続・朝ドライフ

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2022年07月05日

「ちむどんどん」第62回:暢子は和彦を諦めて料理に生きる決意を……

「ちむどんどん」第62回:暢子は和彦を諦めて料理に生きる決意を……



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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第62回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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いろいろトラブルがあって


矢作(井之脇海)をはじめとして3人も急に辞めてしまったフォンターナ。房子(原田美枝子)が厨房に入り、きびきびと料理をして事なきを得ました。

房子の貫禄。黙々と手を動かします。お客様の前ではにこやか。厨房に入った途端、きりっと顔つきが変わります。いろんなことに目が向いていて、料理の手際に無駄がない。

日常だと言葉数が少なくてやや冷たい印象を感じる話し方も厨房で手短に指示を出すというときには生きています。ああ、彼女の言葉は彼女の生き方そのものなのだなと感じます。

長く続けてきた作業には余分な間がない。そこを原田美枝子さんは的確に理解して演じていらっしゃいます。

原田さんは結婚して子育ても経験していらっしゃるので(石橋静河さんが娘さん)一定の家事は当たり前にできるのでしょう。基礎があるうえ、プロの調理人らしいフライパンを返す筋力の重量感とかちょっとしたコツのようなものなど、抑えておくと場が引き締まるところを鮮やかに演じていらっしゃいました。

伝説の料理人の圧倒的なプロ感に感動を覚える暢子(黒島結菜)。初めての恋で
もやもやしていた気持ちが吹っ切れました。

やっぱり料理が好き、と思ったようで、その夜、仕込みをたったひとりでやっているところ(二ツ橋は足が吊ったから仕込みできない設定)に思いつめた顔で訊ねて来た愛(飯豊まりえ)に、和彦が好きだけど諦めると伝えます。

暢子はじつに正々堂々としています。以前も、料理対決で、ライバルの料理をまず食べて美味しいと認め、助言までしていました。そういうところは気持ちいいです。

仕込みしているのが何時だかわかりませんが、愛はなぜここに訊ねて来るのか。いるかなあと思って来てみたらいたという感じでしょうか。なりゆきで仕込みを手伝うのもなんとなく引っかかりを感じますし、ふたりがじつにのんびりと玉ねぎをむいていることも気になります。

ここで最も優先することはなに? 玉ねぎをむくことです。でもふたりはおしゃべりを優先します。「もっと料理に集中したい。今日改めてそう思った」と言っているにもかかわらず集中してない。

このへんは朝ドラクオリティなので目をつぶりましょう。

朝ドラ絶対王者「おしん」の田中裕子さんは家事をきびきび演じながらセリフを言えたし、いま再放送中の「芋たこなんきん」の藤山直美さんもそうです。

いつの頃からか、作業しながらしゃべることがヒロイン役の俳優はできなくなりました。「ひよっこ」なんかもそれが気になってレビューに書いたことがあります。「スカーレット」は幾分ちゃんとしていた気がします。時代を映す鏡なのだと感じますが、セリフを言いながら作業もできることはぜったい武器になるから、若い俳優は身につけたほうがいいと思います。

ただ、暢子はこれから房子のようになっていくのでしょうから、小出しにしているのかもしれません。

当たり前にできることをあえてできないようにするのはなかなか難しいです。例えば映画「はい、泳げません」の長谷川博己さんは泳ぎが得意にもかかわらず水がこわくて泳げない役を演じていてなかなか見事でした。

さて。暢子と話して、仕事と恋とどちらが大事と考えたとき、「ちむどんどん」することが大事と気づく愛。田良島(山中崇)が第61回で助言していたことと同じです。

さてその頃、やんばるでは、良子(川口春奈)が生徒に手を焼いていました。袋小路に迷い込んでいる感じの良子。彼女がちむどんどんできるのはいつの日か……。


(文:木俣冬)

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