ボーイズラブならぬ「隠れガールズラブ映画」だった「貞子vs伽椰子」!その内容とは?

貞子vs伽椰子 (C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

今や大人気の「戦慄怪奇ファイル・コワすぎ!」シリーズをはじめ、その作品の面白さでは抜群の信頼感を誇る白石晃士監督が、なんとあの「リング」シリーズの貞子と、「呪怨」シリーズの伽椰子が対決する映画を監督する!このニュースが流れた時、我々映画ファンは皆驚き、そして期待に胸を膨らませたものでした!

月日は流れて早6月。遂に先日、「貞子VS伽椰子」が劇場公開され、多くのホラー映画ファン、そして白石監督のファンが劇場に駆けつけたわけです。

思えば、これほど公開前からその賛否が話題になった映画も無かったのではないでしょうか。確かにここ数年のリング&呪怨シリーズの内容を見るにつけ、果たしてどんな映画が出来るのだろうか?そう考えたファンも多かったことでしょう。ネットの質問サイトでも、観た人に「どうでした?観にいっても大丈夫ですか?」と聞いている方が非常に多く見かけられました。気にはなるけど、見るのが不安。きっと皆さん、そんな思いを抱いていたのではないでしょうか。

さて、公開初日、期待と不安が交錯する中で観にいった自分が、スクリーンで目撃した、その出来栄えは・・・・。

文句なし!

ファンの期待に見事に応えた作品でした。

正直、ここまで逃げずにガッツリ「貞子」と「伽椰子」を対決させるとは!

劇場に行こうか迷っている方は、安心してください。

今すぐ観に行って大丈夫です!

貞子vs伽椰子 バトル映像 ネタバレ (C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

ストーリー

見た者は必ず二日後に死ぬという、半ば都市伝説化している「呪いのビデオ」を、偶然に手にしてしまった女子大生の有里と夏美。そして、入った者は必ず死ぬという呪いの家に、半ば呼び寄せられるように入ってしまった、女子高生の鈴花。この二つの呪いを解くために、霊媒師の経蔵と助手の玉緒が取った最終手段。それは貞子と伽椰子を激突させて同時に消滅させるというものだった!果たして秘策は成功するのか?

いまどきビデオテープって・・。そんな偏見を吹っ飛ばすアイディアが凄い!

まず、誰もが思ったであろう、「ネット配信の時代に、いまどきビデオテープ?」という疑問点。実はこの部分の改善こそが、本作成功の最大の要因だと言えるでしょう。

この4K、8K当たり前の高画質時代に、あえてビデオテープを見なければならないという見事な理由、そして、一番ビデオと縁遠いと思われる女子大生に、呪いのビデオが渡るまでのその見事なアイディア!この導入部を見ただけで、本作の成功を確信した!そんなファンも多かったのではないでしょうか?

実は、白石監督がプロジェクトに加入する前は、ビデオテープではなくDVDが登場することになっていたそうですが、白石監督の考えでVHSに戻されたとのこと。さすが、白石監督!その判断は120%正しかったと断言しておきましょう。とにかく、白石監督によるこの見事なアイディアを見るためだけでも、劇場に足を運ぶ価値は十分にあると言えます。

貞子vs伽椰子 (C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

ヒメアノールに続く、佐津川愛美の女優魂に注目!

以前紹介した「ヒメアノール」の記事でも触れたのですが、本作でも佐津川愛美の「女優魂」は健在でした!
特に悪霊払いのシーンでの彼女の頑張りは凄く、ヒメアノールの時とは、また違った役に挑戦していて、文字通り体を張った体当たり演技を見せてくれます。

もちろん今回のW主演である、山本美月と玉城ティナの演技と透明感も素晴らしいのですが、作品を通して物語を牽引するのは、やはり佐津川愛美の「女優魂」だと言えるでしょう。この後も続々出演作品が公開されるだけに、今後の活躍にも期待大です。

更には、一見金の亡者のように見えて、実は頼りになる霊媒師・経蔵役の安藤政信のカッコよさ!「夜まで休んでろ!」など、さりげなく気遣いの出来るこの男!経蔵と助手の玉緒のスピンオフ作品、あるいは彼らが出会うまでの前日譚が観たい!との感想が多いのも無理は無い、そう思えるキャラの立ち方。まさに「ツンデレ」を体現したような経蔵だけに、女性観客が多数劇場に足を運んでいるのも納得と言えるでしょう。

貞子vs伽椰子 (C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

実はBLならぬ、隠れ「ガールズ・ラブ映画」だった!

「白石監督の過去作品には、「ガールズ・ラブ要素」が必ずと言っていいほど存在してきた。」

実はこの概念は、「ねとらぼ」での金田淳子さんと白石監督との対談記事の中で語られていたのを読んで、改めて気がついたのですが、たまたま「貞子VS伽椰子」鑑賞前に読んだこの記事のおかげで、「これは女の子二人の愛の物語なんだ」。そういう気持ちで鑑賞したところ、まさにその通りとしか思えない内容でした!

特に有里と夏美が最初にスクリーンに登場するシーンに注目です!さすが、金田淳子さんの目は鋭い!

たしかに本作を単なるホラー映画として見た場合、色々と不満や疑問もあるかも知れません。しかし「ガールズ・ラブ映画」として見れば、ラストで有里が流す一筋の涙の意味合いが全く違ってしまうし、なにより要所要所に隠された深い意味が理解できると思います。(これはあくまでも個人の見解です、念のため)

貞子vs伽椰子 対決シーン (C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

最後に

過去のシリーズと比べて評価が低かったり、ホラー映画としては怖くない、お祭り映画として面白い!など、観る人によって非常に意見が異なる本作ですが、間違いなく最良の条件で製作されたリブート作品&二大対決映画としての傑作であることは間違い無いでしょう。

特に本作の裏に隠された、「ガールズ・ラブ要素」がかもし出す独特の浮遊感と透明感が、主演女優陣の存在感と相まって、本作に単なるホラー映画以上の「何か」を観客に感じさせることに成功しているのは、白石監督の演出力によるところが大きいと言えます。ラストの展開に感じた、かすかな悲しみと安堵感。

それこそは白石監督の過去作に共通する要素なのですが、こうした白石監督の持つ「登場人物へのやさしい眼」こそ、単なるホラー映画を越えた魅力を作品に与える秘密なのではないでしょうか?

ホラー映画が苦手な方、特に女性には無条件でオススメしたい傑作ですので、是非劇場でその奥深い世界を楽しんで頂ければと思います。

(文:滝口アキラ

    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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