俳優・映画人コラム

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2021年05月04日

「好青年役」から脱皮しつつある?あらためて確認しておきたい俳優・中川大志の魅力

「好青年役」から脱皮しつつある?あらためて確認しておきたい俳優・中川大志の魅力


振り返る「家政婦のミタ」阿須田家の長男役

ここで、中川大志のルーツをあらためて振り返りたい。

小学5年生の頃、父親と原宿で買い物をしていたら事務所関係者にスカウトされ、それをきっかけに芸能界入りした中川大志。やはり彼の名を広く知らしめることになったのは、ドラマ「家政婦のミタ」だろう。



松嶋菜々子主演、長谷川博己や相武紗季も出演していた本ドラマにおいて、中川大志は阿須田家の長男役を見事に演じきった。頼まれたことはたとえ殺人でもやってしまうという、笑うことを放棄した不可思議な家政婦・三田を迎え入れるところから物語は始まる。テーマ自体がセンセーショナルで、最終回の視聴率は40%を超えたというのも納得だ。

当時13歳だった中川大志。自分自身も思春期に片足を突っ込んだ時期で、不安定な心境を抱えることもあったのではと想像するが、撮影当初のことを振り返る彼は実にさっぱりとしている。「たくさんのカメラがあって、たくさんの大人がいて、その環境自体が新鮮でとても楽しかった覚えがある。まるで習い事に行くような感覚だった」と別取材にて語った。演技そのものも含め、現場を楽しむ精神はこの頃から培われていたようだ。

演技に対してストイックである傍ら、「現場は楽しまないとならない」考えを少しずつ強くしていく。2020年にハリウッド実写映画化された『ソニック・ザ・ムービー』において、主人公・ソニックの日本語吹き替えを担当した際のインタビューでも「いつも現場が楽しい、辞めたいと思ったことはこれまで一度もない」と語った。役者が心から楽しんでこそ、良い空気が生まれ良い演技に繋がる。仕事に対して誠実に向き合ってきたからこそ、楽しむことの重要性を肌身に刷り込んできたのだろう。

「好青年役」「イケメンキャラ」が多かった2018~2020年

ドラマ「家政婦のミタ」で子役ながらも一俳優として名が知られることとなり、その後「GTO」や「夜行観覧車」「南くんの恋人〜my little lover」「重版出来!」などで着実にキャリアを醸成させてきた。脇役はもちろんのこと主役を務めることも多くなる。2021年4月現在22歳の彼が「まだ22歳だったの!?」と思われるのも当然のことかもしれない。

19歳~20歳にかけて増えてきたのは、いわゆる「好青年役」「イケメンキャラ」だ。ドラマ「覚悟はいいかそこの女子。」「G線上のあなたと私」「親バカ青春白書」をはじめ、映画『きょうのキラ君』『ReLIFE リライフ』『虹色デイズ』では総じて”爽やかな好青年役”や”キラキラしたイケメンキャラ”を演じた。2020年頃までの中川大志が演じてきた役柄を振り返ってみると、観る人をキュンキュンさせる位置づけが多かったと思う。



とりわけ筆者が共有したいのは、ドラマ「G線上のあなたと私」で演じた理人役の”シャッタードン”事件である。あれはまさに事件であった。配信サービスTELASAで見放題視聴できるため、暇さえあれば繰り返し観ている(※配信日時は2021年8月31日までなのでご注意を!)。最初はツンしかなかった理人が少しずつ心をひらいてくれる様は、ベタだけどやっぱりキュンとくる……。年下男子によりもたらされる潤いが欲しい方にはぜひおすすめしたい。アラサー世代におすすめのドラマである。

「好青年役」「イケメンキャラ」が多かった中川大志だが、2021年公開作&公開待機作をみてみると、何やら様子が違うようなのだ。

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