13年のブランク何のその!『ファインディング・ドリー』がアメリカでとんでもない偉業を成し遂げた!

全米興収ランキング(6/17〜6/19付)

1『ファインディング・ドリー』(New)
2『Central Intelligence』(New)
3『死霊館 エンフィールド事件』(↓)
4『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』(↓)
5『ウォークラフト』(↓)
6『X-MEN:アポカリプス』(↓)
7『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』(↓)
8『Me Before You』(↓)
9『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』(↓)
10『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(↓)
(速報値/Box Office Mojo参照)

あと一週間で上半期が終わるということで、今年これまでの全米興行収入の動向を端的に振り返ってみると、「ディズニーの独壇場」そして「サマーシーズンの不発」が挙げられる。ところが、サマーシーズン真っ只中の今週、「不発」と言われる最大の所以だった『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』の失敗を払拭するかのごとく、ディズニー自らがとんでもない偉業を成し遂げたのだ。

その作品こそ、今週1位に輝いた『ファインディング・ドリー』だ。言わずもがな、13年前に大ヒットを記録した『ファインディング・ニモ』の続編である同作は、初週末1億3000万ドルというロケットスタートを切った。

ファインディング・ドリー (C)2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 これまでピクサーが制作してきた作品はすべて米国内で1億ドルを超える大ヒットを記録しているのは周知の事実。昨年公開された『アーロと少年』が最終興収1億2000万ドルほどで、ついにピクサー神話の崩壊かと言われていた中で公開された本作は、たった3日でその『アーロと少年』の最終興行収入を上回り、ピクサー史上最高のオープニング成績、いやアニメ映画史上最高のオープニング成績を記録した。今年のディズニーの快進撃はまだ終わっていないことを高らかにアピールすると共に、華々しく2016年の主役に躍り出たのだ。

アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した前作を下回る出来栄えとの声もあり、しかもサマーシーズンの相次ぐ不作もあり、不安ばかりが募っていたが、これほどまで痛快にその不安を吹き飛ばしてくれるとは。もっとも、批評サイトMetacritic.comのスコアでは、前作が90ポイントなのに対して、78ポイントと伸びを欠いているが、まだ誰も成し遂げていないシリーズ2作連続のアカデミー賞受賞も一気に射程圏内だろう。

今週のランキングは、ほとんどがこの『ファインディング・ドリー』の快進撃の影響を大きく受けている。

2位に初登場した『Central Intelligence』は3450万ドルというまずまずの数字でのデビュー。この週末公開じゃなければ、1位スタートを狙えたかもしれない数字なのだ。1館あたりのアベレージで言えば、先々週に1位となった『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』を超えている。ドウェイン・ジョンソン出演作としては物足りないところではあるが、5000万ドルの制作費を考えると妥当なところか。ちょうど今週から予告編が流れ始めた、11月に公開するディズニーアニメ『Moana』で久々に声優を務めるドウェイン。そこでは今年のディズニーの恩恵を受けるのだからプラマイゼロだろう。

そうでなくてもスクリーン数の入れ替わりが激しいこの時期とはいえ、ほとんどの作品が大幅に先週から成績を落としているのが顕著にうかがえる。その中でも、今週11位にランクダウンした『アングリー・バード』は前週の4分の1の興収しか稼げず、水曜日に1億ドルを突破した喜びもつかの間、同じアニメーション映画としてまんまと観客を奪われる結果となった。
アングリーバード

また、『アングリー・バード』同様、1000スクリーン以上を明け渡したのが『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』。そして『X−Men』と『TMNT』も1000スクリーン近く減らしているのだ。『X-Men』は1億5000万ドル目前なのでとりあえずは安心だが、残りの2作は本当に今年の夏を代表する失敗作となったのだ。

 そんな中、アリス以外のディズニー勢は相変わらずの健闘を続けている。『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』はついに4億ドルを突破。
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ (C)2016 Marvel.

MCU作品の第3位に鎮座する『アイアンマン3』を抜くことはほぼ間違いないものとなった。そしてベストテン圏外になった『ジャングル・ブック』は10週連続で週末興収100万ドル以上を記録。海外興収も順調で、世界トータル10億ドル到達の可能性も見えてきた。何より驚きなのは、『ファインディング・ドリー』と一番客層が重なりそうな『ズートピア』が先週よりもスクリーン数もほとんど減らさず、週末興収は伸びているということだ。公開16週目に突入し、先週から5つもランクアップを果たしている同作。まだまだ勢いは止まりそうにない。
ズートピア ジュディ・ホップス ニック (C)2016 Disney. All Rights Reserved.

来週は20年ぶりの続編となる『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』が約3900スクリーンという大規模で、堂々登場。今週の『ファインディング・ドリー』の勢いに便乗して前作級の大ヒットとなるか、それとも勢いに押されて他の大作たちと同様に沈んでしまうのか。何れにても来週は、ハイレベルな一騎打ちを期待したい。

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(文:久保田和馬

    ライタープロフィール

    久保田和馬

    久保田和馬

    久保田 和馬 1989年生まれ。映画評論家/映画ライター/映像作家。フランス映画とアジア圏の映画をこよなく愛する。大学時代からの自主制作の延長で映像制作を行い、2013年から文筆業を開始。「図書新聞」へ映画評の寄稿、「リアルサウンド映画部」への寄稿など。

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