映画コラム
『タイタニック』「7つ」のポイント解説〜当時の格差社会から読み解く〜
『タイタニック』「7つ」のポイント解説〜当時の格差社会から読み解く〜
7:『タイタニック』のカップルが生き地獄の結婚生活を送る映画があった?
最後に、『タイタニック』のロマンチックで壮大な悲恋の物語に感動した人にこそオススメしたい、とっても底意地の悪い(褒めています)映画を紹介しましょう。それは『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』。レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが夫婦役で再共演し、しかも前述した不沈のモリー役のキャシー・ベイツも出演しているという、明らかに『タイタニック』を意識したキャスティングになっているのです。
しかし、この『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』に、素敵な恋物語を期待してはいけません。結婚生活が文字通りの生き地獄と化す、ジャンルはホラーと言ったほうが正しいんじゃないかと思うほどの内容なですから。
劇中の夫婦はそれぞれのかつての夢を叶えるためにパリ行きを目指すのですが、そのためには夫が仕事を辞めなければならず、生活のことを考えると全く現実的な選択ではありません。しかし、妻は「私が働くからあなたは好きなことをしていいわよ!」と痛々しい主張をします。この2人の構図が、『タイタニック』の夢を追い求める青年と自由を求める女性という関係だったカップルの「その後」にさえ見えるという……キャスティングをした人は鬼畜か何かでしょうか(褒めています)。
夫婦は2人の子どもに恵まれているはずなのに、その子どもの存在感がほとんどないというのも恐ろしく、あんなにカッコ良かったはずのディカプリオ様が心底つまらない男に見える(つまり演技が上手い)ことにも戦慄します。そして、終盤の言葉の暴力をぶつけ合う夫婦げんかを経た、「翌朝」のシーンは最悪(褒めています)でした。もはや生涯のトラウマになるという方もいるでしょうし、独身の方が観れば結婚を心の底からしたくなくなることでしょう。
2023年7月18日現在、『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』はU-NEXTで見放題なので、ぜひ気軽にこの生き地獄を体験してください(でもカップルでは観ないほうがいいです)。ある意味でタイタニック号に乗り込むより恐ろしいものが、そこにはありますよ。
参考図書
・タイタニック号99の謎 (二見文庫)
・ジェームズ・キャメロンのタイタニック(竹書房)
(文:ヒナタカ)
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