『大怪獣のあとしまつ』、山田涼介&土屋太鳳はファンタ・ジャンルが良く似合う!


山田涼介&土屋太鳳が醸し出す
映像の虚構性の魅力



Hey! Say! JUMPのひとりとして精力的に活動しつつ、俳優としても旺盛に活躍中の山田涼介ですが、個人的には彼が出演する映画はファンタスティック系のものが多いことに着目していました。

何せ初めての映画出演が、あの『暗殺教室』2部作(15&16)で(企画を聞いたとき、まさかあれが実写になるとは思わなかった!)、2017年のタイトルに偽りなく“奇跡”を描いた『ナミヤ雑貨店の奇蹟』および、実写版エドを魅力的に演じた『鋼の錬金術師』(原作ファンの賛否は知りつつ、私は彼の存在感ゆえに割かし気に入っています)ではキネマ旬報新人男優賞を受賞。

記憶を消去する記憶屋なる都市伝説を題材にした『記憶屋』(20)を経て、昨年は原田眞人監督の時代大作『燃えよ剣』(21/時代劇こそ最大のファンタ映画ジャンル!)で沖田総司を好演し、殺伐とした幕末の京都に爽やかな風を吹かせてくれていました。

TVドラマでも「探偵学園Q」シリーズ(06~07)や「金田一少年の事件簿」シリーズ(13~14)のようなミステリものが印象的で、「地獄先生ぬ~べ~」(14)第8話では絶鬼を演じてましたね。



一方で土屋太鳳は2010年代後半キラキラ映画ヒロインのイメージこそ強いものの(まあ、あれらも一種のファンタジーみたいなものかもしれませんが)、個人的にはブレイク前に出演した『ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(10)やOV『ウルトラマンゼロ外伝 キラー ザ ビートスター』2部作(11)、TV「ウルトラマン列伝」(12)などの惑星エスメラルダ第二王女エメラナ役が忘れられません。

小中和哉監督『赤々煉恋』(13)での、自殺して幽霊となって街を彷徨いながら人生の真理を見出していくヒロインも切ないものがありました。

かと思うと『るろうに剣心』シリーズ中盤戦(14~21)からの、さっそうとした殺陣を披露する操役!(そう、彼女はアクション女優としても実は絶品なのです)

芳根京子とW主演した『累―かさね―』(18)では口づけした相手と顔&声を入れ替えることのできる口紅をめぐっての、ドロドロ・ダーク・ファンタジーを展開してくれていました。

山田涼介にしても土屋太鳳にしても、どこかしら映像ならではの虚構性に魅力と説得力を与えることに巧まずして長けた天性の資質を持ち合わせているように思えます(もちろん、そのための日々の努力もあることでしょうけど)。

またそれゆえに、ファンタジーでもミステリでもSFでもホラーでも、ファンタスティックな題材に出演したとき、その資質が如実に浮かび上がってくれるような、そんな印象を抱いています。(一方では、ならば純文学的な作品に出演したらどうなるか?という興味と期待も大いにあります)



『大怪獣のあとしまつ』も、そんな両者の共演が単に役柄の関係性以上に映画的虚構の魅力を大いに醸し出すとともに、“大怪獣のあとしまつ”という一大プロジェクトに何某かのリアリティまで与えてくれていたことは紛れのない事実です。

はてさて、そんなふたりに加えてなかなかのオールスター・キャストで贈る特撮怪獣映画『大怪獣のあとしまつ』、実際はいかなる方法で後始末してくれるのか?

もちろんそれは見てのお楽しみです!

(ちなみに私、ほとんど事前の知識なしに本作を見始めて、割かしすぐに結末の予想をぼんやりたてていたところ、ほぼそれに近い終わり方になっていたもので、エンドタイトルを見ながら心の中で「ハハハ……」となってました)

(文:増當竜也)

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(C)2022「大怪獣のあとしまつ」製作委員会

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