映画コラム

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2021年06月16日

『SEOBOK/ソボク』レビュー:コロナ禍だからこそ観たい、クローンを通して生死に向き合う作品

『SEOBOK/ソボク』レビュー:コロナ禍だからこそ観たい、クローンを通して生死に向き合う作品


ロマンチックなシーン、多彩なアクションシーンに注目



「人間は死ぬことが怖いのに、眠ることは怖くないの?」


眠り方を知らないソボクは寝ている時間を一時的に死んでいると捉え、人間は眠ることが怖くないのか、そのまま起きないかもしれないと不安に思わないのか。そう疑問を抱きギホンに問いかけます。死ぬことがないソボクの疑問は哲学的で、人間が抱く根源的な恐怖を死と睡眠から私たちに訴えかけます。

ギホンの返答はここでは書きませんが、とてもロマンチックなのでぜひ作品の中で確認してみてください。

さらに、要所に散りばめられたド派手なアクションも見応えがあります。
アクションの王道である銃撃戦やカーチェイスはもちろん、ポルターガイストや地盤沈下といった演出もあり、製作費160億ウォンを費やした大迫力のエンターテイメントにも注目してみてください。

さらにストーリーだけでなく、豪華な主演2人の演技も作品を際立てます。

かっこいいアクションシーンや残り僅かな命だと言われた不安、これまでの人生を後悔するギホン役に挑んだコン・ユ。彼の頬はコケているように見えるのですが、これは役作りの為に減量したらしく本作への意気込みを感じます。

機械的で感情がない表情やトラブルが起きても動じない立ち振る舞い、自らが作られた意味に戸惑う姿。さらには純粋無垢な幼い表情まで、繊細なソボクの役柄を演じきったパク・ボゴム。

特にパク・ボゴムに関しては入隊前最後の作品なので、除隊するまで楽しむことができない彼の演技を噛み締みたいです。


死への恐れは人間が持つ宿命です。その宿命に背き永遠の命を手に入れたとしたら人間はどうなってしまうのでしょうか。もしかすると死の恐怖は生きるために不可欠な要素なのかもしれない、そう感じてしまう作品でした。

映像も美しく観終わった後、余韻の残る『SEOBOK/ソボク』。

生と死に向き合うこんなご時世だからこそ鑑賞してほしい作品です。

(文:ゆくん)

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