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2021年12月12日

「前科者 」第4話レビュー:大東駿介が体現する罪人の“孤独”、兄を殺した本当の動機は?(※ストーリーネタバレあり)

「前科者 」第4話レビュー:大東駿介が体現する罪人の“孤独”、兄を殺した本当の動機は?(※ストーリーネタバレあり)


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有村架純主演のWOWOWオリジナルドラマ「前科者 -新米保護司・阿川佳代-」が2021年11月20日にスタートした。

「ビッグコミックオリジナル」(小学館)で連載中の「前科者」(原作:香川まさひと、作画:月島冬ニ)を映像化した本作は、罪を犯した“前科者”たちの更生を目指して、保護司・阿川佳代(有村架純)が奮闘していくヒューマンストーリー。連続ドラマと映画の2つの形での映像化となり、劇場版は2022年1月に公開される。

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「前科者 -新米保護司・阿川佳代-」第4話レビュー

犯罪を犯した者や非行少年の社会復帰・更生をサポートする“保護司”。阿川佳代(有村架純)が初めて担当することになった男性の対象者は、兄を殺害した罪で懲役6年の実刑判決を受けた石川二朗(大東駿介)だった。

態度良好につき仮釈放になった二朗は礼儀正しく、とても殺人を犯した人には見えない。しかし、頭に血が上りやすい一方、普段は陽気で周囲の人を惹きつける力を持った前回の対象者・斉藤みどり(石橋静河)とは対照的に、二朗は何を考えているか分からない恐ろしさを持っている。

事件前、農業を営んでいた二朗は兄が営むカフェに野菜を下ろしていた。しかし、仕入れ価格や母の介護のことで普段から言い争いが絶えず、その結果二朗は兄を包丁で刺殺。佳代は、保護観察官の高松(北村有起哉)からそう聞かされていた。

だが、二朗に殺された兄の妻・愛子(徳永えり)によると“本当の動機”は別のところにあるという。過度な事件への介入に反対する高松を説得し、再び愛子に話を聞きに行った佳代。そこには、当時8歳だったカフェの常連客・今野さん家の長女、あおいと二朗の関係性が隠されていた。

二朗の育てる野菜にあおいが興味を持つ形で、頻繁に会うようになった二人。次第に雲行きが怪しくなり、二朗は自分のカメラで撮影したあおいの写真を持ち歩くように。気味悪がった兄があおいに接近することを咎めても、二朗は一向に言うことを聞かなかったという。

再びニ朗が幼い少女に危害を与えるかもしれない。忠告された佳代は愛子に、二朗を動揺させたくないから顔を合わせることがあっても無視してほしいと頼み込む。

「私、被害者遺族なんだよ?なんで夫を殺した加害者に気を遣わなきゃいけないのよ」

愛子の言い分は最もだ。しかし、佳代には刑務所からの出所者に襲われかけ、庇ってくれた人を目の前で死なせてしまった過去がある。前科を持った人たちが再び罪を犯してしまう背景にあるのは「孤独」。いつまでも怯えた視線を向けられた結果、人を、社会を恨み、自暴自棄になってしまう。そんな彼らの揺らぎのある感情に寄り添い、サポートするのが保護司の役目だ。

わかってはいるが、そのことで被害者を苦しめてしまうことに佳代は葛藤を覚える。そんな時、二朗が独断で高校生になったあおいに接近。詳しく事情を聞くと、悲しくも愛子が言った通り、二朗はあおいへの執着心から“ロリコン”呼ばわりした兄を思わず刺してしまったそうだ。

誰よりも自分はあおいのことを考えていると主張する二朗に、佳代は二人が面と向かって話せる場を用意する。

当時、再婚した母親と新しい父親との間に妹が生まれ、家庭内で孤独を感じていたあおい。そんな裏事情は知らなかったが、繊細さ故に社会へ馴染めずにいた二朗はどこか寂しげなあおいに共鳴していた。共に過ごす時間は、唯一の心の支えだったのだろう。あおいも自分と同じ気持ちだったはず。そんな二朗の願望にも似た確信は、あおいが話す真実の前に打ち砕かれる。

あおいはただ二朗との会合を心配されることで、家族に構って欲しかっただけだった。自分の思い込みを正され、狼狽する大東駿介の演技が胸に迫る。その姿は情けなくも、幼い少女にすがるしかなかった彼の孤独が詰まっていて居た堪れない。残された救いは、二朗が今回の出来事であおいの本音を真摯に受け止めたことだ。そして、隣に何も言わず、二朗の手を握り一緒に涙を流してくれる存在がいてくれること。

今もどこかで、佳代と同じように葛藤を抱えながら、誰かが犯した罪と向き合い続ける保護司が奮闘している。

「前科者 -新米保護司・阿川佳代-」第4話ストーリー

二朗の義姉・愛子(徳永えり)から、二朗が幼い少女に危害を与える可能性がある、と忠告された佳代。「保護司は事件に立ち入るべきではない」と諭す保護観察官の高松を説得し、その言葉の意味を知るため、愛子のもとを訪れる。そこで佳代は、二朗が事件前に親しくしていた今野あおいという少女の存在を知る。そして、二朗が兄を殺害した本当の理由を知った佳代は、二朗にある提案をするが……。

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(文:苫とり子)


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(C)香川まさひと・月島冬二/小学館(C)2021「WOWOW オリジナルドラマ 前科者 -新米保護司・阿川佳代-」製作委員会

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