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2021年06月29日

「ナイト・ドクター」第2話レビュー:普通とは、何か?(※ストーリーネタバレあり)

「ナイト・ドクター」第2話レビュー:普通とは、何か?(※ストーリーネタバレあり)



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波瑠主演のフジテレビの連続ドラマ「ナイト・ドクター」が、2021年6月21日(月)より放送開始した。

“昼夜完全交代制”を試験的に導入した病院を舞台に、夜間救急専門の医師チーム「ナイト・ドクター」の奮闘を描く本作。“月9”ドラマ初出演となる波瑠が強い信念を持つ主人公・朝倉美月を演じる。

本記事では、その第2話をcinemas PLUSのライターが紐解いていく。

第2話のレビュー



2話のテーマは「コンビニ受診」「普通とは何か」

症状は大したことがなくとも、コンビニ感覚で病院へ受診しに来ることを「コンビニ受診」と呼ぶらしい。タクシー感覚で救急車を呼ぶのが社会問題になっていると聞いたことがあるが、それと同じ感覚だろうか。波瑠演じる美月も、夜遅くに受診に来た親子をコンビニ受診だと捉え「風邪でしょう」と言って返してしまう。

結果、風邪だと診断された赤ちゃんは、実は胆道拡張症だった。顔色に黄疸の症状が出ており、白い便が出ていたのだ。美月が違和感に気づいていたら、早めに対処できたかもしれない。深澤が黄疸の症状に気づいていたおかげで大事に至らずに済んだが、発見がもう少し遅れていたら命に関わるところだった。

救命救急という仕事に誇りを持ち、ストイックに臨んでいた美月にとって、この経験は少々痛手だったのではないか。自身の軽率な診断により、赤ちゃんを命の危険にさらすところだった。両親に直接謝罪しに行く美月に、医師としての誠実さを感じる。謝罪を受けた母親が言った言葉も、印象的だった。

「めんどくさいって思っちゃったんです」

育児をしながら仕事も家事もしていた母。パートナーの助けも満足に得られず、一人で何事もこなさなければと背負い込みすぎてしまった。子どもの異変に薄々気づいてはいたけれど、昼間に病院へ行くには仕事を休まなければならない。仕事を休むためには、上司や同僚に頭を下げなければならないーー頭を下げるのに疲れてしまった、めんどくさいと思ってしまったと心境を吐露する母親の言葉が、胸に迫って聞こえた。

「病院へ受診しに行く」と思ったら、やはりまだまだ日中に行くのが“普通”とされている。昔は外へ仕事に出る女性も少なかったため、日中でもある程度、時間の融通が効く場合が多かった名残でもあるだろう。しかし、現代は違う。仕事をしながら育児も家事もしている親も多い。そうなると、夜にも受診できるナイトドクターの存在は光明となり得る。

ここで、もうひとつのテーマが浮き上がってくる。「普通とは何か」。病院へは日中に行くのが普通、夜ではなく日中に仕事をするのが普通、女性として男性としての普通の幸せをーーナイトドクターとして、夜に働き昼に休む生活を選択したドクターたちは、「普通とは何か」、この命題と向き合うことになる。命を救うために働く彼らは、夜に動いているからといって“普通”から外れる存在なのだろうか?

命の大切さとともに、普通とは何か、その価値観についても考えさせられる。このドラマが描き出すのは、当たり前を当たり前と捉えない姿勢の大切さなのかもしれない。

第2話ストーリー

朝倉美月(波瑠)は佐野大輔(戸塚純貴)の浮気現場を目撃。いつもと違う美月の様子は、深澤新(岸優太)たちに見抜かれ、成瀬暁人(田中圭)には職場に私情を持ち込むなと言われてしまう。そんな夜、深澤と高岡幸保(岡崎紗絵)は本郷亭(沢村一樹)にウォークイン当番を命じられた。ナイト・ドクターは重症患者だけでなく、昼の診察に行けない外来患者も診る。だが、緊急性のない患者の多さに深澤たちは辟易。

美月もウォークインに入ると、帽子をかぶった男が来る。男が帽子をとると美月の父、哲郎(佐戸井けん太)だった。軽症者が気軽に来るなと父を叱る美月の声は隣の診察室にも届く。そこでは、深澤が鮎川希美(谷村美月)の子供、玲生を診察中。美月の声を聞いた希実は、そそくさと帰ってしまった。哲郎に声をかけた桜庭瞬(北村匠海)は父娘事情を知る。哲郎の妻が13年前に亡くなったと知った桜庭は…。一方、美月は舌を噛んだ斎藤篤男(赤ペン瀧川)を治療。

美月が心配な哲郎は寮に押しかけ、深澤の部屋に居候してしまった。そんな時、希実が再び玲生を連れて来た。深澤は玲生に異常を感じるが、この日のウォークインは美月。美月が玲生を診察していると斎藤が救急搬送されたと連絡が入り、そちらへ向かう。斎藤の治療を終え、抱いた不審点を話す美月に、深澤は玲生に黄疸が出ていなかったかと聞く。本郷から診察時の様子を思い出すよう言われた美月は希実の気になる仕草を思い出した。その頃、希実は玲生の診療について、夫の聡(笠原秀幸)ともめていて…

(文:北村有)

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