『スター・トレックBEYOND』が首位登場!勝者かも知れないが、満足のいくところではないだろう

全米興収ランキング(7/15〜7/17付)

1『スター・トレックBEYOND』(New)
2『ペット』(↓)
3『ゴーストバスターズ』(↓)
4『ライト/オフ』(New)
5『Ice Age: Collision Course』(New)
6『ファインディング・ドリー』(↓)
7『ターザン:REBORN』(↓)
8『Mike and Dave Need Wedding Dates』(↓)
9『Hillary’s America : The Secret History of the Democratic Party』(↑)
10『The Infiltrator』(↓)
(速報値/Box Office Mojo参照)

今週1位に輝いたのは、人気リブートシリーズの第3弾である『スター・トレックBEYOND』。出演者のアントン・イェルチンが先月、不慮の事故で急逝したことで世界中が今なお哀しみに暮れる中で公開された本作は、このサマーシーズンの相次ぐ不発から考えると充分勝者であるという見方もできるが、決して満足のいくところではないだろう。

スター・トレック BEYOND メイン
(C)2016 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 往年の人気TVシリーズの映画化が、80年代から20年以上にわたり、計10作製作されたこの『スター・トレック』。2009年に、J.J.エイブラムス(この時点で彼がのちに『スター・ウォーズ』も手掛けるなど誰が予想できただろうか)の手によって再始動したシリーズも、これで3作目。エイブラムスに変わり新たに監督を務めたのは、『ワイルド・スピード』シリーズのジャスティン・リンだ。

彼は、『ワイルド・スピードTOKYO DRIFT』でシリーズ唯一の1億ドル割れを皮切りに、その後4作手がけ、シリーズ5作目以降を2億ドル越えの人気作へと導いた。言ってしまえば、一度落としてから持ち上げる人なのだろう。

現に、エイブラムスの過去2作はいずれもオープニングで7000万ドルを超えるメガヒット。最終的には両方2億ドルの大台に危なげなく乗っているのだ。対して本作は6000万ドルを下回る滑り出し。シアター数は過去最大で、前作同様IMAXや3Dの上乗せがあってしかるべきではあるが、それが活かされない成績となった。ただ、批評は前2作に劣らぬほど良好であり、息の長い興行となれば、かろうじて2億ドルに到達することも有り得るだろう。

今週初登場した人気シリーズの続編で、お先真っ暗になってしまったのは、5位にランクインした『アイス・エイジ』のシリーズ5作目『Ice Age : Collision Course』の方だろう。

2002年に公開された1作目のスマッシュヒットを皮切りに、ブルースカイスタジオの看板作としてシリーズ化した本作。前回から4年ぶりとなる続編は、前作比45%という悲惨なオープニングとなってしまった。このままでは、同スタジオ11作品目で初めての1億ドル割れとなってしまうだろう。昨年、『I LOVE スヌーピー』が期待値を大きく下回る成績となってしまったことに続いて、今度はスタジオを盛り上げてきたシリーズの失敗ときたら、あまりにも大きな痛手である。
 他のベストテン圏内に目を向けてみると、『ペット』と『ファインディング・ドリー』といった強力タイトルは、まだまだ持続。
『ペット』は先週の時点で同スタジオの『ミニオンズ』との差が1500万ドルあったが、17日目の時点で比較すると、200万ドルまで縮まってきた。これは3億ドル以上の大ヒットが見込める予感。

ペット
(C)Universal Studios.

 『ファインディング・ドリー』はシアター数を大きく減らし、勢いに翳りを見せるが、ここから続いていくのがディズニーの底力。4億6000万ドルを超え、全米歴代9位に浮上。月曜日の時点では、『スター・ウォーズ』を退けて8位に上がっていることだろう。

ファインディング・ドリー
(C)2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 そして第9位に興味深いタイトルが急浮上してきた。先週の37位から、シアター数を1200以上増やし、ベストテンに滑り込んだのは、現在白熱している大統領選で民主党候補指名が確実となっているヒラリー・クリントンに焦点を当てたドキュメンタリー映画『Hillary’s America: The Secret History of the Democratic Party』だ。4年前に『2016 Obama’s America』というドキュメンタリー映画で3000万ドルを超えるヒットを記録したディネシュ・デスーザが再び監督を務める本作は、政治ドキュメンタリーとしては異例となるベストテン入り。つまり、スピルバーグやエメリッヒの映画よりも、観客が入っているということで、アメリカ国民の政治への関心の強さが伺える。

来週は、水曜公開となるエマ・ロバーツとデイヴ・フランコ共演のスリラー『Nerve』。そして、マット・デイモン主演で復活した大人気シリーズ『ジェイソン・ボーン』が登場。まだまだ話題作が続くサマーシーズンは終わらない。

(文:久保田和馬)

    ライタープロフィール

    久保田和馬

    久保田和馬

    久保田 和馬 1989年生まれ。映画評論家/映画ライター/映像作家。フランス映画とアジア圏の映画をこよなく愛する。大学時代からの自主制作の延長で映像制作を行い、2013年から文筆業を開始。「図書新聞」へ映画評の寄稿、「リアルサウンド映画部」への寄稿など。

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