エロ&グロのR指定アニメ映画、『ソーセージ・パーティー』がスゴイ!

ソーセージ・パーティー

みなさん、こんにちは。

11月4日より、セス・ローゲン、エドワード・ノートン、ジェームズ・フランコらが声優を務めた米アニメ映画、『ソーセージ・パーティー』が公開となりました。人気俳優を起用したアニメーション映画ながら、しかし公開館数は全国で僅か6カ所(六本木、梅田、名古屋、札幌、福岡、沖縄)のみという本作。なぜそのような事態に?

そりゃ目も覆いたくなるようなお下劣なエログロ描写満載のR15指定映画だからですよ。

もうキャラクタービジュアルからして製作陣のヤル気マンマン度が伺えますよね。それに乗っかる日本配給側のポスターの本気度たるや!(全力で褒めてます)

今回の「映画音楽の世界」では、そんなコメディアニメ映画『ソーセージ・パーティー』の味力……ではなく魅力を紹介したいと思います。

悪童たちが嬉々として描いたぶっタマげアニメ映画!

『ソーセージ・パーティー』の監督は『マダガスカル3』『ペンギンズ』のコンラッド・バーノンと『劇場版機関車トーマス』のグレッグ・ティアナン。この二人が揃っていながらなぜR指定を受けるような内容になったのかと言えば、やはり悪ノリを描かせたら右に出る者はいない、『宇宙人ポール』や『ネイバーズ』、『ザ・インタビュー』(劇場未公開)に出演するセス・ローゲンが声優だけでなく原案、脚本も担当しているからでしょう。しかも同じく原案に声優としても参加しているジョナ・ヒルも名を連ねているので、要はハリウッドという小学校の中で悪ガキどもが持てる空想力を存分に叩き込んだ映画が『ソーセージ・パーティー』という訳なのです(全力で褒めてます)。

舞台はとあるマーケット。「神」である客に買われ外の世界に出る事を夢見る食材たちが主人公。ソーセージのフランクはパンのブレンダら他の食材と一旦はカートに入れられるものの、レジに向かう途中、ノルマンディー作戦を彷彿とさせる惨劇が発生。ブレンダと共にマーケットに取り残されてしまい、挙げ句同じく取り残された某デリケート商品に逆恨みから命まで狙われる事に。

では映画はフランクとブレンダが某デリケート商品の攻撃をかいくぐりながら仲間の元へ戻る事がストーリーの中心か、と言えば勿論そんな筈もなく。買われていった食材の運命は、生きたまま皮を剥がれ、突き刺され、真っ二つにされ、噛み砕かれ……。フランクはひょんな事から「外の世界」の真実──食材の運命を知り、その現実を仲間に伝えようと某デリケート商品に襲撃されながらもマーケットを奔走します。

と、ここだけ書けば成るほど擬人化した食材が運命に立ち向かう発想の転換型映画か、で終わるところをそうはさせないのが悪童コンビ。アニメーションでありモチーフが食材であることをいい事に残酷描写とハッパやら何やらをキメまくるぶっ飛び具合は並々ならぬもの。ノルマンディー上陸の描写とくれば勿論「あの映画」を標的にし、とある車椅子のキャラクターはどう見てもあの博士を連想させるもの。某デリケート商品(しつこい)の暴走ぶりは下ネタの域を凌駕してラストバトルへと突入します。

良くも悪くもあくまでキャラクターは食材のため、切られ潰されの残酷描写でも劇場を出たくなるような気持ち悪さは全くありませんが、後半はさらに磨きをかけなくていいところを徹底的にかけた(主に「勃ち上がった」食材たち)、怒涛のハイテンションムービーへと変貌していくので覚悟の程を。

また、映画を愛する映画人が作り上げたコメディー作品だけに、他にも色々な映画やキャラクターが「標的」にされているのでそれを拾い上げるだけでも楽しい作り。そもそも手足を生やし「白い手袋」をはめた食材たちの指が「四本」という時点で事情をお察しください。

誰だよ依頼したヤツ! 音楽担当にまさかのアノ人!

本作の音楽を担当したのは、クリストファー・レナーツとアラン・メンケン。レナーツは『アルビン 歌うシマリス3兄弟』やマーベルドラマ『エージェント・カーター』の音楽を担当していますが、問題なのはもう一人の作曲家。

アラン・メンケン。映画好き、特にディズニー好きの人ならばその名前に「マジかよ!」とツッコミを入れたくなると思います。ええ僕も入れましたよ。ほんと誰だよ作曲依頼したヤツ!

メンケンはディズニー作品だけでも『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』などなど代表作に溢れ、まさにディズニークラシックに息吹を吹き込んだ作曲家で、近作にも『魔法にかけられて』『塔の上のラプンツェル』を手掛け、エマ・ワトソン主演で実写化する『美女と野獣』も担当すると言われています。つまり、ディズニー黄金期を音楽で支え今なお蜜月の続く名匠が「先っちょだけ、先っちょだけ」とかFワードを連発するソーセージたちがハジケまくる映画の音楽を担当しているのです。依頼受ける方も受ける方だよアラン・メンケン!

「オープニングソング[The Great Beyond]のメロディの美しさに音楽誰だと思ったらメンケンだった」という感想も結構な数見られて、その登板に驚いた様子。確かに、世界各国の食材を扱うマーケットが舞台でワールドワイドな音楽も提供する面においてはフランスやアジアなども舞台とするディズニー作品の作曲家の起用はある意味正解なのでしょうが、とは言っても今後のメンケンとディズニーの関係に傷が付きやしないかと心配にもなってしまう映画なのです。

まとめ

そうは言っても映画の才人が集まった物語なんだから、お下劣な映画に見せかけて実は深いテーマがあったりするんでしょう?と期待されるかと思いますが、実は確かにこれがあったりするんですよね(本当は「そんなものないよ!」と叫びたかった)。

ただの悪趣味映画に終わらせないところがセス・ローゲン。実は序盤から「廃棄される食材」という先進国が抱える飽食ゆえの社会問題を混ぜ込み、後半に行けば行くほどセクシャルマイノリティーや薬物問題もエッセンスに、まさについ先日誕生したばかりの某国大統領にはしっかりと観て頂きたい、皮を剥いてみればコクのある作品に仕上がっているのです(実は映画の構造としても真面目に拍手したい上手い作りも見せている)。

あくまでも表面上(と言うか大半の部分)はR指定コメディーで、あまりのブラックユーモアに劇場は笑いからドン引きまで、映画と観客が一体となれる作品になっています。全国でたった6館での上映という形が悔やまれますが、お近くの方は劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

(文:葦見川和哉)

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    葦見川和哉

    葦見川和哉 映画が好き。旅が好き。小説が好き。 映画開眼と同時に映画音楽の魅力にも取りつかれたサウンドトラック収集家。

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