映画コラム

REGULAR

2016年07月25日

彼がバンドをはじめた“きっかけ”は素直過ぎた、『シングストリート未来へのうた』

彼がバンドをはじめた“きっかけ”は素直過ぎた、『シングストリート未来へのうた』

シング・ストリート 未来へのうたサブ1

(C)2015 Cosmo Films Limited. All Rights Reserved


『はじまりのうた』や『Onceダブリンの街角で』などでお馴染みのジョン・カーニー監督の新作『シングストリート未来へのうた』が公開されました。ジョン・カーニー監督の半自叙伝的な作品であり、ボーイミーツガールであります。そしてこの監督らしく音楽がやはりキーワードとなっております。

気になるあの子と仲良くなるため……


転校したての主人公は靴色が校則で定められた色と違うから怒られたり、いじめっ子に目をつけられたりとはじまりから踏んだり蹴ったり。でも学校の帰り道、家の前でポージングをとって立っている子に一目惚れ。そしてバンドのミュージックビデオにでないかと声をかけてしまいます。

いやもうほんと男がバンドをやる理由なんてそれで十分でしょう。好きな女の子と仲良くなるためって。男はそんなもんです。むしろ素直で好感が持てます。おそらく共感する男の人は多いでしょう。

そしてそれを支えるバンドメンバー。特にどんな楽器もそつなくこなすメンバーが最高。彼も根っこは主人公と同じです。だって、初ギグにでるときに、最終的に出演を決めた理由が「女の子が集まる」ですからね。

また主人公に音楽の方向性を指し示す主人公のお兄さん。これがほんとにいいキャラです。お兄さんがいなかったら、きっとバンドもうまく機能しなかったことでしょう。バンドの方向性だけでなく、ヒロインに対しても適切なアドバイスを送ります。

シング・ストリート 未来へのうたサブサブ1

(C)2015 Cosmo Films Limited. All Rights Reserved



映画を彩るオリジナルナンバーが素晴らしい


同監督作品の特徴でもありますが、キャストが自ら楽器を演奏し、歌います。吹き替えとか無音とかではなく、ちゃんと歌ってくれます。しかもだんだん上手くなっていくのが感じられます。そのためライブシーンの盛り上がりがひしひしと伝わってきます。そして見ている方もとてもテンションがあがります。バンドメンバーが集まって曲作りをしたり、練習をしたりする風景も魅力といえるでしょう。

当然ながら、劇中で起こったことを題材にしている歌が多いため、曲そのものもかなり受け入れやすくなっております。

どの曲も素晴らしいのですが、特に自分が好きな歌は「Up」という主人公たちのバンドの2曲目として作られた曲です。予告編にもこの曲は使われているので、一番万人受しそうですね。劇中では普通のバージョンとスローテンポの2バージョン流れますが、どちらも好きです。

ちなみに映画の舞台が80年代ということもあり、曲風や衣装・メイク、オーディオなどの小道具はかなりレトロです。それがまたいい味を出しております。

シング・ストリート 未来へのうた サブサブ2

(C)2015 Cosmo Films Limited. All Rights Reserved



物語も曲も素晴らしい


ギターを触ったことがある男なら大抵一度は通る道!好きな相手のために曲を作ることもよくあることでしょう。そういうわかりやすい設定が色々な人に共感を与えるのだと思います。

こんなにいい作りなのに大きな映画館でかけられないのは、きっとキャストが日本ではあまり馴染みのない人たちだからでしょうね。でもこの映画を見た大部分の人はリピートする人が多いようです。またサントラを購入している人も多いでしょう。それは映画だけでなく曲も素晴らしいからです。

バンドの行方に恋の行方。バックトウゥザフューチャーも軽く出てくるこの映画。興味を持たれた方は是非とも映画館へ。

(文:波江智)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!