたことが反映されているんだよ。そもそも「3月のライオン」が連載されている「ヤングアニマル」は男性層対象の雑誌だからな。谷間出した水着姿の美少女グラビアの次のページから「3月のライオン」が始まるんだから(笑)。

女の後輩 いやあ、今日は先輩に色々と教えられたなあ。やっぱり少女マンガで育った人の感性は違いますね(笑)。

先輩 なんで最後に「(笑)」がつくんだよ?

女の後輩 いやいや。まずは私も「3月のライオン」読んでみようかな?

先輩 なにぃ?ではまず1巻からだ。いいか、1巻だけあかりさんの絵柄が違っていて、しかも零は二海堂のことを「さん」づけで呼ぶんだ。これはな・・・。

女の後輩 ではお先に失礼しまあす。帰りますよん。

先輩 そもそもこのマンガが香子ねいさんのアップで始まっている意味とは・・・(以下、延々と一人語りが続く)。

(企画・文:斉藤守彦)

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    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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