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2022年06月27日

「鎌倉殿の13人」第25話:頼朝に忍び寄る死の影

「鎌倉殿の13人」第25話:頼朝に忍び寄る死の影


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2022年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。三谷幸喜 脚本×小栗旬 主演で描く北条義時の物語。三谷幸喜曰く「吾妻鏡」を原作としており、そこに記されきれていない部分を想像と創作で補い、唯一無二のエンターテイメント大作に仕上げているという。

本記事では、第25話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

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「鎌倉殿の13人」第25話レビュー

頼朝(大泉洋)は死に怯えていた。

毎日同じ夢を見る。自分の亡骸を囲む、政子(小池栄子)を始めとした家族たち。自分の死期は近いのか。まだ生きたい。そう願う頼朝は全成(新納慎也)に相談をする。

相性の良くない色(赤)を近づけてはならない、恨みを持つ者の縁者に気をつける、久しぶりの者との対面を控える、昔を振り返らない、仏事神事は欠かさないこと、赤子を抱くと命を吸い取られる……。途中から、全成は適当に言っていたのだが、頼朝はその助言通りに行動しようとする。

当然と言えば当然なのだが、このような助言を信じ込むと行動に辻褄が合わなくなってくる。
義時(小栗旬)だって恨みを持つ者の縁者だ。ここに来て、頼朝の不安は大きくなってきている。北条は信じていいのか。頼朝は範頼(迫田孝也)を焚きつけたのは比企だという噂も耳にしていた。もう誰も信じられない。

しかし、頼朝の周りでは少しずつ状況が動いていた。頼朝の嫡男・頼家(金子大地)のもとに長男・一幡が生まれた。比企能員(佐藤二朗)の娘・せつ(山谷花純)との子だ。能員は野心を燃やす。頼家が頼朝の跡を継ぎ、その次は一幡だということを周囲にもアピールしたい。が、実は頼家には別に妻にしたい女性がいた。それも源氏の血を引く女性。頼家から相談を受けた義時は、頼朝との仲介役として仲を取り持った。話がややこしくなってきたぞ!
それにしても頼朝の息子らしく、頼家も女性に手を出すのが早い……。

日々、気持ちが落ち着かない頼朝。そんな中、稲毛重成(村上誠基)の妻・あき(尾碕真花)の供養が相模川の橋のたもとの寺で行われることになる。あきは北条時政(坂東彌十郎)の四女。北条家揃っての供養に頼朝も参列するが、縁起を担いで方違えをして向かうことにする。
景時(中村獅童)に縁起のよい方角を調べさせ、和田義盛(横田栄司)の別邸の立ち寄る迂回路を選ぶ。そこで、頼朝は義仲(青木崇高)の愛妾・巴御前(秋元才加)と会い、義仲討ちを詫びる。巴に悪いと思って謝っているというよりは、自分が楽になりたいから謝っているだけのように思うが……。そもそも、巴は恨みを持つ者の縁者のような気もするのだが。もはやどれもこれも頼朝の死のフラグにしか見えない。

さらに、供養が終わったあとは吹っ切れたように政子や義時に「源氏は帝をお守りし、武家の棟梁としてこの先100年も200年も続いていかねばならん」と話し、義時には頼家を支えるように言う。そして、鎌倉殿は頼家に継がせ、自分は大御所になるつもりだ、と。さらに「人の命は定められたもの。抗ってどうする」と憑き物が落ちたのか朗らかに笑う。

スッキリとした様子の頼朝は、酒宴を行う予定の北条家の者たちよりも先に、頼朝は安達盛長(野添義弘)が引く馬に乗り御所に戻ることに。

盛長と昔話をしながらの岐路。しかし、頼朝は突然右手にしびれを感じる。回らなくなるろれつ。意識が遠のき、そのまま馬から落ちる頼朝。

そのあとに、虫の知らせを受け取ったような表情を見せる政子、頼家らの表情が映し出される。響く鈴の音。しかし、義時のアップでは鈴の音は響かない。

頼朝の死は脳卒中では? という推測がSNSでも多く見られた。ただ、義時が直前に水を渡していたり、鈴の音が義時にだけ聞こえていなかったり……。実は義時が毒を盛っていて、頼朝が倒れることを知っていた……という可能性はなきにしもあらず、なのだけれど、それをここで言うのは少し突飛かとも思う。万が一明らかになるとしたら、少し先だろう。死に怯える頼朝が政治を乱すかもしれない、と考えてやったことだとか……と、想像する余地が残されるのが憎い。

しかし、頼朝が死ねば、鎌倉はまた混沌に飲み込まれていくことになる(あと頼朝はまだ死んだわけではない)。
また新たな争いが、起きる。

(文:ふくだりょうこ)



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