映画コラム

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2017年05月24日

映画によってはサントラが複数?『ラ・ラ・ランド』『美女と野獣』ヒットでサントラ評価の波!

映画によってはサントラが複数?『ラ・ラ・ランド』『美女と野獣』ヒットでサントラ評価の波!

■「映画音楽の世界」

みなさん、こんにちは。

昨年『シン・ゴジラ』や『君の名は。』の大ヒットでサウンドトラックアルバムが以前よりも認知・浸透したしたのではないでしょうか。今年に入ってからも『ラ・ラ・ランド』や『美女と野獣』などでサウンドトラックが大ヒットしています。

今回の「映画音楽の世界」では、最近話題となったサウンドトラック盤を紹介していきたいと思います。

サントラ盤でも強し! 『ラ・ラ・ランド』


ラ・ラ・ランド


(C)2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. 


今年に入って、映画音楽で話題をさらったのは間違いなく『ラ・ラ・ランド』でしょう。

世界の賞レースを席捲したことで公開される前から話題になった本作はサントラ盤もヒット。映画の公開や国内盤の発売が待ちきれず、輸入盤が発売されてすぐに購入したという映画ファンも多いのでは?

さらにアカデミー賞の音楽部門、作曲賞と主題歌賞の両方を獲得したことも売り上げを伸ばす結果になり、そのどちらも楽曲制作を手掛けたジャスティン・ハーヴィッツの名前が一気に認知されました。

本作のサントラ盤は[シティ・オブ・スターズ]や[オーディション]といった劇中歌を収録したヴォーカル盤とジャジーなサウンドが心地良いスコア盤の両方が発売されています。

ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック



Ost: La La Land



また、映画の音声そのままが楽しめる「コンプリート・ミュージカル・エクスペリエンス」も登場しました。
ラ・ラ・ランド (コンプリート・ミュージカル・エクスペリエンス)



同じくヴォーカル盤とスコア盤の両方が発売されたのが『SING シング』。

SING/シング メイン


(C)Universal Studios.


本作も物語のテーマは「ステージで歌う」ことなので、やはり話題になったのはその使用楽曲。映画の中だけでも60曲以上のナンバーが使用され、シング・キャストによる[SHAKE IT OFF]や[MY WAY]などがヴォーカル盤に収録されました。

またジョディ・タルボットが手掛けたスコア盤も発売されていますが、本作のアルバムで面白いのは「カラオケ盤」が存在する事でしょうか。こちらは流通は少ないのですが、「SING Karaoke Edition」として発売されているので「カラオケで歌いたい!」という方はチェックしてみるのもいいかも?

シング-オリジナル・サウンドトラック



Sing - Original Motion Picture Score



Sing (Karaoke Edition)



サウンドトラックは映画音楽黄金期に比べて、ヴォーカル盤・コンピレーション盤の方が圧倒的に人気は高く、現在では映画によっては「コンピ盤は出てもスコア盤は出ない」、「コンピ盤の国内版はあってもスコア盤は輸入版のみ」という扱いが多くみられます。

傾向的に音楽映画やヒップホップ系のアクション映画になればなるほどそんな発売形態が取られがちですが、実は意外にも『トリプルX:再起動』がスコア盤メインでの発売となりました。劇中では多くのヴォーカルナンバーが使用されましたが、CD販売はブライアン・タイラーとロバート・ライデッカーのスコア盤のみ。

XXX: Return of Xander Cage



筆者も「コンピサントラ出てないの?」と尋ねられたことがありますが、本当に珍しいくらい、スコア盤の方が国内版まで発売されたりと丁重な扱いを受けています。ちなみに、本作のコンピレーション盤はデジタルダウンロードのみで販売されていますので気になる方は覗いみてください。ダイヤル9で駆けつけてくれる“アノ人”の楽曲も収録されていますよ。

お得なディズニーアニメサウンドトラック


このように、コンピレーション盤とスコア盤ははっきりと性格が分かれていますが、ただ一概にも1つの作品でスコア盤とコンピ盤に分かれる、というわけではありません。特に、ディズニーアニメ作品に関してはボーカル曲とスコア曲をセットにしたアルバムを制作することが多いようです。近年でも現在ヒット中の『美女と野獣』や、『モアナと伝説の海』『アナと雪の女王』など、劇中歌とスコアが同時収録されています。

美女と野獣 オリジナル・サウンドトラック - デラックス・エディション-<英語版[2CD]>



ディズニーアニメはミュージカルとしての側面が強く、劇中歌そのものが物語の進行に必要不可欠の音楽となっています。このため、CDを2枚に分けてしまうより1枚で音楽から物語をトータル的に楽しんでもらおうという思いがあるのかも知れません(現実的な話、コストを抑えられ購入側も費用が安く済むという関係性も)。

しかも、以前に比べて劇中歌とスコアをバランスよく収録しているのも変化の1つ。例えば『ライオン・キング』はハンス・ジマーがアカデミー作曲賞を獲得するほどの作品でありながら、発売当時のサントラ盤に収録されたスコアは僅かに4曲のみ、あとは劇中歌とエルトン・ジョンによる挿入歌という内容。

モアナを担当したマーク・マンシーナの『ターザン』も同じくスコアは4曲、残りはフィル・コリンズの手掛けた劇中歌といったように、歌曲メインのアルバムが制作されていました。その頃に比べれば現在はなるべく歌曲劇伴ともに映画全体の音楽を収録する構成になっているようです。

まとめ


『君の名は。』や『ラ・ラ・ランド』など、近年映画とともにサントラ盤もヒットを記録。映画音楽の価値が改めて評価されるようになってきました。ファンとしてはその分まだまだ未収録の曲があったりサントラ盤そのものが出なかったりとやきもきすることもありますが、映画を観終えた後はサントラ盤を手に取ってみて、どういったアルバムになっているかトラックリストを眺めてみるのも1つの楽しみ方かもしれません。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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(文:葦見川和哉)

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