映画コラム

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2021年08月20日

『猫の恩返し』が公開された2002年、こんな時代だった

『猫の恩返し』が公開された2002年、こんな時代だった


(C)2002 猫乃手堂・Studio Ghibli・NDHMT


本コラムは『猫の恩返し』が公開された2002年に、どのような映画や音楽などがあったのかを掘り起こし、懐かしがってみようといった意図で書かれている。

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当時を知っている人には「ああ、懐かしいな」と、知らない方には「こんなことがあったのか」と感じていただけたら嬉しいし、『猫の恩返し』を現在の解像度ではなく、当時の視点から鑑賞する手助けになれば幸いだ。

さて、まずは2002年の出来事を簡単にさらってみる。

2002年の出来事

時の首相、小泉純一郎は我が国の首相として初めて北朝鮮を訪問。平壌にて金正日と会談した。同年10月に拉致被害者5名の帰国が実現している。

また日経平均株価がバブル崩壊後の最安値を記録し、1983年以来19年ぶりに9,000円を割り込んでいる。参考までに、2021年8月17日現在の日経平均株価は27,424円(端数切捨て)である。



日韓共催のサッカーW杯では日本が初のベスト16を達成。他にもめでたい出来事としては、小柴昌俊田中耕がそれぞれノーベル物理学賞・化学賞を受賞し、時の人となっている。

一方、そんなにめでたくない出来事としては、雪印食品と日ハムが輸入牛肉を「国産です」と偽装した事件もあった。また田中真紀子や辻元清美、加藤紘一などが「政治とカネ」をめぐる問題で辞職している。鈴木宗男が逮捕されたのもこの年だ。

世界に目を向けてみると、ブッシュ米政権とフセイン政権の対立によりイラク情勢は緊迫。北朝鮮の核問題でも緊張が走り、イスラエル軍はパレスチナに大規模侵攻をかけている。

インターネット界隈ではテキストサイト「侍魂」が前年に「最先端ロボット技術」でヒットを飛ばし、さらに「ヒットマン事件簿」でホームラン。テキストサイトが隆盛を迎え「フォント弄り系」サイトも次々と登場した。

ので、本コラムも以降は当時の雰囲気を出すために以下、大事なところはフォントをデカくする。

※残念ながら一部の配信先ではフォントが反映されないかもしれない。元サイトでの閲覧を推奨する。


話を戻して、イラクだ核だとまあまあ火薬臭い年なのだが、流行語大賞は緩く「タマちゃん」と「W杯」が受賞している。念のために補足しておくと、タマちゃんは2002年の8月に突如多摩川に出現したアゴヒゲアザラシ(雄)の愛称で、ニュースなどで盛んにとりあげられた。

余談だが、タマちゃんは翌年に横浜市西区より特別住民票を与えられ、「ニシ タマオ」として市民権を得ている。もう少しマシな名前はなかったのか。名前が気に入らなかったどうかはわからないが、2003年からは埼玉県あたりでの目撃例が多く、2004年以降彼の姿を見たものは居ない。

ともかく、『耳をすませば』の主人公、薬もキメずに素面で異世界と猫を幻視できる不思議少女月島雫が書き上げた物語としての位置付けである『猫の恩返し』は、このような年に公開された。

とはいえ、ここまで記したのは「教科書に載るような」出来事である。以下自分視点になって恐縮だが、当時の雰囲気をもう少し補足していきたい。

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