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『タイタニック』ローズはなぜ最後に「捨てた」のか?その理由を全力解説

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『タイタニック』 の「後編」が、2021年5月14日に金曜ロードショーで放送されます。

そのクライマックスおよびラストは、観る人によって解釈が異なる、とても多層的な構造になっています。ここでは、終盤で年老いたヒロインのローズが「なぜあの行動をしたのか」という疑問を、劇中の描写から解き明かしてみます。

※以下からは『タイタニック』本編のラストを含むネタバレに触れています。まだ観たことがないという方は、観賞後にお読みください。

※「前編」にあたるシーンの考察および、タイタニック号における格差社会の構造についてはこちらで書きました↓
『タイタニック』「7つ」のポイント解説〜当時の格差社会から読み解く〜 

1:碧洋のハートは「呪い」の象徴?


 
17歳のローズは「碧洋のハート(Heat of Ocean)」と呼ばれるブルーダイヤモンドのネックレスを婚約者のキャルからプレゼントされ、そして晩年まで隠し持っていました。先にはっきりと申し上げておくと、この碧洋のハートは素敵な名前やハートの形とは裏腹の、「呪い」の象徴であるとも解釈できます。

その証拠の1つが、「“ホープダイヤモンド”よりも高価」と語られていることです。ホープダイヤモンドとは、希望(Hope)という名前とは真逆の、「所有した人を次々と破滅させながら、別の人の手に渡っていった」ことで有名な実在の宝石なのです。

劇中の碧洋のハートは、かつての所有者のルイ16世がフランス革命により首と共に全てを失ったと説明されていました。その上、ジャケットのポケットに碧洋のハートを入れられたジャックは凍死し、生き延びたキャルも大恐慌のためにピストル自殺をしてしまいます。やはり、碧洋のハートはホープダイヤモンドと同じ、あるいはそれよりも強い呪いを秘めた宝石とも言えます。

しかし、皮肉にもただ1人、碧洋のハートをずっと隠し持っていたローズは、自分の力で望んだ人生を手に入れて、100歳を超えて生き延びることができていました。ローズは碧洋のハートの呪いを克服した人物であるとも解釈できるのです。

2:忌むべき存在の宝石



ローズにとって、碧洋のハートは間違いなく忌むべき存在でした。序盤に年老いたローズははっきりと、「重くてイヤなネックレス。つけたのは、この(ジャックにヌードの絵を描いてもらった)時だけ」と答えているのです。

他にも、ローズはキャルから「僕らは王族(king)なんだよ。君の欲しいものは、なんでも与えよう。僕を受け入れてくれ」と言われながら、一方的に碧洋のハートを渡されていました。これは、ジャックが船頭で「世界は俺のものだ(I'm the king of the world)!」と叫んで自由を謳歌していたことと対になっています。

言うまでもなく、ローズは上流階級の社会の価値観にがんじがらめになり、その婚約者のキャルから支配され、いちばん欲しているはずの自由を手に入れらませんでした。ローズが碧洋のハートに対して言う「重い」は、物質的な重さだけでなく、精神的な足枷そのものを象徴していたのです。

さらに、中盤でジャックは碧洋のハートを盗んだ濡れ衣を着せられていました。後にジャックとローズは「濡れ衣だ」「ええ、わかっているわ」と話し合っていて誤解が解けたようにも思えますが、ジャックが乗客から(碧洋のハートをポケットに入れられた)ジャケットを盗んでいたことは事実。ひょっとすると、ローズにとって碧洋のハートは、自分をあらゆる意味で救ってくれたはずのジャックを「(盗んでいないと)信じきることができない」、わだかまりのような存在でもあったのかもしれません。

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