『東京喰種 トーキョーグール』、原作再現度が気になるファンこそ知って欲しい!その完成度の高さ!


強く、美しく、しなやかで、悲しい赫子の映像表現


東京喰種 トーキョーグール 窪田正孝


(C)2017「東京喰種」製作委員会


戦闘時には武器となる喰種の捕食器官である赫子(カグネ)や、その赫子を喰種の遺体から剥ぎ取り作られる対喰種機関·CCGの武器であるクインケは、喰種の恐ろしさや悲しみ、人間の残酷さを表現する本作のもう一つの主役とも言えます。

その赫子やクインケは、時に鋼のように強靭で、鋭く切り裂き、貫き、砕き。時に鞭のようにしなやかに敵に襲い掛かります。

一見矛盾するこの特性に、生き物の身体の一部であるという生々しさも加わる訳で、それを実写で表現するのは容易ではなかったと思いますが、本作では見事に映像化されています。

しかも、カネキ(窪田さん)やトーカ(清水さん)、真戸(大泉さん)たちが本当に操っているかのように役者さんたちと一体化しています。

東京喰種 トーキョーグール 清水富美加 千眼美子


(C)2017「東京喰種」製作委員会


そして、物語の前半では、おどろおどろしかった赫子が、物語のクライマックスでは美しく、また悲しげにも見えてきます。

これらの表現について、以前私が取材したトークイベントで、萩原監督とVFXスーパーバイザー·桑原さんは
「ただのバケモノで怖いという一面しかない喰種が、カネキを通して彼らの悲しみなどを知っていくことになるので、赫子(カグネ)に関しても『(気持ち悪さ)7:(美しさ)3』ぐらいの割合にしたかった。そうすることによって喰種の違う側面が見えてきた時に美しく見える。」

「その中にも痛々しさのようなものを表現するために『(気持ち悪さ)6:(美しさ)2:(痛々しさ)2』で作り上げた」

とお話しされていました。

そうした喰種の持つ苦悩や悲しみ、(心の)痛みといったものまでが練り込まれて完成されている赫子やクインケだからこそ、役者さんとの一体感も生まれ、見る側に与える印象もストーリーに合わせて変化していくのです。



▲ 萩原健太郎監督(映画『東京喰種 トーキョーグール』×UUUMクリエイター試写より)

そして、CGにまでも感情を練り込み、アクションエンターテイメントというだけでなく、ヒューマンドラマとしても完成度の高い本作の映像表現には萩原監督のキャリアが大きく影響しているのではないかと思っています。

萩原監督はアメリカ·カリフォルニア州にある『アートセンター·カレッジ·オブ·デザイン(Art Center College of Design)』の卒業生です。

アートセンターの卒業生には、映画『アルマゲドン』『ザ·ロック』『トランスフォーマー』シリーズなどを監督したマイケル・ベイ(Michael Bay)、映画『300(スリーハンドレッド)』『スーサイド・スクワッド』などのザック・スナイダー(Zack Snyder)、映画『グランド・イリュージョン』『キングコング 髑髏島の巨神』などの撮影監督を務めたラリー・フォン(Larry Fong)など、独自の映像表現で新たなアクション映画の世界を切り開いた錚々たる面々が名を連ねています。

その同じアートセンターで映画製作を学び、帰国後は『THE DIRECTORS GUILD』という映像ディレクター集団に参加し、多くのTV-CMやMV、ショートフィルムなどの制作に携わってきました。

ハリウッドの第一線で活躍し続ける面々と同じ環境で世界レベルの映像表現を学び、感性に磨きを掛けられた事は容易に想像できます。 また、TV-CMやミュージックビデオといった短く限られた時間の中で最大限のメッセージを伝えなくてはならない映像作品に多く携わる事で、効果的な魅せ方や視聴者に与える印象、映像による感情表現などを肌で感じ、自分のものにしてこられたのではないでしょうか。

そうした萩原監督のキャリアが今回の映画『東京喰種 トーキョーグール』でも遺憾無く発揮され、今回が長編映画初監督とは思えない迫力の映像、そして、切ないヒューマンドラマを見事に作り上げています。

サウンド面にも注目


東京喰種 トーキョーグール サブ4


(C)2017「東京喰種」製作委員会


映画を盛り上げる要素として、各シーンに合わせたBGMの役割は大きく、音楽1つで印象がかなり変わってしまいます。

今回、そんな音楽を担当したのは『マトリックス』シリーズのドン·デーヴィス(Don Davis)。 彼の日本映画初の書き下ろしとなる本作のサウンドトラックは、悲しいシーンでは引き込まれるほど切なく、アクションシーンでは壮大さと疾走感で映像の迫力を更に押し上げ、ハリウッド作品のようなスケール感と重厚感で作品全体をグッと引き締めてくれます。

また、効果音も重要で、入念な音作りによって“赫子(カグネ)”や“クインケ”などにリアルな質感と命を吹き込みます。このサウンドエフェクトには、『バットマンビギンズ』や『ゼログラビティ』を担当したニコラス·ベッカー(Nicolas Becker)を迎え、前述したCG·VFXの作業と合わせ約9ヶ月という月日を掛けて完成させているのです。

このように世界の第一線で活躍するスタッフが、じっくりと拘り抜いて作ったサウンドが映画の完成度をより高い位置に押し上げているのです。

そして、最後に流れる映画『東京喰種 トーキョーグール』の主題歌「BANKA」も要注目です。 「BANKA」は、「RADWIMPS」のボーカル·野田洋次郎さんが、ソロプロジェクト「illion」として本作のために書き下ろしたオリジナル曲ですから、当然のように映画のイメージにマッチしていますし、何より歌詞が良い!



ですから、映画が終わったからとスグに席を立たずに、是非、最後まで歌詞を噛み締めながら聴いてみてください。きっと映画の余韻にとっぷりと浸れるはずです。

最後に


かなり長々と書き連ねてしまいましたが、これでもまだ語り尽くせていません。

原作で重要な感情の流れ、カネキの成長といった部分を大切に丁寧に描く為に、実写化するパートがコミックスの1~3巻に決まったとか、キャスト·スタッフ皆さんがキチンと原作を読み込んでいて、我々同様に原作への愛が半端ないとか、映画を観ただけでは分からない部分に関してももっと書きたい(しゃべりたい)です。

本当に止まらなくなるので、最後にもう1つだけ。

東京喰種 トーキョーグール サブ3


(C)2017「東京喰種」製作委員会


この映画『東京喰種 トーキョーグール』の完成度の高さを象徴するものとして、観終わった後にその魅力を語りたくなるというのがあります。

まだ本作を観ていない人にオススメしたいというのもありますが、映画を観た者同士で「あそこが良かった」「ここにシビれた」などとお互いの感想を語り合いたくなります。

そして、必ずお互いの反応は「そうそうそう!」「だよね!」といった感じになるはずです。

それほどに、この映画『東京喰種 トーキョーグール』は原作に寄り添いながら、更に原作の世界観をグレードアップして見せてくれます。

これには原作ファンにも、きっと満足してもらえると思いますし、その魅力を誰かと共有したくなるはずです。

そして、この美しく迫力ある映像はテレビサイズでは収まりませんので、是非、大きなスクリーンと音響設備の整った劇場でご覧ください。

私は、迫力のアクションシーンを体感するために今度は4DXで観ようかと思っています。
是非、皆さんも、映画『東京喰種 トーキョーグール』を観て、この高まる感情を共有しましょう!



映画『東京喰種 トーキョーグール』は2017年7月29日(土)、いよいよ世界公開です!

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(文:いぢま)

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