全米興収レポート(4/8〜4/10付)、『The Boss』首位獲得の裏で粘り続ける『ズートピア』!

全米興収ランキング(4/8〜4/10付)

1『The Boss』(New)

2『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(↓)

3『ズートピア』(↓)

4『My Big Fat Greek Wedding2』(↓)

5『Hardcore Henry』(New)

6『天国からの奇跡』(↓)

7『God’s Not Dead 2』(↓)

8『The Divergent Series: Allegiant』(↓)

9『10クローバーフィールド・レーン』(↓)

10『Eye in the Sky』(↓)

(速報値/Box Office Mojo参照)

おそらく今週中には3億ドル突破確実となっている『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』が3週目にして首位陥落。とはいえ、速報値で4万5000ドルほどの差しかないので、確定値ではV3を達成する可能性も充分にありそうではあるが。

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生

(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

そんな中で速報値首位を獲得したのは、メリッサ・マッカーシー製作・主演を務めるコメディ映画『The Boss』。制作費2900万ドルを考えると、それを早々と回収する上々な滑り出しではあるが、批評がそれについて行っていないことは致し方ないであろう。このタイプの作品は批評的な伸びを見せない代わりに、アメリカの娯楽映画としての一端を担う傾向があり、マッカーシーにまだ集客力があることが証明されただけで充分である。

同じく今週初登場で第5位にランクインしたのは米露合作のSFアクション『Hardcore Henry』で、こちらはやや物足りない批評を集めている一方で、3000館以上で公開された作品中歴代ワースト5位という散々なオープニング週末となってしまった。昨年夏から映画配給に乗り出したSTXエンターテインメントは、これまで順調な成績を維持してきたが、4作目にして大きなハズレくじを引いてしまったようだ。

中規模公開となったジャン=マルク・ヴァレ監督の『Demolition』も、期待されていたような伸びを見せることはなく、噂されていたオスカーレースは厳しいものと判断されるであろう。限定公開作の新作で、まずまずの健闘を見せたのが、『イーオン・フラックス』などで知られる女性監督カリン・クサマの新作ホラー映画『The Invitation』と、昨年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された、ヨアキム・トリアーの『Louder than Bombs』の2本だろうか。どちらにしても1館アベレージで1万ドルに到達しなかったのは物足りなさが残る。

日本の春休み明けと同じ感覚で、この時期は集客が鈍りやすいのでないかと勘ぐって、去年の同じ週のランキングを確認してみるが、決してそういうわけではないと思える。まして、昨年の4月2週目といえば『ワイルド・スピード/SKY MISSION』がメガヒットしている週で、限定公開新作のアベレージを見ても『エクス・マキナ』が6万ドル弱、『アクトレス 女たちの舞台』が2万ドルと、どちらも素晴らしい滑り出しを見せている。ともなれば、今年はかなり小粒揃いなのか、はたまた『BvS』と『ズートピア』に臆して敢えて外してきたのだろうか。

ところで、今週も順調に3位に入った『ズートピア』は、『BvS』にトータル興収で追い抜かれはしたけれど、6週目でも1400万ドルを超える興収を維持している。6週目の週末興収だけで見ると、歴代8位に入る驚異的な粘り腰を見せており、上位7作の中には『アナと雪の女王』『アラジン』『トイ・ストーリー』といった、ディズニーの一時代を築いたアニメーションが並んでいる。限定公開からスタートした『アナと雪の女王』と『アラジン』は実質5週目のようなものなので、1週目から超拡大公開だった『ズートピア』がそれに匹敵する成績を残しているということは極めて大きい。

ズートピア ジュディ・ホップス ニック
(C)2016 Disney. All Rights Reserved.

新作やベストテン以外にも目を向けてみると、ほとんどの作品が先週より興収を落としている中で、1作品だけ異常な伸びを見せている作品があった。先週までは公開関数が1館のみだったが、それを5館に増やし、興行収入はおよそ17倍。『Sweet Bean』とは何だろうかと、見てみると、昨年日本で公開され大きな注目を集めた河瀬直美監督の『あん』ではないか。

4週目の累計興収で2万ドルほどというのは抜けたヒット作というには程遠いが、日本の優秀なインディペンデント映画がこうしてアメリカでロードショーされているというのは、それだけでも嬉しいものだ。ニューヨークで1館だけだった公開館が、おそらく今週から西海岸にも広まったのであろう。今後大きな伸びを見せることはないだろうが、その興収動向に注目していこうと思う。

来週は久々に上位に大きな変動が見られるのではないだろうか。ジョン・ファブローが手がけた『ジャングル・ブック』が3700館規模の超拡大公開でスタートし、人気コメディシリーズの新作『Barbershop : The Next Cut』とケビン・コスナー主演のアクション映画『Criminal』も拡大公開。とくに日本でも夏に公開が決定している『ジャングル・ブック』は、すでに高評価を集めており、大躍進が期待できる。

(文:久保田和馬)

    ライタープロフィール

    久保田和馬

    久保田和馬

    久保田 和馬 1989年生まれ。映画評論家/映画ライター/映像作家。フランス映画とアジア圏の映画をこよなく愛する。大学時代からの自主制作の延長で映像制作を行い、2013年から文筆業を開始。「図書新聞」へ映画評の寄稿、「リアルサウンド映画部」への寄稿など。

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