意外過ぎる答え続出!「貞子vs伽椰子」の疑問を白石監督に直接質問してみた!

ホラー映画ファン待望の新作映画「貞子vs伽椰子」が遂に公開されたので、さっそく初日に鑑賞してきました。

貞子vs伽椰子 (C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

かなり前から、公開されたら絶対に取り上げよう!そう決めていましたので、実は今回の記事執筆にあたり、普段より交流のある白石晃士監督に、直接メールで色々とインタビュー&質問をさせて頂きました。

主に劇場パンフや雑誌などのインタビュー記事では触れられていないことや、個人的に映画を観て疑問に思ったことなど、思いつくままにお尋ねしてみた感じです。
まずは、鑑賞前日に送った白石監督へのメールと、そのご返答を紹介したいと思います。

「貞子vs伽椰子」鑑賞前の白石監督への質問と、頂いた回答

滝口:まず、本作の映画撮影にあたって、「これだけは、やってやろう」と思った点と、「これだけは、やらないでおこう」と思った点はありますか?
また。過去の貞子&呪怨シリーズの中で、参考にされた作品がありましたら、是非教えて頂ければ幸いです。

白石監督:「貞子と伽椰子を誤魔化さずにちゃんと対決させようと思っていました。貞子と伽椰子の対決をうやむやにすることは絶対やらないぞと思ってました。
過去シリーズで参考にしているのは、何となく記憶に残っている断片と、『リング』とビデオ版1作目の『呪怨』です。」

滝口:次に、白石監督が関わる前と、ご自身が加入されてからの作品の方向性で、特に変わった点や、増えたor削られたキャラなどはありますでしょうか?

白石監督:「あまり詳細は覚えていないのですが、内容はかなり変わっています。キャラが増えたり減ったりもありますし、元のキャラの要素を全然違うキャラに託したり、それは変異や細胞分裂みたいなものなので分かりやすい説明はできないですね。」

滝口:最後に、具体的に監督の中で、「あ、これならこの映画は勝てる、あるいは、大丈夫、成功する」と思った瞬間は、どんな時でしょうか?

白石監督:「最初に繋いだラッシュを見たときに「面白いな」と思えたので、勝算はあると感じました。」

はい、実は以上が鑑賞前日に白石監督に送った質問メールへのご返答です。この時点では、自分も極力前情報を遮断していたため、そんなに詳しい質問も出来ず、そのため白石監督のご返答も「一問一答」的な感じになっていました。

そしてついに「貞子vs伽椰子」を鑑賞!結果は、見事に観客の期待に応える素晴らしい作品でした。

貞子vs伽椰子 バトル映像 ネタバレ
(C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

ただちに白石監督にこの想いを伝えたく、家に帰ってから速攻メールで質問を送らせて頂いたところ、1時間もしないうちに非常にご丁寧な返答を頂きました。

以下はそのやり取りです。

鑑賞直後、白石監督に聞いた11の質問とその意外な回答!

滝口:実は、個人的に今回一番危惧していたのが、リングから20年が経過して、すでにVHSビデオという物を知らない世代が、観客のメイン層である現代に、果たして貞子を登場させても、嘲笑の対象にしかならないのでは? ということでした。

しかし、映画の導入部を観て、それはいらない心配に過ぎないということが判りました。
今回、あえてVHSのフォーマットを変えなかった白石監督の判断は、正しかったと思います。

この高画質4Kの時代に、VHSビデオを見なければいけなくなるシチュエーションの設定と、一番VHSと縁遠い女子大生に呪いのビデオが渡るアイデアの素晴らしさと説得力!もはやこの時点で、この作品の成功は100%確信出来たと思います。

質問:1  この辺のアイディアは、白石監督のものでしょうか?それとも参加前にすでに脚本にあったのでしょうか?

白石監督:「ビデオテープは私のアイデアです。参加前のプロットには、確かDVDで出ていたと記憶してます。若い人が親しんだメディアより、ちょっと距離のあるメディア、世間的にも忘れ去られ消えつつあるメディアの方が、ミステリアスで面白いと思ったのと、VHSのアナログな不鮮明さの映像とノイズがホラーに効果的だと思いました。そしてこのタイミングだからこそ、VHSが「出せ」と言っているような気がしまして。」

質問2:「ねとらぼ」の金田淳子さんとの対談でも触れられていたとおり、これは女性同士の恋愛を描いた作品だと考えると、作品中に散りばめられた様々な描写やヒントも考慮にいれて、有里と夏美のラブストーリーがこれで成就したとも感じられ、ラストに感じる悲しみと、かすかな安堵感の説明がつくのでは? とも思ったのですが?

白石監督:「ま、私はそこまで考えていませんけどね!笑」

質問3: 白石監督的に、本作のラストの展開に込められたものとは、何でしょうか?

白石監督:「込められたもの」、そうですね、「衝突しよう」ってことかもしれません。人が生きていく上で衝突を避けてばかりいるとロクなことがないので、好戦的という意味ではなく衝突すべきは衝突すべき、その先には何があるかわからない、失うものもあるだろうし決裂なのか融合なのか消失なのか新たな細胞分裂なのか、未知ではあるけど一歩前に進める、だから「衝突しよう」ということだと思います。

滝口:実は、今回監督が非常に苦労されたのは、「呪怨」パートなのでは?と感じました。
「呪怨」のキャラが登場すると、どうしても笑いが起きてしまうのと、あの家に入らせなければ成立しないという事で、今回結構「力技」で「貞子」側に繋げたようにも感じられたものですから。
あの家の裏に井戸があったり、なかなか貞子パートとリンクしなかったり、結構観てる方はドキドキしながら観てましたが、結果的には、よりスピーディーに物語が展開して良かったと思います。特に、小学生が登場するシーンの描写は、非常に難しい内容を良く描いた!と思いました。

質問4:「伽椰子」パートの扱いについて、ご苦労とか、こだわりはありましたでしょうか?また、小学生に対する描写については、製作側から何か言われたりはしませんでしたか?

白石監督:「貞子の世界も伽椰子の世界も、どちらも世界を寄せてますね。力技といえば全編力技ですのでどちらが、ということはないですが、伽椰子側は人が家に入ればほぼ即死という法則ですから、出せば出すほど人が死ななくてはいけなくなって「貞子」パートより目立ってしまうので、そう見えないようにバランスをとった感じです。
井戸は角川のマストなリクエストです笑。即したロケ場所も見つからなかったのでかなり強引ですね。セットを作れば「家の中の井戸」もできたんですが、そんな予算は与えてもらえなかったので。なのでこのノリが許容できるような世界観にすること、強引ながらもちょっとした工夫(金網を両方の場所に出して共通性を出したり、明るい時間の林の抜けの、全く住宅街などあり得ない光景が見えないようにアングルを調整したり)はしました。
小学生の描写は「かわいそうだな」とは言われましたが、特に変更を強いられたりはなかったです。すんなりでした。」

滝口:実は以前、ヒメアノールの映画評をこの連載記事で書かせて頂きまして、その時も佐津川愛美さんの演技力が凄い!と思ったのですが、本作でも全く違うキャラを演じていて見事でした。特に悪霊払いの祈祷シーンでの頑張りには、彼女の女優魂を見た感じがします。

質問5:あの水を飲ませるシーンは、何テイクくらい、或いは何時間くらいかかって撮影されたのでしょう?

白石監督:「あんまり覚えてないんですが、社務所のシーン(霊能者に会うところと、呪いのビデオを有里が見て経蔵が来るところ)も屋外のシーンも含めて、神社関係は確かまるまる2日間で撮ったと思います。祈祷の開始から夏美が白眼になるまででしたら、3時間くらいじゃないでしょうか。テイク数は、顔に水をかけるのが上手く顔に水が当たらなくて確か3回で時間切れ、他は1テイクか2テイクで進んだと記憶してます。」

滝口:実は今回、白石監督の過去作を観ている人間には、「あ、ここはあれに似てる」という場面が意外に多くて、それも楽しみの一つだったのですが、特に経蔵のキャラクターと悪霊払いのシーンにそれが感じられました。「コワすぎ!」ファンには、特に楽しめる要素が多かったと思います。中でもあの女性霊媒師の存在感と説得力が凄かったのですが、残念ながら劇場パンフには、役者さんの名前が出てないんですよ。

質問6:あの方は当然プロの役者さんだと思うのですが、起用した理由はあるのでしょうか?また、あの女性霊媒師の元になったキャラとかはありますでしょうか?(経蔵&玉緒が、ブラックジャックとピノコのような)

白石監督:「法柳役の堂免一るこ(どうめん・いちるこ)さんは、キャスティング担当に候補の映像資料を集めてもらって、その中から決めました。顔面力と威厳が決め手です。元になったキャラは、私が過去に心霊番組で見てきた威厳ある霊能者や横柄な霊能者などの累積で、特に誰というのはないです。」

質問7:もしも続編が出来るとしたら、どのような感じになると思いますか?また、「コワすぎ!」の登場人物や、宇野祥平さんの登場などは可能性としてあり得るでしょうか?

白石監督:「真面目に答えると、続編のことは何も考えていないので、依頼が来たら考えます。今のところ自分の他の作品と世界観を直接繋げるつもりはないです。」

滝口:今回、過去作と比べてもかなり製作規模が大きかったのでは、と思われるのですが、

質問8:もしも予算やスケジュール的にもう少し余裕があったら、もう少しこだわりたかったシーンや付け足したかったシーンなどはありますでしょうか?

白石監督:いつもですが、ありすぎてコレとは絞れないですね。ただ、出来たものが結果だと思ってますので。

質問9:予告編にも映像が入っているので、お聞きしますが、呪いのビデオを踏み潰した時の伽椰子のリアクションで、非常に劇場内の反応が良かったのですが、あれは監督のアイディアでしょうか?

白石監督:呪いのビデオを伽椰子が潰すのは私のアイデアです。伽椰子の芝居は、ユーモラスに見えないよう抑えめに演じてもらいました。

質問10:今回、フェイクドキュメンタリーで撮影する!という選択肢はあったのでしょうか?或いは、フェイクドキュメンタリーにしなかった理由などありましたら、是非お聞かせ頂ければ幸いです。

白石監督:カメラ主観で撮るつもりは私自身ありませんでしたし、プロデューサー陣もそのつもりはありませんでした。それが合うとは思わなかったので。貞子の世界も伽椰子の世界も実写ではあるものの劇映画の持つ抽象性によって成立しているので、もっとリアリティのルールが必要になってしまうカメラ主観のスタイルは選択肢としてありえないという考えからです。

滝口:ありがとうございました!最後に監督ご自身への素朴な疑問です。

質問11:もしも自分が呪われてしまった場合、最後の二日間はどう過ごされますか?観念して静かに過ごすか、それとも他人に見せて助かろうとするか?とか。

白石監督:私は呪いのビデオには絶対に呪われないので、そのイメージは出てこないです。

貞子vs伽椰子
(C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

白石監督、公開直後のプロモーションでお忙しい中、ご協力ありがとうございました!

最後に、自分は絶対に呪われない、と語った白石監督。果たしてその自信の根拠はどこにあるのでしょうか?

次回はぜひ、その点について個人的にお尋ねしてみたいと思います。現在大ヒット上映中の映画「貞子vs伽椰子」、皆さんぜひ劇場でご鑑賞頂ければと思います。

(取材・文:滝口アキラ

    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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