インタビュー

2016年11月06日

恐怖のハロウィンナイト! ホラー映画の金字塔、『サスペリア』をLIVE上映で体感した!

恐怖のハロウィンナイト! ホラー映画の金字塔、『サスペリア』をLIVE上映で体感した!

■「映画音楽の世界」

みなさん、こんにちは。

去る10月29日、ハロウィンウィークとあって多くの仮装者で賑わう川崎市の一画、ラ・チッタデッラ。その中にあるクラブ・チッタで、まさにハロウィンナイトに相応しくあるホラー映画のLIVE上映が行われました。公開当時、「決して、一人では見ないでください」のキャッチコピーが話題を呼び、今もなおオールタイムホラー映画ランキング上位に必ずと言っていいほどランクインするその作品の名は、『サスペリア』。

公開から約40年の時を経て、なんと音楽を担当したゴブリン(クラウディオ・シモネッティ)による生演奏での『サスペリア』上映会! 今回の「映画音楽の世界」では、そんな『サスペリア』LIVE上映会に参加した筆者が会場の模様をレポートしたいと思います。

「魔女三部作」第一章。ホラー映画『サスペリア』とは。


イタリアホラー映画界の巨匠、ダリオ・アルジェント監督が発表した『サスペリア』はバレエ寄宿学校を舞台にしたホラー映画。

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ある大雨の晩、アメリカからやって来た少女スージーがバレエ学校に辿り着くところから物語は始まります。入れ違うように嵐の中に飛び出して行った生徒、パットが友人の住むアパートで“異常者”にナイフでメッタ刺しにされた上、宙吊りにされるという猟奇事件が発生。続くように学校関係者が惨たらしい死を迎えます。謎の足音。不穏な空気を秘めた学校と、教師たち。

やがてスージー自身にも魔手が迫る本作は、ミステリーの様相を保ちつつ残酷な殺害シーン、R(赤)G(緑)B(青)カラーを極端なまでに使用した照明、そしてゴブリンのけたたましい音楽で強烈な印象を観客に植え付けながら、驚愕の結末へと向かっていきます。のちの作品『インフェルノ』、『サスペリア・テルザ 最後の魔女』とセットで本作は「魔女三部作」と呼ばれ、今もなおカルト的な人気を誇っています。

アルジェント監督といえば建物をまるで生き物のように艶めかしく撮る独特の美術センス、ジェニファー・コネリーだろうが実の娘(ハリウッドでも活躍する女優アーシア・アルジェント)だろうが情け容赦ないサディスティックな演出、殺人シーンは自らが演じるという、まさにこだわりの職人監督。しかしそれを象徴するように作品の世界観は唯一無二であり、どの作品においてもアルジェント監督の撮る女優の美しさも堪能することが出来ます。

また、本作は2017年にティルダ・スウィントン、クロエ・グレース・モレッツ共演でのリメイクが決定しており、主人公スージーを演じたジェシカ・ハーパーも出演することが先日発表され、話題となりました。

鳥肌が収まらない! ゴブリンによる恐怖のLIVE上映!


イタリアホラー映画界の巨匠、ダリオ・アルジェントが監督した『サスペリア』が公開されたのは1977年。そんな作品が今なおLIVE上映されるのは、その音楽自体が評価されている何よりの証拠でしょう。

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イタリアのプログレッシブ・バンド、ゴブリンが作曲した本作の音楽は一度聴けば耳にこびりついて離れないメロディと、立体的なサウンドが全身をくまなく覆い尽くしていきます。そんな音楽を、作曲家本人の生演奏で体感できる歓びたるや!(しかもクラブチッタはラインアレイスピーカーのライブハウスなので必然的に流行りの爆音上映形式になる)。

いよいよ幕が上がりバンドセットがお目見え、スクリーンに本編が映し出されると早くも会場は拍手喝采。

バンドはキーボード、シンセサイザーにクラウディオ・シモネッティ、ドラムにティッタ・タニ、ギターにブルーノ・プレヴィタリの三人編成。本作はティンパニを叩きつける迫力のオープニングクレジットの直後からいきなり有名なテーマ曲に入るので、キーボードによる導入部から一分と経たずに全身には鳥肌が。主人公が大雨の中空港を出てバレエ学校に向かうシークエンスにティンパニ、ギター、シンセサイザーというシンプルな構成の音楽のはずなのに、恐怖感が半端ない!

時折シモネッティがアドリブでアレンジを加えたり、ライブハウスの特性を活かして赤色の照明が強調される場面では会場の照明も赤く灯るというサービス付き。会場そのものが、舞台であるバレエ学校になったような錯覚に陥り、ショッカーシーンでは隣の女性客がびくりと口元を手で押さえそのまま固まってしまう場面も。筆者も何度も観ている映画にも関わらず、自分の部屋でソフト鑑賞するのとは臨場感が違いすぎて、正直情けない話「なんでこんな恐ろしい上映会に来てしまったんだ」と後悔もしましたほどです(苦笑)。

ホラー映画の枠を超えた約100分間の悪夢の宴。劇中何が起きるか解っている筈なのに、結末も解っている筈なのに、ホラー映画に慣れている筈なのに、得体の知れない恐怖との闘い。怒涛のサイキックな終盤を迎え、エンドロールが流れ終わると会場はまるで見えない悪魔から解放されたように大きな拍手を映画とバンドメンバーへと贈りました。

まとめ


今回のLIVE上映では、『サスペリア』の演奏に加え第二部ではゴブリンが音楽を手掛けたホラー映画作品のライブも行われました。
ダリオ・アルジェントとのコラボレーション作品だけでも『サスペリア・テルザ』、『デモンズ』、『ゾンビ』(じょーじ・A・ロメロ監督。アルジェントとゴブリンの共同作曲作品)、『オペラ座 血の喝采』、『フェノミナ』、『シャドー』、実際は『サスペリア』よりも前年に製作されしかもサスペリアとは関連のないのに勝手な邦題を付けられたことで有名な『サスペリア Part2』などが演奏され、まさにホラー映画ファン垂涎のセットリストに観客は大興奮。拍手で見送られたシモネッティらバンドメンバーがもう一度ステージに戻ったアンコールでは、先日他界したシンセサイザーの先駆者、キース・エマーソンをトリビュートした『インフェルノ』を演奏し再び観客から大きな拍手が。最後にもう一度『サスペリア』のテーマ曲が演奏され、LIVE上映から始まった約四時間のステージは立見席まで出るほどの満員の会場から沸き起こったスタンディングオベーションで幕を閉じました。

今回はこのクラブチッタでのライブが唯一の日本公演という大変貴重なステージでもありました。皆様も、もし同じようなホラー映画の(爆音)LIVE上映のような機会がありましたら、ぜひとも「覚悟を決めて」、参加してみてはいかがでしょうか。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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(文:葦見川和哉)

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