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特撮×刑事×SFの融合ヒーロー『特捜エクシードラフト』【篠宮暁の特撮辞典・第55回】
特撮×刑事×SFの融合ヒーロー『特捜エクシードラフト』【篠宮暁の特撮辞典・第55回】
■オジンオズボーン・篠宮暁の特撮辞典
“特撮×刑事ドラマ×SF”を堪能
メタルヒーローシリーズ第11作目にして、レスキューポリスシリーズ3部作の最終作品。
特撮に刑事ドラマを取り込んだ『特警ウインスペクター』から2年。その集大成のエピソードを、『特捜エクシードラフト』で見ることができます。「エクシードラフト」は、人情的といいますか、感情を揺さぶるエピソードが多いです。
回によっては「特撮パートあんまりないやん、もはや刑事ドラマやん」みたいな時もあります。それはそれで最高なのですが、やはり“特撮×刑事ドラマ×SF”が見事に絡み合ったエピソードは傑作というにふさわしく、大人になった今でもしっかりと記憶に焼きつけられています。
9話、21話、22話。この3話だけでも騙されたと思って見てください。
いまだ思い出す…痺れ、揺さぶられた物語
9話は妻子を失った男が悪の道に堕ちていくも、生前の願いだったオーストラリアに行くことを叶えるため宝石を盗み、妻子の骨を持ってオーストラリアに船で渡ろうとします。
その道中、少年とハウスキーパーのロボットを人質にとるも、放任主義の両親から離れたいため、一緒にオーストラリアに連れてって欲しいと少年から懇願されます。
行動を共にしたことによる擬似家族体験でほっこりするも、結局捕まってしまうという話なのですが、この男を若かりし遠藤憲一さんが演じてられていて、それはもういい演技をされているのです。これが痺れるくらいかっこよかったからか、これ以降、僕は遠藤憲一さんの作品を見るたびに、この回を思い出し、いまだに痺れさせてもらってます。
21話、22話も心打たれる回でした。容姿を変えられ、脳の半分も機械化されてサイボーグになってしまった女性が、実は主人公・隼人と昔、恋愛感情が芽生えた関係だったことがわかります。
その女性が人質にとられたお母さんを助けに行くという話なのですが、人間でも機械でもない中途半端な存在となってしまった女性に、感情をかなり揺さぶられました。
演じているのは吉川理恵子さんという女優さんなのですが、「ウインスペクター」の傑作回「雨に泣くロボット」でも好演されてるのです。レスキューポリスシリーズを語る上で外せない女優さんなので、ここも是非見て欲しいところ。
神と悪魔も登場! 賛否分かれる最終回
そんな人情味溢れる話ばかりかと思いきや、「エクシードラフト」は他のレスキューポリスシリーズとは違い、ぶっ飛んだ話も沢山あります。
宇宙人が出てくる話や、終盤には神と悪魔まで出てきます。最終回はオゾン層がなくなって人々は地下に潜り、警察も全く機能してない荒れ果てた東京が描かれ、ファンの間ではいまだに賛否両論ある最終回となっています。
ちなみに僕は“賛”なのですが、この最終回がトラウマのように記憶に残っています。特撮でここまで絶望感を感じたシーンはありません。
余談ですが、この悪魔をいまや名リポーターの阿部祐二さんが演じられていて、阿部さんの顔を見ると、いまだに少し恐怖を感じてしまいます。
そんなエクシードラフト、少しだけでも見てみてください。まさにスコシードラフト。
(文:オジンオズボーン・篠宮暁)
※この記事は、WEBサイト「WB」にて以前連載していたものを、再編集したものです
以前の記事はこちらから
【オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会】も連載中!
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