映画コラム

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2020年09月24日

『映像研には手を出すな!』レビュー:齋藤飛鳥の素晴らしき存在感!

『映像研には手を出すな!』レビュー:齋藤飛鳥の素晴らしき存在感!


これからの才能の飛躍を
期待させてくれる快作!




(C)2020 「映像研」実写映画化作戦会議
(C)2016 大童澄瞳/小学館 



このように次から次へと問題起こしまくりの映像研と、彼女らに手を焼く大・生徒会の面々、さらには突然現れる謎の気象予報部の晴子(浜辺美波)は一体何をしでかしてしまうのか? などなど、ノンストップ・トラブル青春群像劇としてひた走っていくのが映画『映像研には手を出すな!』の本領といってもよいでしょう。

何よりもここに登場する面々それぞれの豊かな個性の発露は、若手ならではのイキの良さやら今後の可能性やら、いろいろ頼もしく映えわたってくれています。

中でも主演の乃木坂46の3名の、それぞれの柄を活かした好演は讃えられるべきですが、さらに特筆すべきはやはり齋藤飛鳥の映画女優としての資質を多大に秘めた存在感でしょう。

最初に彼女をTVで見たときから、どこかしらヨーロッパ映画の少女ヒロインが似合いそうな子だなと直感で思ったりしていたものですが(たとえれば『シベールの日曜日』『かもめの城』のパトリシア・ゴッジのような)、事実彼女が初主演した映画『あの頃、君を追いかけた』(18)で魅せた初々しくも瑞々しい好演を目の当たりにして、こちらの直感は確信に変わったものでした。

さらにTVドラマ『ザンビ』(19)におけるホラー・クィーンとしての憂いもなかなかのもので、とにもかくにも彼女は映像に潤いをもたらす逸材であることは間違いないと、ますます確信を深めていたところに、この『映像研には手を出すな!』です。

ここでの究極の人見知り&天才少女・浅草みどりは徹底して漫画チックな誇張で演じられており、これは一歩間違うとドッチラケになりかねない危惧もあったものの、齋藤飛鳥は天性のオーラ(としか言いようのない)で実に愛らしくも応援したくなるヒロイン像を構築し得ています。

監督はこれまで『高校デビュー』(11)『ヒロイン失格』(15)『映画賭ケグルイ』など、ちょっと誇張したコミカル青春映画に抜群の際を発揮し続ける英勉で、『あさひなぐ』(17)『ぐらんぶる』(20)など乃木坂46の面々を起用した作品群でも定評があるだけに、今回も齋藤飛鳥をはじめ山下美月、梅澤美波の女優としての長所を上手く抽出してくれています。

かつてアイドル映画といえば各方面からお子様ランチ的にバカにされてきたものですが、時を経た今となっては当時のアイドル映画からいかに多数の逸材を発掘してきたか、またそれらの作品群もダイヤモンドの原石のような存在であったことまで認知されてきています。

『映像研には手を出すな!』もその意味では、今後の才能の飛躍を大いに期待させてくれる作品として屹立しているのでした!

(文:増當竜也)

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