インタビュー

2021年01月07日

坪倉康晴インタビュー|『ミュージカル「DREAM!ing」』志部谷 幽は「かまってあげたい感じが魅力」

坪倉康晴インタビュー|『ミュージカル「DREAM!ing」』志部谷 幽は「かまってあげたい感じが魅力」



人気女性向けアプリゲームの舞台化作品として注目の『ミュージカル「DREAM!ing」』が、12月24日より上演中。大阪公演は好評のうちに千秋楽をむかえ、1月13日(水)より東京公演が始まります。

首席で卒業した生徒には国家レベルの権限が与えられるという東雲学園で、2人1組となって「ゆめライブ」を行い、首席を目指す候補生たちの姿が描かれる本作。彼らは心の内側をさらけ出し、パートナーと心を通わせてユニゾンすることで観客を魅了していくなかで、本当の自分と出会うことに……。

魅力的な首席候補生たちが登場する本作の中で、元ペアの花房柳に執心しながら、容姿端麗で自由気ままな牛若湊とペアを組むことになったことに不平不満を抱える、志部谷 幽役の坪倉康晴さんにインタビューを実施。2019年に「劇団番町ボーイズ☆」の候補生メンバー(当時)として俳優デビューし、『Starry☆Sky on STAGE』や「富豪刑事 Balance:UNLIMITED The STAGE」などにも出演している坪倉さん。役についてのお話はもちろん、大阪公演初日を終えた今の気持ちや今後の展望について語ってもらいました。



——昨日、大阪公演初日を迎えたばかりということで、今の気持ちをお聞かせください。

劇場に入ってから照明やいろいろな演出がつくので、稽古場よりさらに一段気持ちが上がるんです。気持ちいい!楽しい!と思いながら稽古をして。さらに本番では、お客様の前でパフォーマンスができて、よりライブ感が増してすごく気持ちが高まりました。

——客席からの熱量みたいなものは感じました?

パッと客席を見たときに、泣いている方もいて。中盤あたりの感動的なシーンだったんですが、そこからどんどんストーリーが発展していくんですけど、泣いていただけるくらい世界に入り込むことができるステージになっていたのかなと思うと、うれしいですね。

——志部谷 幽役に決まったときの第一印象はいかがでしたか。

今はすごく楽しく演じていますが、これまでは落ち着いている役を演じることが多かったので、感情の起伏が激しい幽のような役を演じるのは初めてで、最初は正直「やれるのかな」と思いました。



周りの人に理解されづらいキャラクターなのかなと思うので、どんな過去があって今の彼になったんだろうっていうのが気になって、ゲームをプレイしたりして勉強しましたね。今の性格になった理由はいろいろあるんですけど、幽にも芯はあって、そのあたりを理解して演じたいなと思いました。

——では、そこからどんなアプローチを?

最初に、みんなから見た幽、自分なら幽をどういう風に見るか、というのを想像して、そこから幽の言動について考えました。人から見られることに抵抗のあるキャラクターなので、人との壁をいかに作るかっていうことを意識しました。

好きな人は好きな人、嫌いな人は嫌いな人、そもそも興味ない人は興味ない人と、結構はっきりしている部分があるので、そのあたりをどう表現するかはすごく勉強しました。

——幽の心境に自分を重ねるより先に、まずは客観的な視点から入ったんですね。

こう見られるんだったら、どういう動き、話し方をするのかなとか。あと、今回の幽は場の空気を変える役どころなので、そこも意識してます。演出家の國重直也さんからも、今回はそういう役どころだよって言われましたし、台本を読んでも、ここで幽が空気を変えないとメリハリが出ないなとか、ミュージカル全体の中で幽がどういう存在か考えるようにしました。

——ご自身とは全然違う性格ですか? それとも、共感できるところも見つかりました?

幽を見た人は「この人は何を考えているんだろう」って思うと思うんです。自分もプライベートでは、「今何考えてるの?」って言われることが多くて。そういうときは、特に何も考えてないんですけど(笑)。そういうところは自分と似てるなって思うこともあります。

——ミステリアスな感じですかね?

自分は天然なだけだと思います(笑)。



——逆に演じる上で苦労したことはありますか?

僕自身がプライベートでは感情の起伏があまりないので、幽のテンションが上がって早口になるところが一番大変でしたね。

それに、柳くんに対しては100%でいくけど、興味ない人には0%っていう、この人には何%のセリフを発する、っていう感情の起伏を交えたセリフの出し方も苦労しました。湊に対しては、常にキレる訳ではなくて、積み重ねて積み重ねて溜まったものが、一気にポン!と出るような感じなんです。そのスイッチの入り方とか、今のちょっと違うなとか、考えることが多くて。

話す相手によって豹変するところが、幽を演じるうえで大切な部分だと思ったので、だからこそ苦労した部分だと思います。

——そこまで幽のことを考えていたら、演じてるうちに愛着もわいてきたのでは?

そうですね! 最初は苦労も多かったんですけど、演じているうちにかわいく見えてくるんですよね(笑)。かまってあげたい感じ。自分が演じてるからというだけでなく、ゲームをやっていても、幽に興味がわいてほうっておけない湊の気持ちがわかるんです。そのほうって置けない感じが幽の魅力でもあると思います。

——では、東京公演への意気込みをお願いします。

ストーリーはもちろん、歌とダンス、パフォーマンスが盛りだくさんの内容で、分厚い台本と向きあって作った舞台です。オリジナルの曲もたくさんありますし、「ゆめライブ」をリアルに感じられると思うので、世界観に入って楽しんでいただけるように、大阪公演を経てさらにレベルアップした姿を見せられたらと思います。



——幽としてはどういうところに特に注目して欲しいですか?

感情の起伏などセリフの部分ももちろん見ていただきたいんですけど、ダンスとか歌の表情とか歌い方をかなり意識して演じています。幽だったらこの歌は明るく歌う、楽しく歌う、この歌はちょっと感情が下がって暗めになるとか、舞台ならではの部分をこだわって作ってきたので、歌、ダンスの部分にも注目していただきたいです。

——ここからは、坪倉さんご自身のお話も少し伺っていきたいと思いますが、今作を通して自身の成長を感じた部分はありますか?

ミュージカル自体が初めての経験で、歌いながらダンスをすることに最初は苦戦しましたし、初めて演じるタイプのキャラクターで役作りでも、楽しさも苦労もありました。でも、この作品で幽を演じたことで表現の幅が広がって、演じることがもっと楽しくなった気がします。



今まで演じた役はキャラクター的にも自分の余裕的にも、遊びの部分を入れて演じるのが難しかったんですが、今回は幽というキャラクターを尊重しながらも、自分の思ったことを取り入れることができているというか。お芝居についてはまだまだ未熟ですが、今自分ができることに挑戦してみよう、一歩先に行ってみよう、という気持ちで幽を演じています。自分が踏み出せていなかった新しい領域に、幽が連れて行ってくれた感じがします。

——では、今後どんな役を演じてみたいですか?

自分のなかでの課題というわけではないんですが、明るいキャラクターを演じるのが苦手だなと思っていて。今回でいうと、めちゃくちゃ明るくてお喋りな(新兎)千里のポジションが普段の自分とは全然違うので、そういうキャラクターに挑戦してみたいです。演じられたら楽しそうだなって思うんです。

——最後に、こんな俳優になりたいという将来の展望をお聞かせください。

今は対応力とか芝居の引き出しが少ない自覚があるので、いろんな役を演じて、実力をつけていきたいです。まずは自分が所属する「劇団番町ボーイズ☆」の先輩方に追いつくのが目標です。

その先には、やっぱり主演をやってみたいという気持ちがあります。これからも2.5次元などの舞台をたくさんやっていきたいのですが、今はまだ余裕のないところもあって、自分の演技というものを完全に見つけることができていないんです。だから、いろんな作品に出演して、他の人にはない自分の色を持った俳優になって、何色にも染まらない自分のスタイルを確立できるようになりたいと思っています。


坪倉康晴プロフィール

つぼくら・こうせい。1997年1月7日生まれ。鳥取県出身。2019年に「劇団番町ボーイズ☆」の候補生メンバーとして、「劇団番町ボーイズ☆×10神ACTORコラボ公演 舞台『クローズZERO』」にて俳優デビュー。出演作に、2020年1月「『Starry☆Sky on STAGE』 SEASON 2 ~星雪譚 ホシノユキタン~」、2020年10月「富豪刑事 Balance:UNLIMITED The STAGE」などがある。

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