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2021年07月08日

「八月は夜のバッティングセンターで。」第1話レビュー:岡島秀樹「大丈夫、誰かが見てくれてる」レジェンド野球選手と女性の物語がリンクする熱いドラマ(※ストーリーネタバレあり)

「八月は夜のバッティングセンターで。」第1話レビュー:岡島秀樹「大丈夫、誰かが見てくれてる」レジェンド野球選手と女性の物語がリンクする熱いドラマ(※ストーリーネタバレあり)



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わけあって夏休みにアルバイトをすることになった17歳の女子高生・夏葉舞(関水渚)と「バットのスイングだけで、その人の悩みがわかる」と豪語する47歳の謎の元プロ野球選手(仲村トオル)。
二人がバッティングセンターに現れる女性たちの悩みを「野球論」に例えた独自の「人生論」で解決へと導いていく。

本記事では、そんな話題作の第1話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
 

「八月は夜のバッティングセンターで。」第1話レビュー


叔父が経営するバッティングセンターでバイトすることになった女子高生・舞(関水渚)は、ずっと座ってバッティングを見ている中年男性(中村トオル)を怪しむ。

「女性がバッティングするのを見て楽しむ不審者なのでは」と警戒していた舞は、男性が自分の名前を知っていることを知って騒ぐ。オーナーである舞の叔父に頼まれてここにいるという男性は、先ほど帰った女性客が忘れた財布を舞に渡し、「心が力んだら、打てるものも打てないぞ」と謎の伝言を頼む。

伊藤と名乗ったこの男性は、舞が立ち去った後に裸足でバッターボックスに立つ。ホームランを連発していて、ただものじゃなさそうだ。


忘れ物をした女性、坂本ゆりこ(木南晴夏)は仕事のことでイライラしていた。面倒なことを押し付けてくる上司や同僚の茜(奥山かずさ)。茜は自分が担当する企業への謝罪をもともと担当だったゆりこに押し付け、茜を気に入っている上司はそれに大賛成。ゆりこが無事に状況をおさめると「さすが地雷処理班」と言われる。

だからといってゆりこの努力は認められるわけでもなく、部下の営業成績が悪いと怒鳴られる。さらに、「新たな企画のプレゼン資料にまだ手をつけていないから作ってくれないか」と頼まれて引き受けてしまうゆりこ。とどめに部下が「坂本さんは地味でうるさい」「茜は仕事ができる」などと話しているのを聞いてしまう。

何というあからさまな差別、モラハラだろうか。茜は無責任すぎるし、それを容認するどころか同調する上司も、腐っている。

木南晴夏、前クールの「レンアイ漫画家」で演じていた、派手でハキハキした少女漫画家・可憐とは真逆な役で、同じ人には思えない。どちらも元からこういう人なのかと思わせるような雰囲気ですごい。

また面倒を押し付けてきて手柄を横取りする嫌な同僚役の奥山かずさも「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」の明神つかさなど、いい人のイメージがあったため、エンドロールを見るまで誰かわからなかった。

再びバッティングセンターを訪れたゆりこに伊藤が語り掛けると、なぜかマウンドが登場し、茜が立っている。茜と交代してピッチャーをやるアナウンスが流れ、ゆりこは混乱する(そりゃそうだ)。マウンドに立つと、ベンチにいた上司や部下たちが馬鹿にしたヤジを飛ばす。何だよあんたら、よってたかって! と怒る舞。止めさせようとするが、伊藤は黙っている。

「私だって誰かに認められたいんだよ!」と叫ぶゆりこ。
すると、とある選手が走ってきて「大丈夫、誰かが見てくれてる」と言う。
「岡島だー! すげー!」と叫ぶ。
伊藤も「よく吐き出した! OK、交代だ」と叫ぶ。



ゆりこに「任せろ」と言って後退したのは、岡島秀樹選手だった。
レジェンド投手が毎回出演するようだ。すごい。

中継ぎ投手という役割があるらしい。先発投手と抑え投手の間に投げる中継ぎは重要な局面で登場して仕事をしても、脚光を浴びにくい。でもチームには欠かせない存在だ。ゆりこの仕事は中継ぎと似ているかもしれない、と言った伊藤はこう続けた。中継ぎはチームがピンチなときに颯爽と現れるヒーローだ。日米を渡り歩いた岡島は、中継ぎ投手の存在価値を高めた立役者の一人だという。

おおお、このドラマは、登場する女性の悩みと野球のレジェンド選手の活躍をリンクさせて人生論に昇華させるストーリーなのか。これはなかなか熱い。しかも、登場した選手が実際にプレイするところが見られるのだ。

野球に詳しくない私でも感動しているのだから、きっと野球に詳しい人なら何倍も楽しめるだろう。人生で初めて、野球に詳しくないことを後悔した。



さらに伊藤が語る言葉が印象的だ。

「不思議なもんでな、自分はちゃんとやってる、認めてくれとアピールする人間に、人は目を向けない。雑念を捨てて、黙々と仕事をする人間には、おのずとオーラがまとうようになって、勝手に周りが認めはじめる。あんたの仕事もそうなんじゃないのか。」

実際は、声をあげないでそのまま認められないこともあるかもしれない。でも、心に残る言葉だった。後日会社で、ゆりこに資料を作らせた仕事で評価され、ドヤ顔で自分がいかに頑張ったか話す茜。またかよ……と思ったそのとき。

ゆりこに「今回の資料って、ぜんぶ坂本さんが作ったんですよね。本当にありがとうございました」と話しかけてきた社員がいた。周りの社員もその話に興味を示し「坂本さん、すごくないですか?」という話で持ちきりに。岡崎選手の「大丈夫、誰かが見てくれてる」という言葉が現実になったのだ。

伊藤はプロ野球選手だったらしい。あまり活躍できなかったそうだが、野球のことに詳しいのも納得だ。「おっさん」呼ばわりだったのに元選手と知ったとたん敬語になる舞。岡島秀樹選手が登場したときも大興奮していたし、野球が好きなようだ。舞が暇になり、バイトをすることになった理由も気になるところ。演じている関水渚の目が印象的でいい。

ラスト、オープニング映像では浮かない顔をしていたゆりこが微笑んでいたのが印象的だ。一度自分の悩みを言葉にして出すこと、大切だな。毎回ハッとする言葉をもらえそうなこの作品、今後も楽しみだ。

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第1話ストーリー


伯父のバッティングセンターでアルバイトをしている夏葉舞(関水渚)は、バッティングを見ればその人の悩みがわかるという謎の男・伊藤智弘(仲村トオル)と出会う。この日来店した坂本ゆりこ(木南晴夏)のスイングを見た伊藤は、仕事関係で悩んでいることを見抜く。実際ゆりこは同期に振り回された挙句、フォローしても周囲から評価されない現状があった。伊藤はそんなゆりこの悩みを独自の野球論で解決しようとする。

(文:ぐみ)

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