インタビュー
「オーディションでスカしてたって言われて恥ずかしかった!」映画『高崎グラフィティ。』萩原利久インタビュー
「オーディションでスカしてたって言われて恥ずかしかった!」映画『高崎グラフィティ。』萩原利久インタビュー
2018年8月25日(土)全国順次公開(8月18日よりシネマテークたかさき、イオンシネマ高崎では先行公開)となる映画『高崎グラフィティ。』。
今作は、3分以内の予告編の公募から選ばれたグランプリに予算が与えられ、劇場作品として製作するという「未完成映画予告編大賞」の第1回作品です。
予告編からスタートした異例の作品ともいえる今作は、群馬県高崎市を舞台に、高校の卒業式を終えた5人の男女のストーリー。将来への葛藤や卒業を期に変化する友人との関係など、リアルな18歳の姿を切り取っています。
父親が専門学校の入学金を持って姿を消したことで将来の計画が狂ってしまった主人公の吉川美紀(佐藤玲)の幼馴染で、彼女のためにお金を作るべく危ない世界へ足を踏み入れる阿部優斗を演じた、萩原利久さんにお話を伺いました。
──撮影前に予告編はご覧になったんですか?
萩原利久(以下、萩原):オーディションを受ける前に、一度見ました。
──予告編を見たときに、もう脚本は読んでました?
萩原:脚本は読んでいなくて、予告編でわかるくらいのあらすじだけ聞いていました。
映像を見て作品や役のイメージを膨らませたのですが、予告編のキャラクターを変に意識したくなかったので、1度しか見ませんでした。予告編の優斗に寄せていくことはしたくなかったんです。だから、オーディションでは、自分の中から生まれてくるキャラクターを意識して演じました。
── 3分の映像ということですが、どんな感想を持ちましたか?
萩原:これから撮る作品の予告編だけを見ることはないですし、他の方が演じている役を演じることになるので新鮮な気持ちでした。普段は見ることのないものを同時進行で見ている不思議な感覚ですね。
感想としては、5人を中心に物語が進んでいく感じがいいなと。映像を見て、この作品の空気感や世界観に入りたいなっていう気持ちが強くなりました。
──役に近い印象の人にお願いしてオーディションを進めたと伺ったのですが、優斗と自分は近いと思います?
萩原:実は、最初のオーディションを関谷直樹役で受けていたんですよ。
──お調子者の役どころですね。
萩原:なので、僕としては優斗に近いとは思っていなかったんです。そしたら川島(直人)監督から、「学校と仕事という違う楽しみを持っていて、学校っていうものに対してどこか線を引いている感じが優斗にはあり、そこが似ている」というお話がありました。僕は芸能活動をしながら高校に通っていたので、その気持ちがわかるというか。
“学校は学校でまぁ楽しいけど、学校の外の先輩と居る方が楽しい”という優斗の気持ちが、僕とすごくマッチしていて、それで初めて優斗と通じる部分を見つけたんです。たしかにそういう感覚は自分も高校生のときに持っていたし、考えてみたら近いのかなと思いました。
──たしかに、学校の外の世界を知っているかどうかで役への理解が変わりますよね。
萩原:そうですね。その感覚はリンクしていると思ったので、そこから優斗という役の姿を探していきました。
──ちなみに、最初に直樹を受けていたのは何か理由があるんですか?
萩原:オーディションの段階では直樹という役の設定がそこまで具体的には決まっていなかったと思うんですけど、3人の男子の中で自分のプライベートの姿に近いのは直樹かなって思ったんです。
──直樹は高校生らしさのあるキャラクターですよね。逆に、優斗はドがつくくらいクールじゃないですか?
萩原:だから僕とは全然違うと思ったんです(笑)。むしろ真逆なんじゃないかと思っていたので、最初は意外でした。
──萩原さんとお話する前は、役に近いクールで近寄りがたい感じなのかなと思っていたんですが、撮影中もニコニコされてて、私が勝手に持っていたイメージとは全然違いました。
萩原:オーディションでは、スカしてたって言われました(笑)。知ってる方とかがいるとちょっと澄ましちゃうというか…。後からそれを言われて、すごく恥ずかしかったんですけど…(笑)。でも、そこも優斗に近いところだったのかなって思います。
──メインキャスト5人の中で、萩原さんはほかのメンバーと5歳くらい歳が離れていますよね。劇中では全然そんな感じがしなくて、作品を見たあとに年齢を確認して驚いたんですが、現場では馴染めましたか?
萩原:現場では全然年の差を感じずにいられました。特に河合康太役の三河(悠冴)さんと直樹役の中島(広稀)さんは仲良くしてくださって。
三河さんは映画『帝一の國』でご一緒して、そのときにもコミュニケーションをとっていたんですが、今作でさらに親しくなれたと思います。歳が離れている分、逆にいい関係性が築けたのかなと思います。
それに、撮影前にも何回か5人で食事をして、同級生とするような本当に他愛のない話で盛り上がっていたので、現場入るころにはもう関係性が出来上がっていたように思います。
──撮影期間中は、ずっと高崎にいたんですか?
萩原:僕は一度も帰らず、2週間くらいいたと思います。高崎は風がすごいと聞いてはいたんですけど、本当にすごかったです(笑)。あまりにも強烈で、ちょっとなめてたなって思いました(笑)。でも、本当に協力的な街だったので、撮影中のストレスもなく、とてもありがたかったです。
──劇中で自動販売機がずらっと並んでるお店が出てきましたが、田舎っぽさを感じられるシーンでいいなと思いました。ああいうスポットって見たことありました?
萩原:なかったです! すごく新鮮だったので、中に入って1人でずっとぐるぐると見てまわってました。
──あのお店は、優斗が慕う先輩の君島和樹とのシーンでしたね。君島を演じる奥野瑛太さんとのシーンは、同級生といる場面とまた違う感じだったと思うのですが。
萩原:優斗は、会う人会う人に全然違う顔をするので、そこが優斗という役の難しいところでもありました。それもあって、5人の関係性が出来た状態で入った現場と違いましたし、5人のときはいい意味でお互い頼りあっている感じがあったんですが、ひとりで別のシーンというのはやはり緊張しました。
──奥野さんと芝居についての話はしたんですか?
萩原:優斗と君島先輩はどういう距離なんだろうね、みたいなお話はしました。先輩後輩という関係ですけど、優斗がペコペコしているわけでもなく、微妙な距離感がすごく難しかったです。
──優斗と君島の関係は、萩原さんと三河さんや中島さんの歳上キャストとの関係みたいな感じだったんですかね。かわいがられキャラというか。
萩原:その距離感かもしれないですね! 部活の先輩後輩のような体育会系な関係ではなく、心地いい距離感が出せたらいいなと思って演じました。
──もちろんいろんな人に見ていただきたい作品だと思うのですが、特にこんな人に見てもらいたい、というアピールを最後にお願いします。
萩原:高校生を経て大人になった人たちが見ても、経験したことのある感覚や、共感する部分もあって楽しんでもらえると思うんですが、ピンポイントでいうと高校3年生の人に特に観てもらいたいです。来年、こういう状況を迎えるかもしれない人たちに、とりわけて何か響くものがあるんじゃないかなって。
僕も卒業前は彼らのようにふわっとしていましたし、卒業を迎えてから実感することが多くあったんです。だから、この映画を見てから卒業を迎えたら、また違った感覚をもてるんじゃないかなと。
僕自身も『高崎グラフィティ。』を卒業前に見たかったなぁって思うんです。卒業前に見ることができる期間は限られているので、現役高校生の感性で見てもらえたらうれしいです!
萩原利久さんの「喜」「怒」「哀」「楽」
『高崎グラフィティ。』の現場での喜怒哀楽の思い出を教えてもらいました!
萩原利久さんの「喜」
この現場に役者として携われたこと! やりたい役を演じることができる喜びが一番です。お話をいただいたときシンプルに喜びました!
萩原利久さんの「怒」
「明日のこのシーンどうしよう」みたいな作戦会議を毎晩していて、三河さんの部屋でやっていたのが、いつからか僕の部屋でやるようになったんです。初めは各自ゴミを持ち帰っていたんですけど、気づいたら僕の部屋に置きっぱなしになっていたので、僕の部屋にしれっとごみを置いて帰る、三河さんと中島さんに怒ってます(笑)!
萩原利久さんの「哀」
せっかく5人仲よくなったのに、撮影が終わるタイミングがいつもバラバラだったので、「お疲れ〜!」みたいなのがあまりなくて悲しかったですね(笑)。
萩原利久さんの「楽」
この作品に携わることができて、劇中の5人に出会えてよかったです。泊まり込みの撮影だったからこそ、思い出がたくさんできましたし、毎晩のように役について話すことができたことが新鮮で、楽しかったですね。
映画『高崎グラフィティ。』は、2018年8月25日(土)より全国順次公開です。
(写真:八木英里奈、スタイリング:山下友子(ヤマシタユウコ)、ヘアメイク:Emiy、文:大谷和美)
<衣装協力>シャツ(3990円/ジェイフェリー/リファクトリィ 03-5524-3725)、Tシャツ(14000円/リディアル/(株)カイタックインターナショナル 03-5722-3684)
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