映画コラム

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2020年10月15日

『博士と狂人』レビュー:学者と殺人犯が共闘して作り上げたものとは?

『博士と狂人』レビュー:学者と殺人犯が共闘して作り上げたものとは?



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一見地道に見える作業に対して、コツコツと、真摯に従事し続ける人々がいます。

辞書作りもそのひとつに入れられるかもしれません。

三浦しをん原作で映画化&TVアニメ化された『舟を編む』は、個性豊かな面々が辞書制作に没頭していく様を描いたものでした。

本作『博士と狂人』もまた辞書制作の映画です。

ここで作られる辞書とは、世界最大の英語辞典。

そして、邦題が示す通り……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街511》

本作は、世界最大の英語辞典誕生に孤高の学者と呪われた殺人犯が深く関わっていた事実を描いた衝撃のドラマなのでした。

しかも演じるのは博士=メル・ギブソン、狂人=ショーン・ペンという、二大スターの火花散る競演!

世界最大の辞書編纂に挑んだ
博士と狂人!


本作は41万語以上の収録語数を誇る世界最大の英語辞典「オックスフォード英語辞典」誕生にまつわる秘話を描いたサイモン・ウィンチェスターの小説「博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話」を原作にした映画です。

時代背景は19世紀後半のイギリス。

南北戦争での過酷な体験で心を病むようになった元軍医大尉ウィリアム・チェスター・マイナー(ショーン・ペン)は、イギリスに渡った後の1872年、幻覚による精神錯乱から殺人を犯してしまいますが、精神異常のため無罪判決となり、そのままブロードムア刑事犯精神病院に入れられました。

その頃、オックスフォード大学に呼ばれたジェームズ・マレー博士(メル・ギブソン)は、同大学が20年かけて製作を目指すも未だに完成のめどが立たない英語辞典の新たな編纂責任者に任命されました。

マレーは辞典にすべての英語(古語、廃語、俗語、外来語など)とその変遷を収録すべく、学者や専門家だけでなく広く一般に単語と用例を書いて郵送してもらうよう声明文を出します。

そして病棟内で幻覚に苦しむマイナーの対処法として、看守マンシー(エディ・マーサン)が差し入れた本の中に、その声明文が入っていました……。

しばらく時が過ぎて1885年、編纂作業が未だに「A」のまま足止めを食って苦境に立たされていたマレーのもとに、何と引用文を記した1000枚のカードが届けられます。

送り主はマイナーでした。

その後も定期的に膨大な量のカードがマイナーから寄せられ、マレーの作業はぐんぐんはかどっていきます。

と同時に、マレーとマイナーの間に不思議な絆が生まれていくのですが……。

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