美男美女の資質を活かしたウエルメイドなラブコメ『いきなり先生になったボクが彼女に恋をした』

いきなり先生になったボクが彼女に恋をした ポスター

(C)2016「いきなり先生」製作委員会

沖縄を舞台に、アジアのエンタメシーンをリードする韓国SUPER JUNIORのリードボーカル、イェソンと、米映画情報サイトTC Candlerが選ぶ「最も美しい100人」に毎年選出されつつ、女優としての成長も著しい佐々木希が主演するロマンティック・ラブコメディ『いきなり先生になったボクが彼女に恋をした』が公開されました。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.171》

美男美女こそ映画の、
そして松竹大船調の王道!

いきなり先生になったボクが彼女に恋をした サブ1

(C)2016「いきなり先生」製作委員会

『いきなり先生になったボクが彼女に恋をした』のストーリーですが……、会社をリストラされ、恋人にも浮気されてしまった韓国の青年ヨンウン(イェソン)が、ひょんなことから沖縄で外語学院で韓国語を教える羽目になりました。

彼のクラスの教え子には、シングルマザーのさくらがいました。先ごろ旅行会社の入社面接を受けて仮内定まで取り付けたものの、そのとき韓国語ができるとウソをついてしまったことで、その言葉をホントにすべく、ヨンウンに休日の個人レッスンをお願いするのですが……というもの。

ここではイェソンの日本語、佐々木希の韓国語といった、主演男女が相手の国の言葉を用いながらドラマが連なっていくというユニークな設定の下、美男美女のラブコメの妙を堪能できる仕組みにもなっています。

健気な日本語が好印象のイェソンの魅力に関しては女性陣にお任せするとして、男たるこちらとしては断然、佐々木希の美しさに目が行ってしまうのが人情ではあるのですが、このところの彼女は、特に15年の『さいはてにて~やさしい香りを持ちながら~』以降、どこか映画に魅せられたかのように、以降どの作品を見ても存在感が好もしく増しているようで、本作も例外ではありません。

そもそも美男美女というのは映画における王道であり、それはまた松竹大船ならでの伝統でもあるわけですが、今回はその伝統を継承する朝原雄三監督の演出にも注目したいところです。

朝原雄三監督の
憂いある才覚

いきなり先生になったボクが彼女に恋をした サブ3

(C)2016「いきなり先生」製作委員会

『釣りバカ日誌14お遍路パニック』(03)から『釣りバカ日誌20ファイナル』(09)まで名物シリーズの演出を任い続けてきた朝原雄三監督は、山田洋次監督の愛弟子として松竹大船調のスピリットを受け継いできた監督でもあり、釣りバカシリーズも彼が担当して以降はドタバタの中にもどこか憂いが見え隠れするようになり、また毎回のヒロインをしっとりと美しく描出するセンスの良さもうかがわれます。

それは続く時代劇『武士の献立』(13)や現代劇『愛を積むひと』(15)でも変わりなく、さらには本作のような軽快な若者たちのラブ・ストーリーでも才を発揮しているように感じます。

特に今回は韓流ラブコメディ的な雰囲気を醸し出すべく、バタ臭い演出なども意識的に採り入れているようで、特に佐々木希が登場するまでのイェソンと周囲の人々(佐藤正宏とふせえりが絶妙!)とのやりとりなどにそれを感じました。

また、韓国と日本、沖縄といった現在複雑な状況下にもある風土の問題を、映画はそういった壁など優に乗り越えられるとでもいった信念で、あえて微笑ましい世界観によって包み込んでいく慎ましやかさも、彼ならではの持ち味だと唸らされます。
(もっともその意味では今回、佐々木希に沖縄言葉を使わせれば、より世界観が深まったのになという気もしないではありません)

とにもかくにも朝原映画のヒロインはいつも美しくオーソドックスな佇まいの中から魅力的に捉えられており、それは本作の佐々木希を見れば一目瞭然。

第29回東京国際映画祭での特別上映の際、シースルーの艶やかなドレス姿の彼女にも目を奪われましたが、かたや劇中での等身大の姿も麗しく素敵で……やはり映画とは美しいものであってほしいものと改めて唸らされてしまった次第です。

なお、映画の終了後は、イェソンと佐々木希が再び画面に登場して、韓国語講座を4週連続開催してくれます。第1週は自己紹介でしたが、2週目以降は何が来るか、ぜひリピートしてみてください。

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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