(C)バード・スタジオ/集英社 (C)「2022ドラゴンボール超」製作委員会
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映画コラム

REGULAR

2022年06月14日

『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』史上最高のピッコロさんが爆誕した「7つ」の理由

『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』史上最高のピッコロさんが爆誕した「7つ」の理由


『ドラゴンボール超(スーパー) スーパーヒーロー』が2022年6月11日より公開されている。細かいことはいいので、これだけは初めに告げておきたい。ピッコロさんが好きな人は観に行け。ピッコロさんを知らない人もピッコロさんの大ファンになるから観に行け。

今回の主人公はピッコロさん。超強くてカッコいいピッコロさん、生真面目だからこそかわいいピッコロさん、それ以外のあらゆるベクトルでの史上最高のピッコロさんが観られた。全編でピッコロさん好き…好き…ああっ…ああっ…大好き…!となった。

なんだこれは。ピッコロさんファンにとっての桃源郷じゃないか。ピッコロさんファンの巨大妄想を全てスクリーンにぶちまけた夢小説じゃないか。ありがとう…ありがとう!



お伝えたいしたいことは以上である。もはやピッコロさん以外のことはもうどうだっていい……という気持ちにすらなりかけるが、それだけを取り上げるのもまたもったいない。本作は『ドラゴンボール』という作品への愛に溢れていて、かつ一本のアニメ映画としても素晴らしい出来栄えなのだから。まずは内容に触れない範囲で、観る前に(後でも)知ってほしい情報を記していこう。

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前置き1:パンフは子ども向けと大人向けの2種類&最後まで観よう!

劇場で販売されているパンフレットは通常版と豪華版があり、通常版が子ども向け、豪華版が大人向けと断言できる内容だった。前者は800円、後者は1300円、正直に言ってボリュームからすれば決して安くはない。だが、その「棲み分け」ができていることは良いと思うし、その特徴をもっとアピールして欲しいと願いたくなる。

通常版の漢字にはルビつき、キャラクター紹介がメインで、クイズや過去作の振り返りも載っている。しかも子どもが大好きなシールとすごろくが付録になっている。ぜひ、お子さんをお連れの方にはおすすめしておきたい。

一方、豪華版はスタッフやキャストのインタビューがメイン(通常盤とは異なるレイアウトでキャラ紹介も載っている)で、漢字にはルビが振られていない。原作者であり脚本も手がけた鳥山明のインタビューや、映像の製作過程など、とても興味深い内容になっている。

そして、これから観る方にもう1つお伝えしておきたいのは、本編の最後におまけがあるので、エンドロールが始まっても最後まで席に座っていてほしいということだ。小さなお子さんがぐずってしまうかもしれないが、可能であればなんとか持ち堪えるように、前もって親御さんは言っておくといいかもしれない。

前置き2:子どもから大人まで楽しめる「これぞドラゴンボール!」

本作は「これこそがドラゴンボールだ!」という魅力を突き詰めていていた。超ハイスピードバトル、かわいくてカッコいいキャラクターの関係性など、大人から子どもまで楽しめるエンターテインメント要素が見事に揃っているからだ。



また、実はドラゴンボール初心者でも存分に楽しめる内容なのではないか。原作者であり今回の脚本も担当した鳥山明は通常版パンフレットの初めに「初めてドラゴンボールを観る皆さんには、ちょっと人間関係がわかりにくく、予備知識が必要かも知れませんが…」などと一見さんへの心配を語ってはいたが、実際は何も知らなくても大きな問題はないと思う。

何しろ、筆者がドラゴンボールをほとんど知らない5歳と6歳の甥っ子を連れて行ったところ、ふたりとも大いに楽しんでいて、好きなキャラ(特にピッコロさんとパンちゃん)の強さを語ったり、カメハメ波のマネをしたり、通常版パンフを熱心に読んでいたりと、『ドラゴンボール』そのものに大いにハマっていたようだった。


今回からでも最低限の説明はされているし、キャラクターの関係性は今回だけでもわかるし、今回から初登場となるキャラもまた魅力的。何より、本作だけで起承転結のある物語としてしっかり完結していることは大きい。それでも、最低限の予習をしておきたいという方は『ドラゴンボール 神と神』(2013)と『ドラゴンボール超 ブロリー』(2018)だけでも観ておくといいだろう。

もちろん、ドラゴンボールを追ってきたファンだからこそわかる、とびっきりのサービスもふんだんに込められている。冒頭から「おおっ!」と思える画から始まるし、「あの時のアレだ!」的な記憶を呼び覚まされる感覚はファンの特権。もちろんそれらはネタバレ厳禁のサプライズでもあるので、知ってしまう前に早めに観にいくのをおすすめする。その「ご褒美感」も期待してほしい。

前置き3:セルルック3DCGの表現&キャラ萌えが進化!

本作でさらに絶賛を浴びているのは、全編でのセルルック(手描き風)3DCGの素晴らしさだだからこその奥行き表現もある、ド迫力かつハイスピードのバトルに目が釘付けになる。しかも、日常的なシーンでのキャラクターの表情や一挙一動も違和感がなく、それぞれのカッコ良さやかわいいらしさもとんでもないことなっていた。特に3歳なのに超強いパンちゃんがめちゃくちゃかわいい(重要)



前作に当たる2018年の『ドラゴンボール超 ブロリー』も超ハイスピードのバトルの迫力が凄まじかったが、今回はセルルック3DCGによる、それに匹敵する迫力の映像を作り出すだけでなく、キャラクターの関係性、もっと言えばキャラ萌えを主眼に置いた内容になっていたことに感服した。特にピッコロさんと孫悟飯との関係性にはドラゴンボールの長年のファンこそが萌え萌え&感動するのではないか。

劇場版『名探偵コナン』もそうなのだが、今までは出番が少なかったり、ぞんざいな扱われ方をしたキャラクターの活躍を描いていくことは、長期にわたって人気を誇るシリーズにおける、ファンの期待に応える真っ当なアプローチなのではないか。原作者の鳥山明自身が「いちばん好きなキャラクター」だと公言し、多くのファンを持つピッコロさん(と悟飯)をフィーチャーしてくれたことが改めて嬉しいし、今後の劇場版『ドラゴンボール』シリーズももっともっと楽しみになった。

本題:ピッコロさんの魅力とは何か?

前置きがすっかり長くなったが、ここからが本題。今回の『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』の最大の魅力はピッコロさん。"最高 OF 最高"のピッコロさん。やはりそこに帰結する。



公式サイト掲載の鳥山明のコメントにて「悟飯とピッコロ、そしてレッドリボン軍にフィチャーした狙いは何でしょうか?」「悟飯一家において『ピッコロ』とはどのような存在だと思いますか?」などのQ&Aがあるのだが、さすがは原作者、実にピッコロさんの本質をわかってるではないか…と大納得できるので、ぜひ読んでいただきたい。その思いが実際に出来上がった映画から溢れ出ているのだから、公開日初日からファンが大熱狂してTwitterのトレンドに「ピッコロさん」が上がることも当然である。


さてさて、そんなピッコロさんの魅力とは何か?もちろん、とても一言でまとめられるものではないが、あえて下世話な言い方をすればツンデレな世話好きおじさんである

原作では、表向きには敵であるサイヤ人と戦わせるために悟飯に厳しすぎるスパルタ教育を施し、「立派な魔族にしてやる」と言っていたこともあったが、なんだかんだで親身に接してくれるし、(一度)死ぬ間際には悟飯への正直な「俺とまともにしゃべってくれたのはお前だけだった」「貴様といたこの一年、悪くなかったぜ…」と涙ながらに口にしていたこともあった。詳しくは後述もするが、ずっと孤独に生きてきたピッコロさんにとって、悟飯がメンター的な役割になっていたことも、その関係を語るにおいては外せないポイントだ。

その後のピッコロさんは“ネイル”や”神様”と同化し、落ち着きのある大人っぽいキャラになったようにも思えた一方、魔神ブウ編ではツッコミ気質的な面も見せてきて、さらに親しみやすくなった。良い意味で極端な性格のキャラばかりの『ドラゴンボール』の中では、最終的に常識人ポジションに落ち着いたと言ってもいいだろう。

そして、そんなツンデレな世話好きおじさんでツッコミ気質で常識人なピッコロさんだが、今回の『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』ではそれらのピッコロさんの魅力を濃縮還元してくれるだけでなく、新たな魅力もトッピングしてくれたので、もう惚れ死ぬかと思ったし、なんなら求婚したくなった。

さて、これから『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』の中でピッコロさん萌え萌えになったシーンを記していこう。決定的なネタバレはしていないつもりだが、何も知らずにピッコロさんに萌え狂いたい方は先に映画をご覧になってほしい。

※これより、決定的なネタバレはありませんが、『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』の一部展開に触れています

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