クリント91歳、リドリー84歳、そして追悼・井上昭93歳……戦い続ける現役超ベテラン監督たち!

もう一花咲かせてほしい
映画監督たち!


『キネマの神様』(C)2021「キネマの神様」製作委員会

さて、御存命ながらも長らく映画制作から遠ざかっている監督は多数いらっしゃいますし、篠田正浩監督(90歳)のように『スパイ・ゾルゲ』(03)を最後に潔く引退宣言された方もいます。

篠田監督と同じ松竹ヌーヴェルヴァーグ出身の吉田喜重監督(88歳)は、2008年のオムニバス映画『ウェルカム・トゥ・サンパウロ』の中の一編『ウェイトレス』を演出した後、10年以上の歳月をかけて長編歴史小説「贖罪 ナチス副総統ルドルフ・ヘスの戦争」(20)を「人生最後の天職」として書き上げました。

一方では、たとえば井上昭監督と同期で大映に入社し、『沓掛時次郎』(61)『ひとり狼』(68)などの傑作を発表した池広一夫監督(92歳)は、今も2時間ドラマを中心に現役監督として活動し続けており、昨年も「自身のライフワーク」とする「森村誠一ミステリースペシャル終着駅」シリーズの第37弾「停年のない殺意」(21)を発表したばかり。

それに続くのが、昨年『キネマの神様』(21)を発表した山田洋次監督(90歳)でしょう。

1月23日の誕生日で90歳を迎える山田火砂子監督は、今年『われ弱ければ 矢嶋楫子伝』が公開予定。

2019年に『多十郎殉愛記』を発表した中島貞夫監督(87歳)をはじめ、『日本独立』(20)の伊藤俊也監督(84歳)、『時の航路』(20)の神山征二郎監督(80歳)たちも、もう一花咲かせていただきたいところです。

アニメーションでは、宮崎駿監督(81歳)の新作『君たちはどう生きるか』はいつ完成するのでしょうか?

富野由悠季監督(80歳)には、そろそろガンダムとは別のオリジナル新作映画を作っていただきたいという想いもファンの本音として偽らざるところ。

先日『銀河鉄道999』(79)ドルビーシネマ版上映のイベント・トークで登壇したりんたろう監督は、1月22日に81歳の誕生日を迎えます(彼の新作も見たい!)。

海外に目を向けると、『イメージの本』(18)以降の新作が途絶えているジャン=リュック・ゴダール監督(91歳)の現在が気になるところ。

『エクソシスト』(73)『恐怖の報酬』(77)のウィリアム・フリードキン監督(86歳)も、2011年の『キラー・スナイパー』以後の新作が発表されていません。

ME TOO運動の影響で過去の家庭内スキャンダルが再燃してしまったウディ・アレン監督(86歳)は、さすがにもう新作を撮るのは難しいかもしれません。

『ゴッドファーザー』(71)『地獄の黙示録』(79)のフランシス・フォード・コッポラ監督(82歳)は『ヴァージニア』(11)を発表した後、『ゴッドファーザーPARTⅢ』(90)を再構築した『ゴッドファーザー〈最終章〉:マイケル・コルレオーネの最期』(20)や、『地獄の黙示録ファイナルカット版』(20)と、過去作の再編集に勤しんでいるご様子。

『フラッシュダンス』(83)『危険な情事』(87)のエイドリアン・ライン監督(80)は、今年新作“DEEP WATER”が発表される予定です。

以下、ざっと思いつくままに……(80歳以上に絞って)。

『脱出』(72)『クィーンアンドカントリー』(14)のジョン・ブアマン、88歳。

『レッズ』(81)『ハリウッド・スキャンダル』(16)のウォーレン・ベイティ、84歳。

『殺しのドレス』(80)『ドミノ 復讐の咆哮』(19)のブライアン・デ・パルマ、81歳。

『未来世紀ブラジル』(85)『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』(18)のテリー・ギリアム、81歳。

『マイ・ビューティフル・ランドレット』(85)『ヴィクトリア女王最期の秘密』(17)のスティーヴン・フリアーズ、81歳。

『サスペリア』(77)『ダリオ・アルジェントのドラキュラ』(12)のダリオ・アルジェント、81歳。

『ハンバーガー・ヒル』(87)『ガーデン・オブ・エデン』(08)のジョン・アーヴィン、81歳。

『ストリート・オブ・ファイヤー』(84)『レディ・ガイ』(16)のウォルター・ヒル、80歳。

そして『タクシー・ドライバー』(76)『アイリッシュマン』(19)のマーティン・スコセッシ監督は、2022年にいよいよ80の大台へ!


2015年に106歳で死去したポルトガルの名匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督は、105歳で『レステルの老人』(14)を発表しました。

日本の新藤兼人監督も2012年に100歳で亡くなる前年に『一枚のハガキ』(11)を発表し、ベテランならではの気概を大いに見せつけてくれました。

これからも映画は新しい世代の台頭によってどんどん変わっていくことでしょうが、一方ではまだまだ頑張れるベテラン勢にも、自身の誇りと貫禄をぜひ実績に転化させながら示し続けていただきたいものです。

(文:増當竜也)

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