クロエちゃん主演の『フィフス・ウェイブ』はSFパニック・アイドル映画として見るべし!

クロエ・グレース・モレッツといえば『キック・アス』で一躍人気者になり、その後も『』ヒューゴの不思議な発明』『キャリー』など、若手女優の筆頭株として活躍中ですが……
キネマニア共和国~レインボー通りの映画街~vol.125

フィフス・ウェイブ ポスター

『フィフス・ウェイブ』はそんな彼女が主演するSFパニック・アイドル映画です!

宣伝で大いに謳いあげている
5つの波の襲来とは?

まず『フィフス・ウェイブ』とは、人類滅亡を意味する5つの波の襲来を描いたものです。

〈第1の波=暗黒〉
ある日突然、空に謎の飛行物体が現れました。しばらくは何もすることなく、ただ空中に飛遊しているだけのように思えましたが、刈られはやがて世界中の電源をシャットアウトさせ、電磁パルスを操るようになります。

〈第2の波=崩壊〉
電気などのエネルギーを失った人類は、彼らを“アザーズ”と呼ぶようになります。アザーズは次に地震や津波などの天災を引き起こし、沿岸沿いの都市や島々を崩壊させていきます。

〈第3の波=感染〉
天災から辛くも生き延びた人類を待ち受けていたのは、アザーズのウィルス攻撃でした。具体的には鳥インフルエンザの流行で、ついに人類の99パーセントは死滅してしまいます。

〈第4の波=侵略〉
ついにアザーズは1パーセントの人類に対して侵略行為を開始します。それはアザーズが人間に化けてひとびとを攪乱から破滅へと導いていくというもので、数少ない人類は人間不信に追いやられていきます……。

さて、こうした4つの波までは、映画が始まっておよそ30分ほどで描かれてしまいます。

では第5の波=フィフス・ウェイブとは何? それを描いたものが『フィフス・ウェイブ』なのです。

クロエ・グレース・モリッツちゃん、
ここではフツーの少女に!

正直、本作にSFパニック・スペクタクル超大作のノリを期待すると肩透かしを食らうことでしょう。

実際、30分すぎてからのフィフス・ウェイブを描いた展開そのものは、ハリウッド映画にしてはさほどお金がかかっていない、センスさえあれば日本映画でも描出可能ではないかと思えるほどのものです。

しかし、これだけは日本映画では絶対に不可能な、アメリカ映画だからこそ可能と断言できる最大級の要素が、クロエ・グレース・モレッツの存在であるともいえましょう。

ここでの彼女はアザーズの侵略で両親を失い、弟を奪われ、その奪還をはかる高校生の役柄です。

いわば、少し予算のかかった少年(いや少女と呼ぶべきか?)ドラマシリーズのヒロイン的役回りですが、彼女自身、誤って人を殺してしまったりと、凄絶なサバイバル生活を強いられながらアザーズに立ち向かっていきます。

あまりネタバレはしたくないのでストーリー紹介はこのくらいにしておくとして、本作は未曽有の事態に立ち向かうフツーの少女クロエちゃんの魅力を堪能するのが一番の得策ともいえるアイドル映画であり、比較するとしたらジェニファー・ローレンス主演の『ハンガー・ゲーム』シリーズあたりでしょうか。

繰り返しますが、本作は子役から大人の女優へのステップを踏み始めた彼女のちょっと健康的な体躯と、デビュー当時から変わらないあどけない表情などなど、クロエ・ファン必見のSFアイドル映画であり、その意味ではリトマス試験紙にもなり得る作品でしょう。

私は? もちろん堪能させていただきました。

あと、クロエちゃんネタとはまったく関係のないことではありますが、ヴォーシュ陸軍大佐を演じているリーヴ・シュレイバーが、ナオミ・ワッツの亭主であることを本作の解説資料を読んで初めて知り、かなりショックを受けている次第であります……。

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(文:増當竜也

    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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