真田イヤーのラストを飾れ!純粋娯楽時代活劇「真田十勇士」登場!!

真田十勇士 サブ1

(C)2016『真田十勇士』製作委員会

等身大の魅力で見せる時代劇の話をしたばかりだが、もちろん娯楽時代活劇だってある。

もとも真田幸村と真田十勇士といえば、戦国時代モノの講談・フィクションでは人気キャラクターで様々な形で作品化されてきた。

ちょうどそこに、大坂冬の陣・夏の陣から400年(つまり幸村と十勇士が散って400年)ということで、2013年~14年にかけて一気に盛り上がった。この映画の始まりに当たる舞台版「真田十勇士」が上演され、現在佳境を迎えたNHK大河ドラマ「真田丸」の制作発表もこの年にされた。他にも、劇団☆新感線の座付き作家中島かずき脚本・上川隆也主演舞台の「真田十勇士」も二度上演され、真田幸村と真田十勇士の人気の高さを改めて実感させた。

「実は凡人だった」という、あっと驚く設定の真田幸村(加藤雅也)を、“嘘も通せば誠になる”を信念に、幸村を本物にするため、八面六臂の活躍をする猿飛佐助(中村勘九郎)と霧隠才蔵(松坂桃李)の対照的なキャラクターが幸村を支える図式は、初演舞台から変わらない。
勘九郎は舞台でも見せた抜群の身体能力を見せ、忍者独特の殺陣も確実にこなす。
http://cinema.ne.jp/recommend/ods2016071616/

松坂桃李はストレートなイケメン忍者を嫌味なく演じた。イケメンがイケメンを素直に演じるのはなかなかできることではないので、今回の彼の存在は貴重だ。
真田十勇士 サブ3

(C)2016『真田十勇士』製作委員会

そして、この二人の抜け忍と深い縁をもつ “ツンデレくノ一” の “蛍” には大島優子(初演舞台は比嘉愛実、再演版では篠田麻里子!)。堤組の常連になりつつある彼女の身体を張ったアクションシーンは見ものだ。実際に木を垂直に駆け下りて、そのまま殺陣に入ってみせる。
真田十勇士 サブサブ3

(C)2016『真田十勇士』製作委員会

豪華キャストとともに見どころは二度にわたる、大阪での大合戦シーン。大河では天下分け目の関ケ原の合戦がバッサリと削られて話題になったが、こちらは冬の陣での出城“真田丸”での一大攻防戦と、夏の陣の一瞬の勝機に全てをかける“大駆け”のシーンがダイナミックに描かれ、十勇士の面々も一騎当千の大活躍を見せる。

等身大ドラマ時代劇が主流となった今、人海戦術&大規模オープンセットで描かれる大合戦シーンは逆に新鮮で、しばらく見ることのなかった“大型時代劇”という言葉がぴったりとハマる映画になっている。

監督の堤幸彦は「トリック」シリーズ「RANMARU 神の舌を持つ男」(12月3日公開予定)などの小ネタ満載の“堤ワールド”全開の時と、「20世紀少年」シリーズ「天空の蜂」のような本格的な娯楽超大作を仕上げてくる時とあるが、今回はバリバリの後者。

時代劇というジャンルは珍しいものの、映画館の大画面で見るべき大型作品に仕上がった。冒頭のアニメーションでのダイジェストシーンの辺りは“堤ワールド”を感じなくもないが、実写の本編パートに入ると重量級時代劇が始まる。

ストーリー面での肝はなんといっても、彼らが負けるとわかる戦いになぜ加わったのか?何を求めて戦場にやってきたのか?ということになるだろう。ここでは複数の人物思惑が見え隠れして、舞台版も手掛けたマキノノゾミの奇想天外な脚本は大迫力の合戦シーンの後にも2段・3段構えでどんでん返しがやってきて、エンドロールまで遊びに溢れている。

時代劇という日本でしかできないフィールドでの文字通りの痛快娯楽エンターテイメント「真田十勇士」は劇場で体感するための映画だ。

真田十勇士 メイン

(C)2016『真田十勇士』製作委員会

ちなみに、全ての始まりとなった舞台の初演版のブルーレイ&DVDが遂に発売さている。

たまたま、この舞台を見ていたのだが、この時点で中村勘九郎・松坂桃李、加藤雅也がそろっていて、この三人の映画での息の合った演技合戦の根っこの部分をすでに見てとることができる。語り部が今は亡き坂東三津五郎であったりするのも貴重だ。
映画を見た方はぜひこちらもチェック。

(文:村松健太郎)

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    ライタープロフィール

    村松健太郎

    村松健太郎

    村松健太郎 脳梗塞と付き合いも10年目に入った映画文筆家。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在NCW配給部にて同制作部作品の配給・宣伝、イベント運営に携わる一方で各種記事を執筆。

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