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「衝撃作!」の看板の奥に秘められた 『木屋町DARUMA』の正体


心優しき人々の手で作り上げた
負の世界で生きざるを得なかった者たちの想い


では、こういった負の世界へ次々と人々を巻き込んでいく茂雄とはいかなる男なのか?

主演の遠藤憲一は一見コワモテでおっかない役も多数こなしてきたベテラン個性派ですが、その実そこはかとなく優しい人間味を無言で醸し出す術も自然と身に着けている名優でもあります。
今回の茂雄という役も、自ら歩くことも、メシを食うこともできない、当然トイレにも行けないといった、いわば言葉を発すること以外ほぼすべてを奪われてしまった男の無念を全身から発散させていくことで、人生の無常そのものを漂わせています。

映画はただ単に明るく楽しい世界をノーテンキに推奨するだけでなく、こうした負の世界で生きざるを得なかった者たちの想いまでも優しく包み込むことに長けたメディアです。
(またそうでなければ、こういった内容の作品が成立するはずもないでしょう)

榊監督は今回「衝撃作」の看板を盾にしながら、人間の弱さや切なさを悲しくも温かな目で捉え続けています。

だからこそ本作はどこか観客に対しても、不思議とその温かさが伝わってくるものになっています。

また、そこが榊監督や遠藤憲一など、本作に関わった人々の、一見コワモテながらその実優しさに満ちた個性の賜物ともいえるでしょう。

衝撃作ながらも、どこか優しく、温かく、切ない。

本当は「こんなおぞましい映画など見たくない!」くらいに絶叫したほうが、スキャンダラスな宣伝になって効果的なのかもしれません。
しかし、私自身も嘘はつけないので、素直に評させていただきます。

『木屋町DARUMA』は心優しき人たちが作った、人生の悲しみを痛感させてくれる秀作です。

そして、これは決して今のテレビなどでは表現できない、映画ならではの味わいなのです。

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(文:増當竜也)

『木屋町DARUMA』
公式サイト http://kiyamachi-daruma.com/
https://www.youtube.com/watch?t=5&v=RtmoLLD8HO4
(c)2014「木屋町DARUMA」製作委員会
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