映画コラム

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2017年09月29日

なぜ『天空の城ラピュタ』は飛び抜けて面白いのか?キャラの魅力と宮崎駿の作家性から理由を探る

なぜ『天空の城ラピュタ』は飛び抜けて面白いのか?キャラの魅力と宮崎駿の作家性から理由を探る



4:ムスカの“滑稽さ”は、強大な力を持つおろかさの暗喩?




(C)1986 Studio Ghibli


悪役であるムスカは慇懃無礼な態度を見せていたものの、後半から「人がゴミのようだ!」のセリフに代表されるように、凶悪な本性を見せていきます。このムスカの性格は、豪放磊落のように見えて実は優しいドーラとはまったくの正反対です。

ムスカは自身が王家の血を引いているという事実をもって、ラピュタの強大な力を使い、全世界を手中に収めようとしていました。この目的もまた、純粋にラピュタの存在を信じ、詐欺師扱いされてしまった父の名誉を晴らしたいと考えていた(かもしれない)パズーとは対照的です。

それでいて、ムスカは射撃の名手であっても、冒頭でシータに後ろからぶん殴られて気絶したり、飛行石の光にやたら怯えたり、果ては「はぁー、目がぁー!目がぁー!」とうろたえたりと、自身はとても“弱い”のです。そんな彼が滑稽に見えることも、自身の出生や肩書(王家の血)にうぬぼれて、強大な力で他者を支配することの愚かさや虚しさを示していたのではないでしょうか。

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