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2021年12月11日

「スナック キズツキ」第10話:八嶋智人の名演が胸に染みる、お店に隠された家族の物語(※ストーリーネタバレあり)

「スナック キズツキ」第10話:八嶋智人の名演が胸に染みる、お店に隠された家族の物語(※ストーリーネタバレあり)



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「僕の姉ちゃん」のドラマ化でも話題になった漫画家・益田ミリの人気漫画「スナック キズツキ」が連続ドラマ化!2021年10月7日より放送スタート。

原田知世が、傷ついた人がたどり着くちょっと変わったお店“スナックキズツキ”の店主トウコを演じる。「深夜にくすっと笑って、心が少しだけ軽くなるような、胸の奥がじんわり温かくなるような、これまでありそうでなかったユニークなドラマ」と原田が言うように、観た人の心をほっとさせてくれる物語だ。

本記事では、第10話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

「スナック キズツキ」第10話レビュー



ピンクの公衆電話にルーレット式のおみくじ機、お店のロゴが入ったマッチ……。「スナック キズツキ」には、昭和レトロな純喫茶の雰囲気がある。

お店は相当長い間この場所にあるのだろうと思ったが、確かトウコ(原田知世)が営業を始めたのは5年前。それより前にトウコがいるカウンターに立っていた人物が第10話で明らかとなった。

少し駆け足でお店に辿り着いたのは、第4話でチラッと登場した瀧井潤くん(小関裕太)の兄・和也さん(八嶋智人)。今は仕事で大阪に住んでいるが、出張で東京にやって来た。

久しぶりに居酒屋で落ち合い、潤くんの好物であるだし巻き卵を食べる瀧井兄弟。それは亡くなった二人のお母さんがよく作ってくれていたもの。思い出話にはいつも少しだけ寂しさが滲む。



ふと気になったのは、お父さんの存在。その人こそ、最初に「スナック キズツキ」を営んでいた店主だった。

和也さんは亡き父の店が今どうなっているのかが気になって、キズツキに立ち寄った。トウコは5年前にこの店に出会い、店名も変えず居抜きの形でスナックを始めたという。

昔と変わらぬ佇まいに、心なしか安堵した表情を浮かべる和也さん。潤くんを妊娠している母が里帰りしている間、父と二人で暮らしていた頃の思い出が蘇る。



潤くんと和也さんのお父さんは、明るく家族想いな人だった。夢見がちなところもあり、キズツキの2号店を出すと張り切っていたことも。しかし、志半ばでお父さんは病に倒れてしまう。お店を出す時にあちこちで借りた多額の借金を残して……。

そのせいで後に遺された妻と二人の息子は苦労したが、和也さんはちっともお父さんを恨んでいなかった。きっと家族を大切に思っていた父の姿を覚えているからだろう。

思い出すのは、和也さんが弟を「潤」と名付けた時にお父さんが見せた優しい笑顔。結局和也さんより一回り以上年下の潤くんがお父さんと過ごせたのは短い間だったが、その分、和也さんがお父さん代わりとなり潤くんをずっと守ってきたのだと思う。



早くに死んだ親父にもう心配すんなって伝えたい。そう寂しげな笑顔で語る和也さんに、トウコは昔懐かしい公衆電話で思いを伝えてみては?と提案する。

恐る恐る受話器を取る和也さんだったが、話し始めると天国の父と母に伝えたいことが溢れ出す。お店が健在だったこと、子どもが生まれたこと、弟と二人で何とかここまでやってきたこと。近況を報告する和也さんの口ぶりは本当に会話しているみたいで、受話器の向こうから「うん、うん」と頷く声が聴こえてきそうだ。

いつも笑顔で苦労を顔に出さない和也さんだけど、ずっと父と母に「よくやったな」と褒められたかったのではないだろうか。それでも一つも弱音を零さず、心配をかけないように「俺たちは大丈夫だから」と言葉をかける和也さんの優しさが胸に沁みる。コミカルでお茶目なイメージがある一方で、どこか哀愁のある八嶋智人だからこそ成し遂げられる名演だ。

傷ついた者たちが辿り着く「スナック キズツキ」には、互いを思いやる家族の大切なストーリーが詰まっていた。



そして、第10話の終盤にはトウコが5年前までマンガ家だったことも明らかに。しかし、こぐま屋さん(浜野謙太)は話を深掘りせずにお店を去る。あまり多くを話したがらないトウコの雰囲気を即座に察した彼にも、夢を諦めた過去があるようで……。

第11話では、常におちゃらけているが、豊富な人生を歩んできたと思われるこぐま屋さんにスポットライトが当てられる。

「スナック キズツキ」第10話のストーリー

瀧井潤(小関裕太)は兄の和也 (八嶋智人)と久々に再会しお酒を飲みながら近況を語らう。兄は家庭を支え、祖母の面倒も見、弟想いである。帰り道、瀧井はスナックキズツキを見つけて驚く。そこは亡き父が営んでいた場所だったからだ。昔と変わらぬ佇まいに父との思い出が蘇る。すると現在の店主トウコ(原田知世)が昔から備え付けてある電話を指差し「天国の父親と話してみれば」と提案する。瀧井が恐る恐る受話器をとると…。
 
(文:苫とり子)

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