映画コラム

REGULAR

2017年09月29日

なぜ『天空の城ラピュタ』は飛び抜けて面白いのか?キャラの魅力と宮崎駿の作家性から理由を探る

なぜ『天空の城ラピュタ』は飛び抜けて面白いのか?キャラの魅力と宮崎駿の作家性から理由を探る



2:シータは“やる時はやる”気丈な性格だった!




(C)1986 Studio Ghibli


ヒロインのシータは、おどおどしていて気弱なようにも見えますが、決して“守られるだけ”の存在ではありません。

なにせ、シータは初っ端からラスボスのはずのムスカを後ろからビンでぶん殴って気絶させたり、軍隊に囲まれた時は捕まえた男の腕をガブッと噛んだり、見張り台から離れないのでドーラに「お前は女の子だよ?」と問われると「あら!おばさまも女よ。それに私、山育ちで眼はいいの。パズーもそうしろって!(※パズーはそう言ってない)」と返したりなど、“やる時はやる”性格なのです。汚い台所を片付ける時に腕まくりをして気合を入れるなど、仕事には一生懸命なところもパズーと一緒ですね。

秀逸なのは、牢屋に入れられたパズーが開放され、シータに再会したシーンです。この時にシータは、パズーの後頭部にそっと手を回しているのです。パズーから「ぼくの頭は親方のゲンコツよりかたいんだ」と、ムスカからは「あの石頭は私のより頑丈だよ」と言われていたからでこそ、シータは彼の無鉄砲さを心配して、頭をケガしていないかと手を回したのでしょう。こんなわずかな描写からでも、彼女の優しく、誰かを慮る性格がわかるのです。

宮崎駿作品を振り返ってみると、“お城に囚われて王子様を待つだけ”というヒロインはほとんどいません。男を圧倒するほどに気が強かったり、揺るがない価値観を持っていたり、はたまた『ルパン三世 カリオストロの城』や『千と千尋の神隠し』のように一見して弱そうであっても、冒険を経て心の強さを手にしていったりもするのですから。こうした自ら運命に立ち向かっていくようなヒロインも、宮崎駿作品の大きな魅力です。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!