【NetflixやAmazon Primeで視聴・レンタル可】私的音楽映画ベスト5


タレンタイム〜優しい歌



よりによって1位で「【ルール8】ルールは1度だけ破ることができる」を適用……というか、本作をランクインさせるためにルールを設けたので、完全なる不正なのですが(笑)ダントツの1位なんだから仕方がない。ヤスミン・アフマド監督作品『タレンタイム〜優しい歌』でございます。

なんですが、この度検索をしたところ、実はAmazon Prime Videoでレンタル可能なことが判明しました。とんでもないことでございます。

ヤスミン・アフマドはマレーシアの映画監督で、本作もマレーシアで撮られているんですが「するってぇと、流れる音楽もマレーシアっぽいのかい」と勢い思いがちですが、これが全然違うんですよ。

たとえば、主人公の一人であるハフィズ(モハマド・シャフィー・ナスウィップ)はマレー人のムスリムですが、ギターを片手にジャクソン・ブラウンの「ドクター・マイ・アイズ」もかくや、といった軽快なナンバーを英語詞で歌います。

マツコ・デラックスにそっくりな先生も、ジョニー・キャッシュやニーナ・シモンを引き合いにして、オーディション審査をします。

これは、もともとマレーシアのラジオが流していたのは香港やアメリカなどからの輸入音楽が9割以上だったことに起因しているのですが、細かい話はさておき、音楽を担当したピート・テオの仕事は凄まじく、筆者調べでは映画を視聴した人のわずか120%がサントラを購入するか、購入できないのでYouTubeで聴いているといった統計が出ています。

さて、タレンタイムとは学生による芸能コンテストで、発祥には諸説あるものの、1950年代にはシンガポールの高校で行われていたそうです。本作もまた、タレンタイムを中心として、オーディションから本番までを描いているのですが、単純な学校モノじゃありません。

マレーシアは多民族・多言語国家ですので、当然といえば当然なのですが、登場する宗教はイスラム教、仏教、儒教、道教、ヒンドゥー教、キリスト教と多宗教、言語もマレー語、中国語、タミル語、英語などが話され、さらに手話も加わります。

物語はタレンタイムと並行して、宗教も言語も、貧富の差も大きく異る4つの家族をそれぞれ描き出します。もう、書いているだけでややこしいんですが、映画はしっかりと交通整理がされているので、何の問題もなく没入できるでしょう。というか、こんなコラム読んでないで今すぐ観てください!すっばらしいから!

と、終わりにしてしまうと筆者の信頼も終わりそうですので、もう少し補足しておきます。異なる民族・宗教・言語、さらに差別や偏見といった問題も盛り込まれ、もう辛くて観ていられないようなシーンも正直あります。しかし、最後まで観れば、自分が「世界を観測する目」が変わります。それはヤスミン・アフマドが『タレンタイム〜優しい歌』だけでなく、すべての作品で持ち続けた視座でもあり、我々人類が共有すべき視界です。

正直な話、私的1位とかそういうレベルではないので、ぜひご覧ください。

さて、ここまで私的音楽映画ベスト5をセレクト・紹介してきました。これを書いている現在地は、緊急事態宣言真っ只中の東京都です。映画館もほとんど閉まっています。寂しい限りですが、本記事が暇つぶし、もしくは気を紛らわせるための一助になれば幸いです。

(文:加藤 広大)

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