シリーズ総興収200億円突破なるか!?「バイオハザード」興行ヒストリー

バイオハザード:ザ・ファイナル

シリーズを重ねるほど興収がアップする、希有な存在。

先輩 いよいよ23日から公開された「バイオハザード:ザ・ファイナル」なんだが、これでシリーズ完結とのことなので、興行的な足跡を辿って見たんだよ。

後輩 またまた、数字の好きな先輩(笑)。

先輩 そうしたら、びっくり。通常シリーズ作品というのは、新作を作るたびに興行成績がダウンする傾向があるんだけど、「バイオハザード」シリーズの場合は逆に、新作公開のたびに旧作の興収を上回る現象が見られた。

後輩 ほう。もともとこの映画は日本の人気ゲームをもとに、ハリウッドで映画化された・・・。

先輩 いやいや、そうじゃないんだよ。2002年8月31日から日本公開された第1作「バイオハザード」は、ヨーロッパの資本で作られた映画で、日本での配給会社もこれだけアミューズピクチャーズ。インディペンデント系の配給会社だ。

後輩 で、どのくらいヒットしたんですか?

先輩 まずオープニング成績から行くと、丸の内ピカデリー2を中心に、全国191スクリーンで入場者数32万3554名、興収4億664万2400円。ただしこれは、都内5館でやった先行上映分を含む、と。

後輩 週末2日間で4億円オーバーって、凄いじゃないですか!?

先輩 だろ? 当時僕も驚いたさ。

後輩 最終的には、興収いくら上がったんですか?

先輩 23億円。

後輩 ほえええ。でも、なんでそんなにヒットしたんでしょうか?確かに日本のゲームが海外で映画化された話題性はあると思いますが、それまでにも「ストリートファイター」とか「スーパーマリオ」とか、ゲームの映画化作品は何本もあって・・。

先輩 軒並みコケたよなあ。それと「バイオハザード」の場合、SFでありアクションでありホラー。このあたりの盛りだくさん加減が良いのと、女性主役のアクション映画が珍しいことも大きいんじゃないかな?

「アポカリプス」「バイオⅢ」で、さらに上昇。

バイオハザード:ザ・ファイナル 予告 ローラ

後輩 それで2作目からソニー・ピクチャーズの配給になるわけですね。

先輩 そう。これは「バイオハザード」の世界的ヒットに目をつけた、ソニー・ピクチャーズのグループ会社スクリーン・ジェムスが製作に参入し、予算も大幅にアップ。

後輩 スクリーン・ジェムスってどんな会社なんですか?

先輩 知らんのかいっ。実はこの会社、けっこう社歴が長いんだ。紆余曲折を経て、現在はソニー・ピクチャーズのグループに入っているが、最近ではホラー映画を中心に本社が手がけないようなジャンルの作品を手がけている。16日から日本公開されて、小規模ながらヒットしている「ドント・ブリーズ」や、ホラー以外では「バーレスク」もここの作品だ。

後輩 そのスクリーン・ジェムスが「バイオハザード」シリーズをハンドリングした最初の作品が「バイオハザードII アポカリブス」。

先輩 そう。日本公開は2004年9月11日だ。

後輩 前作がヒットして、2作目がハリウッド・メジャー系の配給になったのに、夏休み映画じゃないんですね。

先輩 そのあたりは、色々と編成の事情もあるだろうけど、前作のヒットは多分にフロック的だと受け止められていただろうな。それにアクション映画のシリーズだから、一般的に考えて女性客は少ないだろうし、リピーターが出るとも考えられないからね。

後輩 ところがこれが、フタを開けたら・・。

先輩 前作以上のヒットになっちゃった。オープニングの段階で、276スクリーン計47万518名、興収6億3979万9700円をあげて(ただし先行上映分も含む)、前作を上回った。最終的に興収26億1700万円。前作より3億円アップした。

後輩 それでも第3作「バイオハザードⅢ」は11月公開と、2作目よりさらに悪いシーズン。

先輩 確かに2007年11月3日から公開された「バイオハザードⅢ」は、331スクリーンでオープニングは44万9571名、興収5億9698万2950円と、2作目を下回るペースだったが、最終的には興収28億5000万円と前作を上回った。落ちなかっただけでも大したものだよ。

後輩 おそらく関係者はみんな、前作よりダウンすると思っていたんじゃないですかね?

先輩 そうかも知れない。SFアクション映画の第3作が、前2作を超えるヒットになろうとは、これまでそんな例はなかったからね。

シリーズ全6作、すべて来日キャンペーンを果たしたミラ

バイオハザード:ザ・ファイナル サブ2

先輩 ところがさらに凄いことが起こるんだよ。第4作「バイオハザードⅣ アフターライフ」は、現時点でシリーズ最高にあたる興収47億円をマークしているんだ。これは第3作対比18億5000万円の増にあたるね。

後輩 シリーズの、しかも第4作が最高なんて記録、他にはないんじゃないですか?

先輩 例えば「スター・ウォーズ」シリーズのように、3作品を連作として、長期に渡って展開している場合は、第1作を凌ぐこともあるんだけれど、純粋にシリーズを重ねている場合、まず第1作の興収を超えるケースは希だね。

後輩 別のシリーズ作品で言うと・・。

先輩 例えば「ハリー・ポッター」シリーズの場合、1作目が興収203億円、以後173億円、135億円ときて、4作目の興収は110億円だ。こういうダウンをするのが、シリーズ作品の特徴だよ。

後輩 同じくソニー・ピクチャーズが配給している007=ジェームズ・ボンド・シリーズの場合はどうですか? こちらもアクション映画のシリーズですよね。

先輩 ボンド役をダニエル・クレイグが演じるようになってから、「カジノ・ロワイヤル」が22.1億円、次の「慰めの報酬」が19.7億円と20億円を切ったけれど、監督がサム・メンデスに変わった「スカイフォール」が27.5億円と復調。今年正月公開の「スペクター」は29.6億円だという。君が言うように、アクション映画ながら興収がアップした例には違いないけど、この場合はアクションよりもむしろドラマに力を入れたことで客層が広がったと見るべきだろうな。

後輩 「バイオハザードⅣ アフターライフ」が公開された2010年9月10日って、確かデジタル3Dブームが起こった頃じゃないですか?

先輩 そうそう、それ。2010年正月に公開された「アバター」の大ヒットで、いちやく3D映画がブームになったわけで、それを見越したのか「バイオハザードⅣ アフターライフ」では3Dフュージョン・カメラ・システムをポール・W・S・アンダーソン監督が採用したわけだが、当時僕が目にした洋画の3D作品の中では、最も立体効果が感じられたよ。

後輩 それでも興収47億円は凄いですね。オープニング成績はどうなっていますか?

先輩 339スクリーンで81万3779名、興収13億799万240円。ただしこれは、週末3日間集計で、先行上映分も含む。それにしても大した成績だ。この4作目から「バイオハザード」シリーズが、遅ればせながらヒット・シリーズと認識されてきたように感じるなあ。

後輩 興収47億円って、この年のソニー・ピクチャーズ作品のトップですし。

先輩 映画のヒットに貢献しているのは、主演のミラ・ジョヴォヴィッチで、彼女は「バイオハザード:ザ・ファイナル」に至る全6作品すべての日本公開時に来日し、プロモーションやメディアの取材に対応してくれた。

後輩 来日回数は12回に及ぶそうですから、さしずめ女トム・クルーズですね(笑)。

先輩 いやいや、大切なことだよ。まあ彼女の場合、アンダーソン監督がプライベートでもパートナーでもあるから、ふたりで映画を撮り終えて旅行するのも楽しいんだろうなあ(笑)。

後輩 さりげなく嫉妬しますね、先輩(笑)。

2本のCGアニメ作品も、小規模ながら好成績。

バイオハザード:ザ・ファイナル サブ3

先輩 そして第5作。「バイオハザードⅤ リトリビューション」は2012年9月14日に日本公開されるわけだけど、興収は4作目からちょっとダウンして38億1000万円。まあこれでも大ヒットと呼ぶに相応しい成績で、この年に公開された外国映画の中では第2位なんだから。

後輩 このシリーズの場合、謎が解けたり新しいキャラが登場したりとかはあるんですが、基本はアクションの連続。ミラがでかい銃器を持って、敵を粉砕する。そのカタルシスが大きいのかもれませんね。

先輩 そうだなあ。にしても、シリーズ5作目で興収38億1000万円というのは、何か別のヒット要因があるかもしれないぞ。

後輩 ゲームの発売と連動しているのかと思いきや、これが微妙にズレていたり。新作公開とタイミングを合わせて前作を地上波TVでオンエアするのは、確かに効果的だと思いましたが。

先輩 まあとにかく、第1作から5作目まで、日本での「バイオハザード」シリーズの興行成績は、ざっと上げた限りだ。興収をトータルすると、占めて162億7700万円になるんだけれど、「バイオハザード」のタイトルを冠した映画には、CGアニメ映画が2本あるんだ。「バイオハザード/ディジェネレーション」と「バイオハザード/ダムネーション」。前者は2008年10月18日から、後者は2012年10月27日から公開されている。

後輩 「バイオハザード/ディジェネレーション」は、確か新宿ピカデリーで2週間限定公開のはずが、観客が押し寄せて上映日数を延長したんでしたよね。

先輩 そうそう。全国3スクリーンでの限定上映ながら、興収は4300万円あげているのは立派だね。だからか4年後の「バイオハザード/ダムネーション」は179スクリーンの公開になったわけだが、この規模で興収1億8700万円。つまり、この2本の神谷誠監督作品で興収2億3000万円をあげているから、「バイオハザード」シリーズのトータル興収は165億700万円になるってわけだ。

トータル興収165.07億円。
「ザ・ファイナル」で200億円突破なるか!?

バイオハザード:ザ・ファイナル サブ4

後輩 「バイオハザード:ザ・ファイナル」は、配給会社としてどのくらいの興収を目指しているんですか?

先輩 50億円以上。つまり「バイオハザード」シリーズの最高記録である第4作「アフターライフ」の47億円を破りたいというんだ。

後輩 この正月興行、全体的に今ひとつ勢いがないようですが、そんな中「バイオハザード:ザ・ファイナル」が、どこまで優位に立てるのか?

先輩 ローラが出演している話題性もあり、それと「完結篇」という打ち出し方は、やはりインバクトが強いから、他の作品と差別化は出来ていると思うよ。ただ、ファミリー層を狙うシリーズではないし、初の正月興行になることがメリットとなるかデメリットになるか。そのあたりは配給会社も慎重に考えた上での決定だろうから、勝算ありと判断したのだろう。

後輩 いずれにせよ、興収50億円以上をあげて、シリーズ・タートル興収210億円を突破してくれれば快挙ですよね。

先輩 210億円突破ということになると、ブルース・ウィリスの「ダイ・ハード」シリーズ4作品の205億2000万円を超えるかもしれないぞ。

後輩 ブルース・ウィリスとミラ・ジョヴォヴィッチって、以前共演していませんでしたか?

先輩 「フィフス・エレメント」な。懐かしいなあ。あの映画の時はな・・(と、「バイオハザード」シリーズと無関係な雑談が始まったので、これにて終了)。

(企画・文:斉藤守彦)

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    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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