『M/村西とおる 狂熱の日々』全裸監督・村西とおるが挑んだ過酷な撮影の記録!



©2019 M PROJECT



前科7犯、借金50億、撮ったAVは3000本!

このキャッチフレーズでお馴染みの伝説のAV監督・村西とおる。彼が1996年に行った、大規模ロケ撮影の貴重な制作現場を収録したドキュメンタリー映画『M/村西とおる 狂熱の日々 完全版』が、11月30日からいよいよ劇場公開された。

『全裸監督』で初めてその存在を知ったという世代にとっては、撮影中の村西監督本人の貴重な映像が見られるだけに、公開前から世代を超えて大きな話題を呼んでいる本作。果たして気になるその内容と出来は、どのようなものだったのか?

ストーリー


前科7犯、借金50億。
AV界の帝王と呼ばれた男・村西とおるは、1996年の夏、再起を賭けて北海道で大規模な撮影に挑む。
度重なるアクシデント、想像を絶する過酷な現実の中、なぜ彼は屈しなかったのか?果たして、どん底から這い上がることができたのか?
愛とは?そしてエロスとは?ひたむきに突き詰める狂熱の日々が、“人間・村西とおる”の本質をあぶりだす!


予告編


まさに戦争!過酷な撮影の果てに待つ衝撃映像とは?



単に村西とおる監督の撮影風景を収めた記録映像ではなく、熱気溢れる80年代からバブル崩壊後の日本社会を描く優れたドキュメンタリー映画となっていた、この『M/村西とおる 狂熱の日々』。

そこで描かれていたのは、バブル期を迎えた日本の経済状況が、いかに日本人の金銭感覚や仕事への認識を変えていったか? その記録に他ならない。

すでにAV出演よりも、より効率的に裸で稼げる仕事が登場していたこの時代。モデルの女性たちも自身の裸の価値を知っているだけに、報酬に見合うだけの労働で済ませようとする彼女たちと、昔ながらのプロ意識を要求する村西監督の間に、撮影前から数々の対立やトラブルが生じることになる。

それに相反する形で登場するのが、モデルたちに合唱の指導をしていて、あまりのやる気の無さに抗議し涙する女性の姿や、実力で他の俳優から役を奪い取る男優の姿だ。

中でも、役を奪われた男優が闘おうとせず諦めてしまうのに対し、実力で役を勝ち取った男優がカメラの前で語る怒りと本音の言葉の中には、昔ながらのプロ意識や役者根性の重要性と、村西監督が生き抜いてきた弱肉強食の世界の本質が、見事に表現されていると感じた。

加えて、平気で撮影環境に対する不平不満を口にしたり、監督に反抗して自分の存在をアピールしようとする女優に対して、村西監督がどう対処していくかの部分は、その見事な交渉術を学べる貴重な資料となっているので必見!

更に映画の終盤には、観ていて思わず声を上げてしまった程の衝撃映像が待っているので、劇場の大スクリーンで目撃することを、強くオススメします!

この撮影の意義と重要性について



ブルーレイからネット配信へと急速に移り変わる中で、今でこそ時代遅れの感があるDVDソフトだが、世界初の商業用DVDソフトである、谷村新司のライブDVD「シンジ ラ ムニタ」が発売されたのは、1996年11月のこと。

この点を踏まえて映画を観れば、アナログレコードからCDへの移行が進み、徐々に映像ソフトにも世代交代の動きが出てきた頃とはいえ、世界初のDVDソフトが発売される4ヶ月前の1996年7月に、村西とおる監督が世界初のDVD用Vシネマ製作を試みたことが、いかに偉業だったかが、きっとお分かりいただけるはずだ。

しかも、DVDの容量を考慮して4時間16分の長編大作に仕上げるという、まるで正体不明の巨大な敵に裸一貫で立ち向かうような行動は、まさに"全裸監督"の名に恥じないもの!

果たして無事に撮影は完了したのか? その答えは、是非劇場でご確認頂ければと思う。

最後に





当日の登壇者。左から、MCの有村昆、西原理恵子、高須克弥、村西とおる監督、片嶋一貴監督。



公開前日の29日夜には、前夜祭として豪華ゲストが登壇する先行上映が行われ、村西監督の作品をリアルタイムで体験した世代だけでなく、『全裸監督』でその存在を知った若い世代や女性など、幅広い層の観客で満席となっていた、この『M/村西とおる 狂熱の日々 完全版』。



左から、高須克弥、西原理恵子、村西とおる監督。





村西とおる監督の回答に、思わず笑ってしまう一幕も。



映画上映前のトークイベントには、村西とおる監督が当時のような撮影用カメラを肩に登場! 更にゲストとして、本編にも出演している西原理恵子、高須克弥、この映画の監督である片嶋一貴が登壇し、様々なエピソードを披露。観客からも大きな拍手が送られていたのが、印象的だった。



映画の中の厳しい表情とは違って、笑顔を見せる村西とおる監督。





終始笑いに包まれていたトークイベント。



先日のインタビュー記事でも村西監督が語ってくれたように、この時撮影されていたVシネマ『北の国から 愛の旅路』は、現在再発売に向けて準備中とのこと。

このドキュメンタリーを観た後は、きっと本編が観たくなるだけに、一日も早い再発売が待たれるところだ。



イベントの最後には、3人であの"ホラ貝笛"を吹くファンサービスも。



ちなみに上映劇場で販売されるグッズには、ちゃんと黒木香が吹いていたホラ貝の笛も含まれているので、ファンの方は売り切れる前に劇場でゲットすることをオススメします!

(文:滝口アキラ)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!