今ネットで話題の問題作「彼岸島 デラックス」鑑賞中に起きた奇跡

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(C)2016「彼岸島」製作委員会

本編コミックスが全33巻、更に続編が全16巻、そのまた更に続編が現時点で9巻まで出ている、松本光司の大人気コミック「彼岸島」。
現在公開中の映画「彼岸島 デラックス」は、2013年のTBSドラマ版「彼岸島」全10話を元に、更なるストーリーを描く劇場版作品だ。

今年の9月よりTBS系で、全4回に渡って放送されたドラマシリーズ「彼岸島LOVE IS OVER」は、この映画版へと続く内容となっており、原作マンガ及びドラマファンにとっても、その結末がどうなるかが非常に話題となっていた本作。

主演はテレビシリーズと同じく、白石隼也と鈴木亮平がそのまま続投!予告編を見る限り、劇場の大スクリーンに繰り広げられる吸血鬼軍団との対決は、TVシリーズよりも遥かにスケールが大きく、迫力満点の映像が楽しめるようになっているようだ。

今回鑑賞したのは、公開二日目の新宿ピカデリー午後の回。都内の上映館数が少ないためか、客席は半数ほどが埋まっていた。さあ、果たしてその出来はどうだったのか?

ストーリー

現代に蘇った吸血鬼たちに占領された「彼岸島」。2年前に島を訪れたまま行方不明になった兄・篤を探して島に辿りついた弟の明と仲間たちは、吸血鬼と化した者たちと壮絶な戦いを繰り広げながら生き延びていた。明たちは島のレジスタンスと共に、吸血鬼に対抗する唯一の手段である「501ワクチン」の奪取のため、旧日本軍の研究施設へ向かうのだが・・・。

実は過去にも映画化されていた!
2010年の映画版との違い

実は今回の映画版よりも以前、2010年に一度「彼岸島」は映画化されている。監督が韓国のキム・テギュンだったこともあり、原作漫画のテイストとは違って、かなり真面目に映画化してしまったことでも有名な作品だ。一番の違いは主人公の明が、映画の終盤まで殆ど闘いの際に役に立たない!という点だろう。確かに原作漫画の序盤の映画化なので、仕方がないと言えば仕方がないが、「彼岸島 デラックス」のような原作漫画でも盛り上がる部分の映画化と比較すると、残念ながらかなり見劣りしてしまうのも事実。

両作品とも、アクションは確かに日本映画のレベルを越えているのだが、2010年版では主要登場人物への欲求不満が、せっかくの素晴らしいアクションをも台無しにしてしまうため、全体の印象がなんとも微妙なものになってしまったのは、非常に残念なところだ。

ただ、敵ボスである雅に関しては、「彼岸島 デラックス」よりも2010年版の方が数段上だと言える!これはひとえに雅を演じた山本耕史の好演によるところが大きい。後で触れるが、この雅の貫禄の無さと違和感が、今回の「彼岸島 デラックス」の大きなマイナスとなっているだけに、「出来れば山本耕史の続投が実現して欲しかった・・・」と思わずにはいられなかった、とだけ言っておこう。

彼岸島 デラックス 01

(C)2016「彼岸島」製作委員会

変態仮面VSウイザード!
変身無しでもヒーロー物は成立する!

「面白そうで観に行きたいけど、漫画もドラマも見てないし・・・」、はい、そう思っている方でも大丈夫!
原作マンガの名場面を散りばめつつ、OPタイトルで2013年のTVドラマ版のあらすじをテンポ良く紹介してくれるので、ドラマや原作を読んでいなくても、十分楽しめる本作。

今回のリブート版の魅力の一つと言えるのが、そのファンのツボを突いた豪華なキャスティングだ。主人公の明には、「仮面ライダーウィザード」の白石準也、明の兄である篤には、「変態仮面」やNHK朝ドラで全国区となった鈴木亮平。この夢の対決が大スクリーンで見れるだけでも、劇場に足を運ぶ価値はあり!なのだが、それ以上にオススメしたいのが、そのアクションシーンの凄さだ!

例えば、ワイヤーアクションの多用により、ノンストップで続く剣による切り合い。CGで大スクリーンに再現された、吸血鬼が暴走巨大化した「邪鬼(オニ)」との戦いなど。主演の二人が大スクリーンで暴れる様は、正に「変身しないヒーロー映画」とも言えるレベルに仕上がっているので、戦隊ヒーロー物ファンにも自信をもってオススメ出来る。実際、本作の鑑賞中、「ああ、劇場版の仮面ライダーも、これくらいのアクションで観せてくれたなら・・・。」そう思わずにはいられなかったほどだ。

うーん、でも確かに、
ネットの否定的意見にも一理あるかも?

前述したように、俳優陣の力の入れようとアクションの凄さ、そしてほぼ全編がアクションの連続で描かれるなど、観客へのサービス満載な本作。しかし、意外にもネットでの評価が極端に低い。果たして、それは何故なのだろうか?

その原因として、例えば作品の雰囲気と流れを壊す登場人物の存在や、敵ボス役を演じる役者の貫禄の無さと濃すぎるメイクへの違和感など、色々な原因が上げられるのだが、最大の原因はそのラストにあると言えるだろう。

ここでそのラストの展開について触れるのは避けさせて頂くが、確かに原作漫画がかなりの大河ドラマと化して、闘いの舞台が島を出て日本全土まで広がってしまっているため、もはや物語を完結させるためには、「ウオーキングデッド」並みの長期TVシリーズ化構想が必要だとも言える「彼岸島」サーガ。

実は本作冒頭の展開を見た時、てっきりこれは続編である「彼岸島ー最後の47日間」を扱った内容だと思ったのだが、実際は映画公開の直前に放送された全4話のテレビドラマの総集編的内容だったりしたのも、観客の期待を裏切る結果となった原因かも知れない。
(本作冒頭の描写が「最後の47日間」オマージュであることは、原作ファンへのサービスだと言えるだろう)

記事の冒頭で紹介した様に、現在もまだ原作漫画が完結せず続いているだけに、これからまだまだ描かなければならないエピソードが後に控えているのも事実。ここは是非とも映画の続編、そしてTVドラマの次期シリーズが製作されることを期待したいところだ。

彼岸島 デラックスmain2

(C)2016「彼岸島」製作委員会

最後に

実は今回の映画鑑賞中、映画の内容以上に興味深い出来事に遭遇した。

新宿ピカデリーでの映画上映前、自分の座席に座ってCMや予告映像を見ていると、最前列の通路をかなりカラフルで派手な物体が移動しているのに気がついた。クリスマスツリーか、或いはクジャクか?一瞬ハロウィンの仮装かと思ったが、それにはまだまだ早過ぎる。

よくよく目を凝らして見ると、どうやら人間、そう派手な服装をした人間だと判明。

そこで、「あ!」と気がついた。そうです、新宿で派手な格好の人と言えばあの人、新聞配達でお馴染みの「新宿タイガーマスク」その人じゃないですか!

実は以前、テアトル新宿近くの「ドトール」に、タイガーさんが新聞を配達に来ているのを目撃したことがあったのだが、まさかあのド派手な格好で映画を観に来られていたとは!実際タイガーさんのお陰で、ちょっとテンションが上がった状態で「彼岸島 デラックス」を鑑賞できたので、ある意味幸運だったと言えるかも?

もしかしたらあなたにも思いがけない出会いがあるかもしれないので、劇場での鑑賞がオススメだと言えるでしょう。

(文:滝口アキラ)

    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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