『mid90s』のレビュー:今年ベストの予感…!深く深くどこかに仕舞い込んでしまった感情を引っ張り出してくれる映画
どうも、橋本淳です。
66回目の更新、今回もよろしくお願いします。
10代の時にもっと色々やっておけばよかったなと、周期的に思うんですが今またそういう時期に突入中。まぁ決して戻ることはないのですが、どこかSFを期待してしまう自分もいます。とはいいつつも今の自分がいるのも、その後悔している10代の自分があってこそなので、結果いいのかなとは思ってしまいます。
前はよく、あのときの自分に戻れたら的な妄想を膨らませることもあったのですが、今は2度と戻りたくないやい!と変化したりなんかして。あの頃、色々やっておけばよかったと思うものの、いざそこに戻ることになるのは拒否したい、もはや駄々っ子のような心理なのですが、、、。
まぁそんなに楽しくなかった青春時代があったからこそ、いまを楽しく迎えられているので結果良しということで。まぁ、すいません、なんじゃそりゃですよね。いまやっている役のせいもあり、思考回路があっちゃこっちゃいっているからかもしれません。お許しを。
今回は今年のベストにランクインするだろうなと、大満足なこちらの作品をご紹介します!
『mid90s』
1990年代半ばのロサンゼルス。13歳のスティービー(サニー・スリッチ)は、兄のイアン(ルーカス・ヘッジス)と母親のダブ二ー(キャサリン・ウォーターストーン)と暮らしていた。小柄で少し気の弱いスティービーは、兄の背中を追いかけようとしているものの、イアンはそれを少し疎ましく思っている。ケンカでは、兄には全く歯が立たず、スティービーはいつか見返してやると思っていた。
ある日、スティービーは街のスケートボードの店で少し年上の男の子たちの集団を見かける。そのスタイルや会話を目を輝かせながら彼らを見るスティービー。そのグループに近づきたい一心で、スティービーはなんとか手に入れたスケボーを片手に、彼らの溜まり場に通うようになる。すると徐々に憧れのグループとの交流が生まれ、スティービーもスケボー仲間になっていく。レイ(ナケル・スミス)、ファックシット(オーラン・プレナット)、フォース・グレード(ライダー・マクラフリン)、ルーベン(ジオ・ガルシア)、個性あふれる彼ら、そしてそれぞれの滑り、振る舞いをカッコイイと心から思っているスティービーは、彼らに認められるように必死で、練習やスタイルを学んでいく。
母は、こそこそとしながら、徐々に変わっていくスティービーを、心配そうに見守っているが、、、
ジョナ・ヒルの初監督作品。A24製作。尺長85分。
またやってくれましたよA24は。またもや傑作を世に送り出してくれました。毎回毎回こんなにも心躍らせてくれてありがとうございます。(最敬礼)
少年・青年のまだ大人になれていない、あの時期特有のモノが沢山詰まっている。友達間での仲間意識だったり、嫉妬であったり、焦りであったり、将来を見据えたときのズレだったりと様々な甘酸っぱさを盛り込んだ上に、90年代カルチャーで周りをきっちり固めた大傑作。
監督である、ジョナ・ヒル自身の体験したことをベースに、彼が脚本も手掛けた本作。
俳優陣は、メインキャスト(兄と母以外)は、ほぼみんなプロのスケートボーダー。主演のサニー以外は、映画出演も演技経験もない子たち。しかし、見事な佇まいであり、そして芝居も素晴らしい。無理にやっている感も全くなく、リアルに素直にその世界の住人になっている。
俳優であるジョナ・ヒルが、その経験を生かし、役者にどうしてあげればやりやすくなるのかを念頭に置いた現場作りが生きたのかもしれません。彼らを緊張させずに、リラックスさせながら撮る。そうしたこともあり、演技経験のない彼らがだんだんとその登場人物を理解し、同一化していく過程には、感動したと、監督も語っています。
そして、劇中に出てくる小物類。Tシャツであったりポスターであったり町並みだったり、90年代を浴びまくります。さらに、外せないのはやはり音楽。劇中では、名盤ばかりがかかり物語を盛り上げてくれます。音楽がナレーターのような役割で、シーンをくっきりと浮かび上がらせてくれる。
ただの「90年代映画」や「スケボー映画」のようなノスタルジー作品ではないし、90年代でありながら新しさも感じる。
それぞれの、もう2度と戻れないあの時代。深く深くどこかに仕舞い込んでしまった感情を、引っ張り出してくれる作品。間違いなく今後も残っていく作品であると確信しています。
説明ではなく、その背中できっちり魅せてくれる。
心に訴えてくれる作品をいまぜひ映画館で!
それでは今回も、おこがましくも紹介させていただいきました。
(文:橋本淳)
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