えっ!あの有名人がこの映画の吹替を?TV放映洋画の意外な吹替声優とは?

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Photo credit: weegeebored via Visual Hunt / CC BY-ND

実は、今年2016年は、日本で「洋画の日本語吹替え」というカルチャーが始まってから60周年という、記念すべき年にあたることをご存知だろうか?

劇場に行けない世代の子供達やお年寄りにとって、かつて一番身近な映画鑑賞形態であった、「日本語吹替え」による洋画のテレビ放送。
DVDレンタルから配信へと、その鑑賞方法も大きく変わろうとする現代においては、テレビで目にする機会が少なくなってしまったものの、日本が誇る素晴らしい文化であることは間違いない。

そこで今回は、昔テレビで放送された日本語吹替え版洋画に際しての、意外な人物の声優起用について紹介することにしよう。

意外な人物の声優起用、その時代背景とは?

今回紹介するような、「話題作りのための有名タレントの吹替声優起用」が急速に広まり始めたのは、1980年代に入ってすぐの頃。

当時流行し始めた「二時間物のサスペンスドラマ」に対抗するためと、どうしてもテレビ局同士での放映権獲得争いが起こる関係で、高額になりがちなテレビ放映権料の予算確保のためのタイアップ目的だと考えられている。

特に、放映日が金曜から土曜に移り、裏番組にテレ朝の「土曜ワイド劇場」を迎えて視聴率的に苦戦する事になったフジテレビの「ゴールデン洋画劇場」には、このような「有名タレントの声優起用」が目立っており、様々な意外過ぎる組み合わせに、放送当時から非常にワクワクしたものだ。

しかし残念ながら、これらの有名人吹替版はDVDソフトにも収録されていない物が多く、CSでの放送で目にするしか無い物も多く存在する。

ただし、最近のDVDソフト化において、テレビ放映時の吹替音声を収録するのがトレンドになっているので、いつの日にかこれらのバージョンを自宅で気軽に楽しめる日が来るのも、そう遠くはないと信じたい!

それでは、意外過ぎる吹替えの宝庫である、フジテレビの「ゴールデン洋画劇場」で放送された、今となっては激レアな吹替え版声優を、順に紹介して行こう。

「マッドマックス2」

マッドマックス2 (字幕版)

まず、テレビ放送のみでDVD音声には収録されていない、意外な吹替え声優起用の代表例と言えばこれ、「マッドマックス2」だ!

先日のCSでのシリーズ3作品の吹替版一挙放送においても、この「マッドマックス2」だけはテレビ放映版ではなく、山寺宏一バージョンでの放映となっていた。それでは一体、当時誰が吹替えたのかと言うと・・・。

マックスをなんと柴田恭平、ジャイロ・キャプテンをジョニー大倉が吹替えるという豪華さ!

これは、当時公開されていた「チンピラ」という映画の主役2人を、大胆にも「マッドマックス2」の吹替えに起用するという、まさにタイアップによる予算確保ありきの起用だった。個人的には、当時放送をリアルタイムで見て、ビデオにも録画して繰り返し見たのだが、もともとセリフ自体が少ないせいもあって、そんなに違和感はなかった記憶がある。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」

バック・トゥ・ザ・フューチャー (吹替版)

同じく意外過ぎる人物が、主役の2人を吹替えた例と言えば、これを紹介しない訳にはいかないだろう。最近午前10時の映画祭でもリバイバル上映されたあの名作、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だ!

実はこの作品、テレビ朝日開局30周年特別企画として、1989年に日曜洋画劇場で初放映された際は、主役のマーティとドクの声は、それぞれ三ツ矢雄二と 穂積隆信 が吹替えていたのだが、翌年の1990年にフジテレビのゴールデン洋画劇場で放送された際の吹替えを担当したのが、なんと、織田裕二と三宅裕司のWユウジ!実はこの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、放送局が変わる度に吹き替え声優も変更されるという、ファンにとっては困った作品でもある中でもこのWユウジの吹替え版は、見ている間どうしても2人の顔が浮かんで来る上に、あまりに 違和感があり過ぎて素直に楽しめなかったとしか言いようがない。

ただ、今となっては逆に超貴重なバージョンなので、何とかパッケージソフトにも収録して欲しいところだ。

「ブルースブラザース」

ブルース・ブラザース (字幕版)

続いて、やはり主役2人ともに、意外なタレントが吹替えに起用された例を紹介しよう。コメディ映画の傑作「ブルースブラザース」が、それだ!しかも2回放送されて2回とも吹替え声優が異なるという、非常にレアなケースでもある。

まず、初放送時の吹替えだが、ジョン・ベルーシを「せんだみつお」、ダン・エイクロイドを「小野ヤスシ」が担当。うーんこれは、まあ、キャラクター重視というか、方向性は確かに間違ってはいないのだが、見ていて2人の顔が浮かんできてしまうので、あまり映画には集中出来なかった、とだけ言っておこう。

後年リピート放送された時は、バブルガムブラザースの2人が主役の2人を担当したのだが、こちらは音楽性とビジュアルを重視した起用で、笑いの部分では負けているが、顔が浮かびにくい分映画に集中出来るので、これはこれで成功していたとも言える。ただ、2回の放送で声優が変更されたのは、視聴者からの評判があまり宜しく無かったのでは?とも考えられるが。

「タイタニック」

タイタニック (字幕版)

最後も、やはり主役2人に意外な人気俳優を起用した例を挙げておこう。あの超ヒット作にして不朽の名作、「タイタニック」だ!

2001年にフジテレビで前編後編を二日連続放送した際の吹替えが、なんと先頃結婚を発表した妻夫木聡と、ブレイク前の竹内結子!

この時期、妻夫木聡は主演映画「ウォーターボーイズ」が公開される直前、竹内結子はフジのドラマ「ムコ殿」の放送が終了した直後であり、どちらもフジテレビに関係が深かったための起用だった。ちなみにこの2人は翌年のフジテレビ月9ドラマ「ランチの女王」で共演を果たすことになる。更にはキャシー・ベイツの吹替え声優として、なんとあのラスボスこと小林幸子を起用するなど、とにかく話題性盛りだくさんな放送となっていた。

こうして放送された「タイタニック」、視聴率的には前編後編共に35%近い視聴率を上げたのだが、残念ながら視聴者からの評判はかなり悪く、2004年の再放送時には、主役2人の声に合わせた俳優を起用することとなった。ちなみにこの時の放送では、レオナルド・ディカプリオには、後年X-MENシリーズでジェームズ・マカヴォイの吹替えを担当する内田夕夜が、ケイト・ウインスレットには、後年アイアンマンシリーズでグィネス・パルトロウや、バイオハザードシリーズでミラ・ジョヴォビッチの吹替えを担当する、岡寛恵が起用された。この時のキャスティングが成功だったことは、後にこの2人が他の作品でも、ディカプリオとウインスレットの吹替えを担当するようになることからも、お分かり頂けると思う。

まとめ

以上、駆け足で紹介して来たが、最近の傾向としてソフト化の際に、テレビ放送時の「日本語吹替え版音声」を収録するのがトレンドとなっており、もう見られないと思っていた当時のテレビ放映バージョンが、少しづつ補完されつつあるのは、ファンにとっては非常に嬉しいことだと言える。また、これらをきっかけにして、放送当時は生まれていなかった若い世代の映画ファンにも、日本語吹替え版の魅力が認知されることを願って止まない。

さて、記事の冒頭でも紹介した通り、今年は日本で「日本語吹替え」が始まって60周年の記念すべき年。それを記念して、毎年9月に開催されている、「したまちコメディ映画際」でも、今年は「日本語吹替え版」に関係したプログラムが組まれているので、興味のある方や「懐かしい!」と思われた方は、是非この機会に参加されてはいかがだろうか?

「第9回したまちコメディ映画祭 in 台東」、公式サイト
http://www.shitacome.jp/2016/index.html

吹替え60周年記念上映『名探偵登場』
http://www.shitacome.jp/2016/program/program_fukikae.html

映画講義「とり・みきの吹替え“凄ワザ”講義」第2弾
http://www.shitacome.jp/2016/program/program_torimiki.html

声優口演ライブ したコメmeets 小津安二郎 【前夜祭】
http://www.shitacome.jp/2016/program/program_seiyu.html

(文:滝口アキラ)

    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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