「東京国際映画祭」特集―イタリア映画『7分間』と『五日物語-3つの王国と3人の女-』を徹底解説

10月25日から11月3日まで恒例の「東京国際映画祭」が開催されます。上映されるたくさんの作品の中から観たい映画を選ぶのは悩む人が多いのではないでしょうか。監督の名前で決める人もいれば、なんとなくあらすじに関心を覚えて決める人、「国」を基準にして選ぶ人もいるでしょう。

というわけで、今回はイタリア映画を観たい方のために、今年の映画祭に上映される『7分間』と『五日物語-3つの王国と3人の女-』、この二つの作品を紹介します。

『7分間』(2016年)

7分間

(C)Goldenart Production S.r.l. – Manny Films – Ventura Film – 2016

ミケーレ・プラチド監督の最新作『7分間』。この映画は、イタリアではまだ公開されていないのですが、10月25日と26日に「東京国際映画祭」で観られます。ミケーレ・プラチドは『野良犬たちの掟』や『裏切りのスナイパー』など、マフィアをはじめとする犯罪組織を描く監督として日本で知られていますが、『7分間』はリストラ計画が進行する繊維工場で働く女性労働者を中心とする社会を描く作品です。

本作品はイタリアのラツィオ州が舞台で、2012年にフランスのイッサンジョーフに実際に起きた事件に基づいています。リストラされた工場に新しい所有者が現れますが、そこで働く女性たちが仕事を失わないために、昼休憩を7分間減らすという工場側の奇妙な提案を受け入れなければなりません。その提案に対して労働者のリーダー格の女性が異を唱え、場は荒れていきますが、様々なバックグラウンドをもちながら不安定な状況におかれている女性労働者たちがどこまで自分の権利を主張できるか……?

「7分間」と聞けばとても短く感じるでしょう。しかし、その「7分間」は働く必要性と個人の尊厳との葛藤を象徴しているのです。夫がいない女性、子どもを育たなければならない女性、工場の仕事がなければ生きていけない女性。仕事を失うことが許されていない人はどこまで自分の権利を放棄するのでしょうか? どこまで不正にさらされなければならないのでしょうか? 

このような問いに直面している女性を描くことによって、ミケーレ・プラチド監督が現在の欧州の労働者たち、女性たち、そして母親たちのリアルな状況を語ります。

上映情報

10月25日(火)14時30分〜
TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN3

10月26日(水)18時10分〜
EXシアター六本木

http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=1

『五日物語-3つの王国と3人の女-』

5日物語

(C)2015 ARCHIMEDE S.R.L. – LE PACTE SAS

グリム兄弟のおとぎ話は世界中で有名ですが、ヨーロッパではさらに古いおとぎ話が存在します。それは17世紀初頭にジャンバティスタ・バジーレによって書かれたヨーロッパ最古のおとぎ話『ペンタメローネ(五日物語)』です。ナポリ語(ナポリ弁ではないですよ!)で書かれた『ペンタメローネ』が50話の物語から成っていますが、そこからマッテオ・ガローネ監督が3話を映画化しました。

子どもを産めなくて笑えない女王、若い女性にしか興味ない色狂いの国王と彼を騙そうとする老女の姉妹、自分の娘を他の男性に譲渡しないように誰も勝てない勝ち抜き戦を開催する国王。円形構造で作られた『五日物語-3つの王国と3人の女-』では、女性人物を中心にこの三つの物語が織り混ざります。どの物語にも愛と死のテーマを軸に、精神の迷宮、孤独の恐怖、身体の欲望など、人間の本格的要素が表象されています。

ジャンバティスタ・バジーレの物語にも皮肉と不気味さが溢れますが、『五日物語-3つの王国と3人の女-』では音楽と衣装のおかげもあってそのグロさがより一層強調され、大人のための残酷ファンタジーが披露されます。

上映情報

11月1日(火)21時00分〜
TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN9

http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=103

10月25日から11月3日までの「東京国際映画祭」、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

(文:グアリーニ・ レティツィア)

    ライタープロフィール

    グアリーニ・ レティツィア

    グアリーニ・ レティツィア

    南イタリアのバジリカータ州出身。大学院で日本現代文学を研究しながらライターとして活躍しています。中学生の時から小説を読むことと映画(特にインディーズ・ムービー)を見ることが好きで、誰もがそうではないことを知った時のショックは一生忘れません。最近ドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ダウントン・アビー』にはまっています。

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