《ジャン=ポール・ベルモンド傑作選2》ルパン三世やコブラのモデルにしてフランスの大スター再び!
《ジャン=ポール・ベルモンド傑作選2》ルパン三世やコブラのモデルにしてフランスの大スター再び!
コミカルアクションだけでなく
シリアスもファンタジーも!
一般的にコミカルなアクション映画のイメージが強いジャン=ポール・ベルモンドではありますが、実際はさまざまなジャンルの作品に意欲的に出演し続けています。『相続人』 (C) 1972 STUDIOCANAL - Euro International Films S.p.A All rights reserved.
中でもシリアス路線の作品として一世を風靡したのが『相続人』(73/総選挙第9位)でした。
これは大企業グループ社長夫妻が飛行機事故で急死したことで、その事業を相続すべくフランスに帰国した息子バート(ジャン=ポール・ベルモンド)が、両親の死が殺人ではないかと睨み、やがて巨大な陰謀と対峙していくというもの。
まるでフランス版『華麗なる一族』的ゴージャズな世界観の中、第2次世界大戦時のファシズムにまでさかのぼるヨーロッパの闇を露にしつつ、我らがベルモンドがスタイリッシュに、そしてスリリングに立ち回るポリティカル・サスペンスです。
『カトマンズの男』ではベルモンドと行動を共にするがために危機また危機の巻き添えを食いっぱなしだったジャン・ロシュフォールが、今回も彼の一の部下“大使”としてクールに立ち回り、そしてまたも体を張らされます!?
また同じく部下で親友でもあるダビッド役で好演するシャルル・デネは、『恐怖に襲われた街』(75)でもベルモンドと共演。
監督のフィリップ・ラブロも、『危険を買う男』(76)でベルモンドと再びコンビを組んでいます。
さて、ここからは日本劇場初公開作品となります。
『エースの中のエース』(C)1982 / STUDIOCANAL - Gaumont - Rialto Films GmbH All rights reserved.
まずは1982年度の『エースの中のエース』。
1936年のベルリン・オリンピックを背景に、ユダヤ人少年とその家族をナチスから救うべく、元空軍パイロットにしてボクシング仏代表チームのコーチ(ジャン=ポール・ベルモンド)が大活躍!
昔も今もオリンピックとは華やかさとトラブルの双方が合わせ鏡のように繰り広げられていくものですが、特にベルリン・オリンピックはナチスのプロパガンダ色が強く、その脅威を肌で知る世代が多かったフランス国民の間で当時大いに話題となり、大ヒットを記録した作品が、ようやく日本の銀幕に登場します(過去、未公開ビデオソフトが発売されたのみの幻の作品だったのです)。
監督は『大頭脳』(69)でもベルモンドと組んでいるジェラール・ウーリー。
『アマゾンの男』(C)1999 STUDIOCANAL - PHF Films All rights reserved.
そして何と、フィリップ・ド・ブロカ監督とベルモンドが久しぶりにコンビを組んだ『アマゾンの男』(00)が本邦初公開!
それこそ『リオの男』と同じアマゾン川流域でのジャングルを舞台に繰り広げられるところから、同作品へのオマージュ満載です。
一方ではこの作品、同地で昆虫の調査研究をしているエドゥアール(ベルモンド)が謎の幼い少女ルルを保護したところ、フランス特殊部隊と天文学者マルゴ(アリエル・ドンバール)が彼女を追ってきたことからてんやわんやの大騒動になるというもので、ジャンル的にはコミカル・アクションの域を越えて、まさかのSFファンタジーの域へ突入する!
さすがに『リオの男』からおよそ36年も経つので危険なスタントこそありませんが、ベルモンドの飄々とした個性は当時と何ら変わらず、またジャンルが何であろうとも魅力が損なわれることはありません。
ベルモンド映画をずっと追いかけてきたファンにとっては、実はこの作品が今回一番のお楽しみかもしれません。
いずれにしましても前回の8作品ともども映画ファンなら一度は見ておいたほうがよい、楽しい愛に満ち溢れたものばかり。
(特に日本のアニメファンは、ルパン三世やコブラの元祖たる存在を見過ごす手はないでしょう!)
この機会にぜひジャン=ポール・ベルモンドの魅力に触れてみてください。
(文:増當竜也)
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