最新作『BECKY』監督コンビの出世作『ゾンビスクール!』『ブッシュウィック』の衝撃と潔さ!
情け容赦ない徹底した姿勢と
映画愛で迫る才人監督コンビ
『ゾンビスクール!』にしても『ブッシュウィック』にしても、突然のサプライズを基軸にドラマが展開していきます。なぜこんなことになったのか? といった理由よりも、とりあえず目の雨で起きている非常事態にどう対処するかというサバイバルに焦点が絞られており、これはアルフレッド・ヒッチコック監督『鳥』などの影響も大きいものと思われます。
『ゾンビスクール!』の場合、子どもたちの理由なき反乱という構図はスペイン製ホラー『ザ・チャイルド』のゾンビ版といったテイストを感じさせます。
クライマックスの校庭バトルへと至る夜の校内脱出シーンは『エイリアン2』を彷彿させるものもありますね。
『ブッシュウィック』の現代版南北戦争という設定もまた、アメリカ映画伝統の南北戦争劇の21世紀的な再生を彷彿させてくれるものがありつつ、一方ではイラク戦争などのPTSD問題などにもさりげなく言及。
教会内での一連の描写は『オーメン』ではありませんが、こういった非常事態を前に神の存在が何の意味も成さないことが神々しく描出されています。
こうした2作品および最新作『BECKY』を世に放ったジョナサン・ミロ&カリー・マーニオンの監督コンビは、現代アメリカ映画界の若手監督の例にもれず、かなりの映画マニアで、そういった先達の作品群を糧として血肉にしながら新たな創作を試み続ける意欲的な才人コンビとみなして間違いありません。
何よりも全ての作品群に共通する、情け容赦のない世紀末的様相をも呈したヴァイオレンス!
こういった徹底した姿勢が、壮絶ながらもどこかしら潔い映画的醍醐味を満喫させてくれているのでしょう。
(文:増當竜也)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。