「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」キム・ギドク監督がロマンポルノを撮る条件としてあげたこととは・・・・。

行定勲監督 ジムノペディに乱れる 日活ロマンポルノ1

『ジムノペディに乱れる』(C)2016日活

ロマンポルノが大好きで、日活に入ってしまった!!

日活ロマンポルノ45周年を記念した「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」のメイン・イベントとして、11月26日からの「ジムノペディに乱れる」を第一弾に5人の監督による新作ロマンポルノが連続公開される。

その上映館である新宿武蔵野館では同時に旧作ロマンポルノ作品を日替わりで上映中だが、11月17日には「大人の学校/ロマンポルノ・リブート・プロジェクト応援イベント 亀山早苗ゼミ 第2回『女が胸熱! 新旧・日活ロマンポルノの魅力!!』」と題したトーク・イベントが新宿で行われた。これは「不倫の恋で苦しむ男たち」「人はなぜ不倫をするのか」などで知られるフリーライター・亀山早苗が中心となり、今回のリブート・プロジェクトを担当する日活映像事業部門編成部サブリーダーの高木希世江、同社配給宣伝部の滝口彩香と共に、女性3人が熱くロマンポルノを語ろうというイベントである。

特に日活に所属するふたりの女性は、口を揃えて「日活ロマンポルノが好きで、日活に入りました!」と豪語するほど。そのふたりが特に好きなロマンポルノ作品について語ると、高木は「神代辰巳監督作品が大好き。中でも『一条さゆり 濡れた欲情』は、元気が出る一本」だと言う。「伊佐山ひろ子の演じる女性がまっすぐで、落ち込んでいる時に見ると元気になる。この作品は、特に神代監督の権力嫌いがよく表れています。それが凄く良いのです。脚本家の笠原和夫さんがこの映画を見て、『仁義なき戦い』は“あ、こう書けば良いのか”と分かったそうです」。

「2012年にユーロスペースで行われた『生きつづけるロマンポルノ』という特集上映に行ったら、凄く面白くてどんどんハマって行きました。そこで初めて日活という会社にフォーカスし、就活戦線を勝ち抜いて入社しました」とは滝口。特に好きなロマンポルノ作品は「『㊙色情めす市場』。これはもう、国宝です。ユーロスペースの特集上映で2回見ましたが、2回とも立ち見でした。主演の芹明香さんがめちゃくちゃ良くて、彼女が映画の冒頭で“うち、なんや逆らいたいんや”と台詞を言ったところで、名作であることを確信しました。あのアナーキーさには憧れますね。当時私は22歳でしたが、学生という身分から社会に出なくちゃいけない時、可愛い女性像ではなく、凜として生きている女性はとても格好良くて!!」。

滝口の思いは、先輩である高木に負けていない。

「ただただまぐわうのが良いんです、男と女は」

亀山早苗が最も愛する日活ロマンポルノは、神代辰巳監督の「赫い髪の女」。

赫い紙の女001

 

「とにかく、ずーっとやってるだけの映画なんです。ただただセックスしてる。石橋蓮司がトラックの運転手を演じていて、宮下順子を誘うんです。でも宮下順子の役名がない。で、なぜかボロボロのアパートに彼女が転がり込んできて、ただただやってる。彼が帰ってくるまでの間、彼女はインスタントラーメンを作るのですが、それさえうまく作れない。そのあたりが良いんです!(ここで滝口、「そーそー!!」と同意)」。

男女の関係や女性の生き方について多くの著書を持つ亀山は、日活ロマンポルノに男女の最もピュアな姿を見いだしているようだ。

「男と女って、それでいいんですよ。恋愛で成長したり、上を目指すとかしがちだけど、一緒にいるだけでいい。『赫い髪の女』で、彼と彼女が住むアパートの部屋には、いつも炬燵があるんですが、それを使わなくても、いつもまぐわっている方が温かい。ただただまぐわうのが良いんです、男と女は」。

日活ロマンポルノ
↑左から滝口彩香、高木希世江、亀山早苗

「キム・ギドク監督に50回、“ノー、サンキュー”と言いました」

行定勲、塩田明彦、白石和彌、園子温、中田秀夫といった現役監督たちが挑んだロマンポルノ新作5作品についても、彼女たちの熱いトークは止まらない。

高木は「今度のリブート作品について、見た人に聞くと“ここがエロい”というポイントが、みんな違うんですよね」と言う。ロマンポルノのどこにエロスを感じるかということも、時代の流れとは無縁ではないようだ。

「私の世代は生まれた時からAVがありますから、AVはエロく感じますけど、かつてのロマンポルノは、いわば月9ドラマのその後が見える感じ。それは男女の関係を描く上でとても重要で、そのリアルさがフォーカスされている」と滝口は指摘する。

ところが亀山は「いや、私はAVのほうがエロくない。あれはスポーツ。作品としてエロいかエロくないかは個人的には重要ですね。ラーメンの汁がエロかったり。みんなエロポイントが違うんですよ」と、エロスの多様性を肯定的に述べる。

「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の新作には、「上映時間80分前後」「10分に1回の濡れ場」「製作費は全作品一律」「撮影期間は1週間」「完全オリジナル作品」「ロマンポルノ初監督であること」などの条件が設定されたが、監督の候補には多くの人材が上がり、海外の映画監督にも打診をしたと言う。中でも滝口がプッシュしたのが過激な作風で知られる、韓国のキム・ギドク監督だ。

「お話をしに行ったら、監督が“撮っても良いけど条件がある。それは、君が主役をやることだ”と言われ、“ノー、サンキュー”を50回ぐらい言いました」と滝口。もし実現すれば、次の「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の目玉作品となるかもしれない。

(文:斉藤守彦)

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    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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