カワイイ動物たちに激萌え!映画「ペット」が伝えたかった事とは?

ペット サブ5

(C)Universal Studios.

可愛い動物たちの大冒険を描いて、現在大ヒット公開中のアニメ映画、「ペット」。

敵キャラであるはずの白ウサギ「スノーボール」の可愛さや、メスのポメラニアン「ギジェット」の一途な恋心についつい夢中になって、「あー、面白かった!」と大人でも思わずにはいられない、まさに夏休みのファミリー映画&デートムービーに最適な作品だと言える。

実際、今回自分が鑑賞した大阪梅田のシネコンでは、朝一番の上映にも関わらず、一番大きな700人収容のスクリーンでの上映だったほどだ。ほぼ満席に近い劇場内では、子供達の笑い声があちこちで聞かれ、終了後の観客たちの顔も、とても満足そうだった。

そう、キャラクターたちの可愛さと、前半部のギャグの連続から後半の大冒険まで、確かに本作はサービス満点で本当に面白く楽しめる。しかし、観終わってから若干胸に残る、この不穏でモヤッとした気持ちは何だろう?ひょっとして、何かこの作品には隠されたテーマがあるのではないだろうか?実は、そんな気持ちが日毎に強くなっていったのも確かだった。そこで、今回は映画「ペット」の隠されたテーマについて考えてみようと思う。

飼い主とペット、一見理想的な、お互いに干渉しない生活

ペット

(C)Universal Studios.

原題「The Secret Life of Pets」が示す通り、本作の前半で描かれるのは、飼い主が昼間家を留守にしている間に、家に残されたペットたちはいったい何をしているのか?という部分だ。たった一人(一匹?)家の中に取り残されて留守番をさせられるペットたち。彼らの自由過ぎる日常を描いた前半部分は、予告編でも観られる様に、とても面白く描かれている。

飼い主の目を気にすることなく、部屋の中で思いのままに振舞うペットたち。一見その面白さに見過ごされてしまいそうだが、実はこの部分、飼い主が外出するとペットだけが家に残される=人間側の家族の不在を描いている。つまり孤独な飼い主にとっての唯一の家族こそがペットであるという、都会生活の裏側をも同時に描いているのだ。

一緒に住みながらも、ペットと人間ではお互いに干渉することなく、飼い主が家にいない時間、ペットも自分の好き勝手な時間を過ごしているという、まさに両者にとって理想的な都会生活。そんな中、主人公である犬のマックスだけは、ただじっと主人の帰りをドアの前で待っている。一見飼い主に対して忠実に見えるマックスだが、実はこれは飼い主に全てを依存していることに他ならない。そのため、隣のマンションに住むポメラニアンのギジェットの、自分に対する気持ちにも、マックスは全く気が付かずにいるほどだ。

そんなある日、飼い主のケイティがいきなり同居犬として、大型犬のデュークを連れてくる。独占していた飼い主を取られることと、今までの気ままな暮らしを台無しにされたことで、二匹の間には諍いが生まれ、やがて散歩中のあるトラブルをきっかけに、マックスは今まで知らなかった外の世界と、捨てられたペットたちの残酷な事実に遭遇することに。ついには野良犬と間違えられて町を逃げ回るマックスとデューク!

こうして映画の後半では、我が家へ帰るための二匹の大冒険が始まることになるのだが・・・。

映画「ペット」が本当に伝えたかったものとは何か?

ペット 新メイン

(C)Universal Studios.

映画を観て判るとおり、ケイティがデュークを連れてきたのは、マックスに友達を与えるため、それにデュークが野犬収容所で処分されようとしていたからなのだが、飼い主に依存していて自分の周囲にしか目を向けられないマックスには、彼女の気持ちが理解出来ない。

そんな敵対する二匹が、突然広大な外の世界に放り出され、我が家へ帰るために協力し合う中でお互いの過去や考えを理解し、やがて他者の存在にも目を向けられるようになり、マックスはデュークを新たな家族として迎えられるまでに成長することになる。

家族として同居する中で、それぞれの生活での衝突やトラブルも当然あるが、最後に帰るべき場所である家=家庭があること、更には帰って来る自分を迎えてくれる存在=家族がいることがどんなに幸せで大切か?

実はそれこそが、本作で描きたかった部分ではないだろうか。。飼い主とペット、どちらもお互いを必要としていることに気付き、明日から飼い主がペットにもう少し感心を配れるようになれば、野犬収容所で最後を迎えたり、飼い主の身勝手な理由で捨てられるペットもきっと減少するのに。本作を鑑賞中、そんな製作側の主張が聞こえてくるような気がしていた。

実は映画の随所に見られる、意外な残酷さと暗さ

ペット サブ2

(C)Universal Studios.

冒頭にも書いた、鑑賞後に胸に残る「不穏でモヤっとした気持ち」。実はそれは、おそらくこの作品に隠された意外な残酷さと、暗い現実によるところが多いのではないだろうか。

例えば、屋上に飼われている「鷹」のタイベリアス。猛禽類だと知らずにタイベリアスが繋がれている小屋に入ったギジェットの足元に散乱する、無数の小動物の骨!あるいは、人間に捨てられた元ペット集団の仲間に入る儀式として登場する、巨大なニシキヘビ。デュークの元飼い主のエピソードや、繰り返し登場する野犬収容所の職員、捨て猫たちが集団で現れるシーンの不気味さなどなど。

一見この作品の内容には相応しくない要素が、結構多く含まれているように見えるが、実はこれらのシーンには重要な意味がある。

前述した「鷹」のタイベリアスのシーンを例にとってみよう。最初はギジェットをエサとして食べようとする彼だったが、「本当は寂しくて友達が欲しい」という自分の気持ちを吐露し、ギジェットと友達になってからは、彼女に協力してマックスを探すのに力を貸してくれるのだ。

お互いの本心をぶつけ合って分かり合うことで、その狂暴な感情や本能的欲望も越えられる。お互いへの無関心と自己中心的な考え方こそが、いかに社会の様々な問題の原因となっているか。そんな要素が実はこの部分に隠されているのではないだろうか?

その他のシーンにも、いったいどんな意味が隠されているのか?それはぜひとも、ご自分の眼で観て判断して頂きたい。ファミリー向けのアニメでありながら、妥協することなくこれらの描写を入れた製作陣の熱意を、どうか劇場で感じ取って頂ければと思う。

最後に

ペット サブ4

(C)Universal Studios.

今いる場所から一歩踏み出して、外の広い世界に目を向けることで、きっと今まで無関心だった人たちや社会の現実にも目を向けられるようになる。

本作で描かれるのは、自己中心的な生き方でなく、「利他的行動」や他者への思いやり・助け合いが、いかに社会生活に必要かという点だ。

飼い主とペット、どちらもお互いにとって必要で大事な存在だということ。そこに気が付いた時こそ、初めて家族としての絆が生まれるのではないだろうか。動物好きな方もそうでない方も、大人も子供も幅広い層がそろって楽しめる映画、「ペット」。この夏、ぜひあなたも劇場で、このカワイイ動物たちと大冒険の旅に出かけてみては?

(文:滝口アキラ)

    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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