『天空の蜂』脚本プロデューサーティーチインイベント取材レポ!


Q「10年前に原作を読んでいて、原作よりプラスされているところっていうのは、東野圭吾さんに相談して決めてらっしゃるんですか?訴えられる事はないんですか?(笑)」

[福島]先程の沈黙する群衆という焦点を当てたところと、結構東野先生から入れて欲しいというのがやはり3.11を踏まえた上で描きましょうというところで、それを色々最初やる時に3.11が無い95年に差し替えちゃって、95年だけの世界で完結させるという事も出来たんですけれども、それだと今見てる観客の視点からズル過ぎるよね。っていうところで、やはり3.11をなんかしら描いて欲しいと。
一番最初に東野先生から来たのが、例えば3.11の中でヘリコプターに関わっている誰かが、実は95年の天空の蜂のあの事件に関わってた人間っていうのはどお?みたいなのはあって、そういう何かしら今と95年を絡ませるという話があったのと同時に実は楠野さんの方でもそこはやっぱり何かしら入れるべきだというのは、原作者及び脚本家の意見が全く一致したので、まずはそこを確実に。だからそこはまぁ、訴えられない(笑)大丈夫でしたよ。

[楠野]一番最初の段階ですね。根っこはつかみ合ってたという。脚本は17稿18稿あるものを最終的に決定稿に対して東野先生がOKを出して頂いたということは全部OKなんだろうなと僕は受け止めています。もし食い違いがあった場合は、なぜなのかを聞いた上で、なるほどと思ったら修正していく、ということの繰り返しではあるかなとは思います。今回に関してはど頭でそのスタンス合わせが出来ていたので、僕的には全く東野先生からのプレッシャーを与えられたりなんかは無かったです。
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[福島]唯一東野先生からNGが出たのは、ラスト15分湯原がヘリに乗り込んでったら、実は三島がそこに居て、最後二人が上空でアクションを繰り広げるというのを書いたんですが、さすがにそれは無理なんじゃないかって(笑)

[楠野]その時ヘリあんなに小さいと思ってなくて(笑)

[福島]そんなやりとりがあった上で、初号で先生に観に来ていただきまして、物凄く感動されて「もう一回観たい!」と、リップサービスかな?と思ってたら本当にもう一回観に来て頂いて、この前の完成披露の時も来て頂いて3回観られて、講談社以外の出版社の方も連れて来て頂いて、自分の原作を映画化する時はこういう事を見本としてくださいという風におっしゃっていただく程に気に入ってくださったというのは僕らとしては非常にやれて良かったなという感じでした。

[八雲]素晴らしいですね。私も見終わった直後に思ったのが、1995年に書いた小説が、えっ今じゃん!という衝撃というか愕然としたものを感じていて、そういう意味では今やるべき作品ではあったのでしょうけれども、何故今このご時世の中で踏み切る覚悟をしたのか。そこが...

[八雲&楠野]ねぇ!?(笑)

[楠野]そこはもう松竹さんのよくわからない肝っ玉の座った所ですよね(笑)
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[福島]スタートラインはこの原作とかではなく、20億稼げる映像を作ろうと。
1年間の中で目玉作品を何本か作るんですけれどもその中の1本として何か企画を出しなさいというオーダーが僕とプロデューサーチーム5人位いるんですけれども、そのなかで見ていってやはりこの、僕も震災の前で読んだのと後で読んだので印象が全く違う原作になっていたので、会社にプレゼンしたところあっという間にOKを取れて、で後々わかったのがウチの社長は歌舞伎もやっていて、意識としましては歌舞伎は江戸時代のタイムリーな時期の社会問題とかに切り口をもったものが歌舞伎になっているはずだと。
ならば今で言うとそれこそイスラムのああいう事件があった時に今歌舞伎を作っているのであったらあれを歌舞伎にしていてもおかしくはないと。やはり映画らしいのを作ろうと。テレビ曲に出来ない映画を作ろうというのからスタートしました。

[八雲]ゴリゴリの社会派として作ろうと思えば作れたものを、あえてこのエンターテイメント色に堤監督は監督で、楠野さんは脚本で、エンターテイメントとは何ぞやというのを理解してらっしゃる方が作ったという所が、私は凄くこの作品の一番実は大事な所なんじゃないかと思っていまして、今色々漠然と不安だったり不満だったりを抱えていても、実際みんなが国会に行くわけでもなし、でも映画を観ることによって今置かれている現状だったり、この先のことだったりを考えざるを得ないですよね。
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普段何も考えていないわけではないんだけれどもやっぱりなんか見過ごしてるよね、っていう人達が映画を通じて考えるキッカケになるという一つエンターテイメントの大きな役割じゃないかなと私は凄く思うので、そういう意味ではこの作品は普段映画館に足を運ばない人でも、興味ある部分に引っかかってもらえたら嬉しいなと思う作品ですね。

[楠野]エンタメじゃなきゃ駄目だとは全く思わないんですけれども、天空に関する限りは、僕はパニック映画のつもりで書いたんですけれども、パッと観たら沢山人は大変なことになるし、なんかよくわからないけどその瞬間2時間は気持ちが高揚して観る事が出来て、でも最終的に、「じゃあなんで人間こんな高いもの作っちゃうんだろうね、火事になるのに」とか残るじゃないですか。ジョーズにしたって、サメが来たら退治すればいいのになんでみんな退治しようとしないんだろうね」とか。
なんかそれと同じようなものがこの天空の原作にもその映画の芽というのが、エンターテイメントとして成立するものがあったと思ったので。さっきも言ったように、普通に、本当に気楽に中高生が観に来て、楽しんでもらうのが一番良いかなと僕は思います。

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