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2022年03月14日

『アイの歌声を聴かせて』聖地巡礼レポート!ミニシアター「ガシマシネマ」で74歳のお客さんが「猛反省」した理由を知ってほしい!

『アイの歌声を聴かせて』聖地巡礼レポート!ミニシアター「ガシマシネマ」で74歳のお客さんが「猛反省」した理由を知ってほしい!


開業の経緯、そして上映作品の選定基準とは?

ここからは、開業の経緯や、上映作品を選定する基準などがわかる、ガシマシネマの支配人・堀田弥生さんへのインタビューをお届けしよう。

ーーガシマシネマを開業した経緯を教えてください。

私は元々、東京の映画館で働いていました。でも、映画館運営の仕事が好きで、家事育児が上の空になるような傾向があったので危険だな、と。一度リセットしてみようと。また、子どもには親の意識の届かないところでも遊んでほしい、豊かな自然体験をさせたい、等の気持ちがあり、家族で思い切って佐渡島に移住しました。佐渡島には映画館がないのは知っていたので、ビジネスチャンスかも!とは密かに考えていました(笑)。

ーー開業するまでに不安や苦労などはありましたでしょうか。

ものすごく不安でしたよ! 家賃は安く、椅子等も廃業になったホテルからお譲りいただいたりと節約に節約を重ねましたが、それでも本当にお客さんが来るのだろうかと、開業する時は眠れない夜が続きました。また、開業し何とか格好もついてきたかと思えた3年目に直撃した新型コロナの影響も大きかったです。そんな折、ミニシアター・エイドが突如立ち上がったのにはとても驚きましたし、助かりました。元が古民家なので雨漏りもあったのですが、そのミニシアターエイドと独自のクラウドファンディングでお金が集まり、屋根を修理できたのもありがたかったです。今は徐々に客足が戻りつつあり、「笑っていられる日が来るなんて」という気持ちでいます。

ーーこれまでの上映ラインナップを観ると、ややニッチではありつつ面白い映画が数多く公開されてきたという印象を持ちます。どのように作品は選定されているのでしょうか。

基本は予告編をたくさん観たり、サンプルを借りたりして、お客様の満足度の高そうな映画を選びます。この点、夫も映画好きなのでマメに予告編をチェックしてくれるので助かってます。私自身がなんとなく心がけているのは、季節感豊かなこの古民家に似合う映画、ということですね。

例えば、新潟の冬は曇り空が多く暗い印象ですが、その分落ち着いて手芸や編み物に勤しむ方も多いです。つい先月2月に上映した『ほんとうのピノッキオ』は、人形造形から衣装や美術、メイクアップに至るまで職人技が光り、画面の隅々まで見ごたえのある作品でした。



自分が作ったピノッキオをわが子のように慈しむジュゼッペ爺さんと、波乱曲折ありながらもどうにか人間になりたいと願うピノッキオがいじらしく、子どもたちにも心から観てほしいと願える作品でしたね。また、『ピノキオ』はロボット物語のはしりである、という評論も見かけました。続いてロボットが主人公の『アイの歌声を聴かせて』が上映できたのも良い巡り合わせだと思います。

また、その同時期に上映した『戦慄せしめよ』は佐渡島の太鼓芸能集団「鼓童」初の主演映画。全佐渡ロケ作品で、極寒の12月に撮影したこともあり、日本海側の曇天と凄まじいまでの荒波を背景に太鼓を叩く姿は圧巻でした。演奏というより“祈り”に近い音楽映画で、冬の日本海の荒々しさと神々しさを見事に切り取った作品でした。



ーー現在上映されている『梅切らぬバカ』も、劇中で明確に描かれているというわけではないですが、今の3月の季節の印象がありますね。

そうですね。タイトルにもなっている梅の木というモチーフも、ちょうどいいと思いました。



『アイの歌声を聴かせて』も、ファンの方に推薦していただいたことももちろん、劇中の設定では6月ではあるのですが、やっぱり学校の青春を描いた作品なので今の時期にピッタリだと考えましたね。

とにかく、作品の選定はなんとなくテーマを決めて、そのカップリングができれば良いと思いつつやっています。もちろん時にはうまく行かずに妥協することもあるのですが、できる限り、そうできれば我ながらカッコいいな、という感じですね。

ちなみに、ガシマシネマの第1回の上映は『ホドロフスキーのDUNE』と『リアリティのダンス』だったんですよ。その『ホドロフスキーのDUNE』からは、ものすごく勇気をもらいました! 不安でいっぱいだった開業時、確実に背中を押してくれましたね。“世界を変えるんだ”って(笑)。



ーー今までに反響を呼んだ上映作品はありますか。

特にお客さんがたくさん来てくれたのは、樹木希林さん主演の『日日是好日』ですね。



さらに樹木希林さん出演の『万引き家族』も大きな反響を呼びました。どちらも、古民家の雰囲気に合うのも良かったのだと思います。『万引き家族』は美術スタッフの方が観に来てくださったのも嬉しかったです。



ーーお客さんの反応で嬉しかったことはありますでしょうか。



つい先日、『アイの歌声を聴かせて』の上映で、まさにあったんですよ。上映後にカウンターまで女性の方がいらして、目を輝かせながら「私、74年生きてきたけど、映画でこんなに感動したのは初めて!」って。その方はかつて、息子さんが20代の頃に「声優になりたい」と口にした際に、「なにバカなことを!」と反対したことがあったそうです。でも、『アイの歌声を聴かせて』を観たことで、「声優ってなんて素晴らしい仕事なんだろう!土屋太鳳さん最高ね!」と、「今晩、久しぶりに息子に電話をしようと思って……」とおっしゃっていたんです。その言葉にもう……私がいちばん感動をもらいましたよ!

ーーなんて良い話なんでしょうか! 吉浦監督とスタッフたちにいちばん聞いてほしい感想ですね。



そうですね。ガシマシネマで、『アイの歌声を聴かせて』を上映して、本当に良かったと思いました。

ーーこれから、どういった方たちにガシマシネマに来てほしいですか。

今は50代以上の中高年の女性のお客さんが多いですね。佐渡島では80年代にいったん島内の映画館が全てなくなったため、やはりかつて映画館での体験がある方たちが観に来ている、お茶のみがてら連れ立って楽しんでいらっしゃる印象です。そうした方々はもちろん、今後は中高生くらいの若い方にも、主体的にバスにでも乗って遊びに来てくれると嬉しいです。

また、カフェの利用もぜひ! 上映中にカフェを利用して、シネマスペースから漏れ聞こえてくる映画の音を聴きながらお茶をするのも楽しいですよ。



ガシマシネマで『アイの歌声を聴かせて』は4月1日まで、朝10時から上映中(月曜日と火曜日は定休日)。
※4/16追記:大反響につき延長が決定、5月1日まで上映が継続とのこと!

今後のラインアップにも注目して、ぜひ訪れてみてほしい。聖地巡礼または観光とセットで訪れれば、かけがえのない体験になるはずだ。

そして、現在『アイの歌声を聴かせて』は期間限定の先行レンタル配信中。3月14日20時にはTwitter同時視聴イベントが実施され、筆者は同作のトリビアや考察を、吉浦監督をはじめスタッフからのコメントも、そしてファンのみなさんも「#みんなでアイうた」のハッシュタグでつぶやいてくれた。これからも、もっともっとアイされる映画になりますように!

【期間限定レンタル配信情報】
■配信期間:2022年3月11日(金)0:00~2022年6月10日(金)23:59
■販売価格:HD/SD 1,100円(税込)
■視聴時間:72時間
■配信内容:本編のみ
■配信サービス:・Amazon Prime Video・GYAO!ストア・Google Play Store・シネマ映画.com・J:COMオンデマンド・TELASA・dアニメストア・DMM.com ・ニコニコチャンネル・HAPPY!動画・バンダイチャンネル・ひかりTV・ビデオマーケット・milplus・music.jp・ムービーフル・U-NEXT・Rakuten TV

(取材・写真:ヒナタカ 一部写真はひし提供)

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(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

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